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48 本当のお相手さん

どうぞよろしくお願いします。

 次の日、演習2日目だもんね。制服を着た。


 ジェラルドさんにジョイの竜舎に案内してもらう。


 辺境伯の城と街があんなにがちがちに守られてるのに、ここは自然の中で開放的な作りで……。


 

 ジョイの竜舎と運動と飛行練習もできそうなくらい広い草地。


 戸や柵などない。


「戸や柵などないのは、ジョイがおとなしいドラゴンだからですか?」


 私の質問にジェラルドさんは首を振った。


「前からそうだ。

 竜騎士と相棒の竜は絆で結ばれているからね。

 このように人里離れた場所なら、開放的な施設でも……。

 でも、今は……、違う意味もあるかな。

 私は……、ジョイが望むなら、いつでもここを出て、自然に、自由になってもいいと思っているのだが……。

 ジョイも私も、未だに彼女のそばを離れられなくてね。

 私は最後までと思うが……」


 ジョイが丘の中腹の石碑のようなところの前にじっと佇んでいた。


 お墓……。


 ジョイにとってのお相手さん?



 私はジェラルドさんを振り返る。


「私の妻の墓だよ。

 もう亡くなって3年になる。

 出会ったのは学校を卒業して、竜騎士としてこの地に関わるようになって。

 前の辺境伯の妹君だった女性だ。

 ジョイも一目でこの人だと心惹かれてね。

 そのように竜に愛される女性がいるのだよ。運命のようにね。

 それが『お相手さん』だよ」


 オーバが私を気に入って、それでフレイは責任感じて婚約とか言ってたのはそういうことか。

 ドラゴンの『お相手さん』がそのまま竜騎士の奥様になるケースがあるのか。


 私達の場合、そんなの本当にいいのに。


 私が死んだら、オーバはあんな風に私を思い出してひとりで……。

 なら、しばらくは死なないようにしないと。



「ジョイも私も少しずつ、彼女がいないことに慣れては来ているが……。やはり寂しいよ」


「……ここにいると思えばいいのでは。

 ジョイは奥様に会っているのだと思います。

 一緒に過ごしてる。

 最初会った時、何か違う世界を見ているようだと思ったけれど、奥様のいる世界を見ているのかも。

 ジェラルドさん。

 出て行ってもいいなんて、寂しいことは言わないで下さい。

 ジョイのためにも」


 私はジョイの横に立ってお墓にお参りをした。


 ジョイが私を見て、微笑んだ気がした。


 一緒に過ごしている。

 

 竜の方が長い時間を生きている。

 だから、だから、きちんと最後まで一緒にいたいのだろう。


 ジョイが動いた。

 少し移動して気持ちの良い風が吹き抜ける場所に座る。


 私も隣に座った。


 ジェラルドさんも来て私の隣に座る。


「……こうやって、この丘で3人が並んで座って、この景色を眺めている時間が本当に幸せで……」


 ジョイとジェラルドさんの記憶が重なる。

 今、見ているものは同じ。


 そんなに思われている奥様が羨ましい。


「そうですね。

 奥様が羨ましいです。本当に素敵。

 こんなにふたりから思ってもらえて。

 オーバもフレイも本当にふたりがそう思える、本当のお相手さんが見つかることを祈ります」


「本当のお相手さん?」


「だって、みなさんの話を聞いていると、竜騎士になってから出会うものみたいだし。

 私は最初からこの世界で、フレイにとって異質な存在でもあるし……。

 だから、私は違う。

 もしかして、キルシェがそうかもと思ったんだけど。なんだか変なことになってるし……」


「……ペスカ?」


「ジェラルドさんが私のことをオーバのお相手さんではと思ってくれたのはうれしいけれど。

 私はオーバとのことはドラゴンとの間のことだからと受け入れているけれど……。

 フレイとオーバにはこの世界で幸せに自由に生きて欲しい。

 私は人間としては離れなくてはいけないと思っています」


「君は何を?

 ……フレイとオーバから離れるつもりか!?」


 私は頷いた。


「はい、そのつもりです。

 私がそばにいては、運命の本物のお相手さんにオーバもフレイも気づけない……」

読んで下さり、ありがとうございます。

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