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86 キルシェの話(後)

どうぞよろしくお願いします。

「好きだって言った。私を見て、選んでって。

 そうしたら……、一護、いつものように困った顔して『今日は百果と過ごしたい』って。

 だから、カッとなって、一護のカバンを掴んで道路に投げつけた。

 慌てて一護が拾いに行って、歩道に戻ってきて、カバンの中を確認してた。

 その時、車が歩道の方に突っ込んできたの。

 一護は、カバンの中を確認してたから、気づくのが遅れて、さらに私を助けようとカバンを押し付けるように突き飛ばして……」


 え? 事故の時、智恵理もいたの!?


「意識あったの……、救急車の中では。

 プレゼントを百果に渡してくれって言われて……。

 で、私、病院の中に入って、一護のお母さんに連絡したりしてから……。届けた。

 でも、私、あんたにひどいことを言った。

 で、あんたも死んじゃって……。

 私、すごい悪役みたいじゃない!?」


 智恵理だったキルシェにはキルシェの……。

 百果だったペスカにはペスカの……。


 それぞれの苦しみや葛藤があったんだね。

 前世なんて忘れてきてれば良かったね、私達。


「今回もフレイとペスカの仲に嫉妬して。

 今度こそフレイに私を見てもらいたくて、父に言って、フレイと婚約できるように取り計らってもらった。

 早くA級ヒーラーになれるように、アイテムを買ってもらった……。

 でも、もう、おしまい。私には何も残っていない」


「残ってなくない!

 まだ処罰は決まっていないって! 正直に不正について反省すれば!!」


「そうね。父とももう連絡はつかないし……」


「ね、学校に残って魔法使いとしてしっかり自立して働けるようにしなきゃ!」


 私はキルシェの手を取って言い聞かせるように言う。


 キルシェは怪訝そうに私を見て、ふっと笑った。


「あんたのそういうところ……、嫌いだけど。本当は嫌いになれなかった……。

 これから、私はどうなるのかわからないけど……。

 この世界は前世と同じような運命に私達を導こうとしている気がしてならないの。

 それでも、私がフレイのそばに、学校にいていいの?」


 私は頷いた。


「もちろん、いいんだよ」


「……ごめん、ごめんね。ごめんなさい……」


 キルシェが瞳から涙をポロポロこぼしながら、私に謝る。


「もう不正なんてしないよね」


「はい」


 私はキルシェを抱きしめた。


 大丈夫。運命をくり返しさせやしない。

 私は15歳になる前にフレイから離れる。そうすれば、きっと、運命は変わる。


読んで下さり、ありがとうございます。


パソコンが壊れてしまいました……。

今朝は夫のパソコンから投稿させてもらっています。

ちょっと更新ペースが落ちてしまうかもしれません……。

できるだけ毎日投稿はしますので、これからもどうぞよろしくお願いします。

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