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あたしの恋人  作者: 紫月 飛闇
Season2 広がる世界
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1、訪れたピンチ?!  (1)


突然なのはいつものことだから、あんまり驚かないけど。


でも、突然届いたエアメールの内容に、あたしは驚くというよりは、ショックと焦りと嬉しさでごちゃごちゃになってしまった。


それはまだ、中学校の入学式が始まる前の春休みのこと。


エアメールを開いて、リビングのソファーで固まっていたら、一緒にいた和馬お兄ちゃんが不思議そうな顔をしてきた。


「愛良?どうしたんだ?」


「・・・・・・和馬お兄ちゃん、ショッキングなニュースだよ!!」


「な、なんだよ?」


突然身を乗り出してきたあたしに、和馬お兄ちゃんがびっくりしてる。それでもあたしは構わずに、ずずい、と問題のエアメールを差し出した。


それは、海外で仕事をしているパパとママからの手紙。


差し出されたお兄ちゃんは、それを受け取ってさっと眺め見た。そして、驚いた様子であたしに言った。


「愛良の両親の海外の仕事が終わった?!日本に帰国するって書いてあるぞ?!」



そう、その手紙には、4月4日に日本に帰国しますっていうふたりのメッセージがあった。


それは、中学校の入学式の2日前。


そして、海外の仕事が終わったから、迎えに行くって。


どうしよう、これって同棲の危機?!






1、訪れたピンチ?!   (1)







パパとママが帰ってくるのはうれしい。


ふたりに会えるのはすっごくすっごく楽しみ。ふたりにいっぱい甘えたりしたいもん。


・・・・・・でも、和馬お兄ちゃんの家を離れるのは、やっぱり嫌だった。


なのに、和馬お兄ちゃんはものすごくあっさりとあたしに言った。


「何ワガママ言ってるんだよ。最初から、愛良の両親が帰国するまでっていう約束だったろ?」


・・・そんなことないもん。


あたしは最初に、「末長くよろしくお願いします」って言ったもん。


てことはつまり、ず~っっっと一緒にいるってことなんだよ?!



「プリンシアがここからいなくなってしまうのはさみしいわね」


「そうだよな~。せっかくこの生活が楽しくなってきてるってのになぁ」


ロゼとジョンが口を尖らせてそう言ってくれる。でも、この家の主でもある和馬お兄ちゃんだけが、冷ややかにあたしを見つめ返してきた。


「さみしかろうがなんだろうが、約束は約束。だいたい、子供は親のそばにいたほうがいいに決まってるんだよ」


「確かにパパとママと一緒にいたいけど、和馬お兄ちゃんとも一緒にいたいもん!!」


「よし、じゃぁ、アイラの両親も一緒に暮らしちゃえ」


「無茶言うな」


ジョンの爆弾提案を即座に否定した和馬お兄ちゃん。


・・・ま、それは無理だろうっていうのはなんとなくわかるけど・・・・・・。



「・・・和馬お兄ちゃんは、あたしがこの家からいなくなってさみしくないの?」


ロゼもジョンも寂しいって言ってくれるのに。あたしだって寂しいのに。


和馬お兄ちゃんはそうじゃないの?


「ん?そうだなぁ、騒がしいのがひとり減るって感じだな」


さらっとお兄ちゃんはひどいことを言う。あたしはむぅっとした顔でお兄ちゃんを睨んだ。


「騒がしいってあたしのこと?」


「ていうか、ひとり減るってことは他にもうるさいってのかよ。ま~さかオレたちのことじゃないよなぁ、ジュニア?」


ジョンも一緒にお兄ちゃんを責める。ふたりに挟み込まれた和馬お兄ちゃんは、顔をひきつらせた。


「・・・なんだかんだ、自覚があることは認めるんだな」


「ひっどーい!!和馬お兄ちゃん、あたしがいなくなったら、食事の支度できる人いなくなるんだからね?!せっかく実お兄さんも認める健康的生活になったのにぃ!!」


「おまえは俺の保護者か!!いーんだよ、食事くらいなんとでもなるし。意外にジョンが料理できるしな」


「チッチッチ!!オレをアテにされちゃぁ困るな、ジュニア」


「ほら~!!ジョンも意地悪なこと言ってるし、あたしもここで暮らしてる方がいいんだよ?」


ジョンとあたしで交互に和馬お兄ちゃんに猛抗議。


ロゼはひとり傍観者を決め込んでるけど、ジョンがノリノリであたしと一緒に和馬お兄ちゃんに文句を言ってくれる。



そのままあたしたちの一方的な抗議だけになるかと思ったら、ふと、和馬お兄ちゃんが真剣な声であたしを呼んだ。


「・・・愛良」


それは厳しさというよりも優しさを含んだ呼び掛けで。


だから思わず、あたしは文句を言うのをやめてしまった。


あたしが口を閉ざせば、ジョンも一緒に黙り込む。ニヤニヤ笑いながら。



「愛良、両親と一緒にいられるうちは、一緒にいたほうがいい。おまえはまだ親に甘えたい年頃だし、両親だって愛良と一緒にいたいはずだ」


「・・・でも・・・・・・」


「別にここで暮らさないって言っても、俺と愛良は同じ町に暮らしてるんだ。遊びに来ればいいだろ?」


「・・・遊びに来ても・・・いいの?」


「たっま~に、ならな」


「う~・・・」


「遅かれ早かれ、親は子供より早く死んでしまうんだよ、愛良。甘えられるうちに、一緒にいたほうがいい」


静かに言った和馬お兄ちゃんの言葉に、あたしははっとする。



そっか・・・和馬お兄ちゃんが、しつこいくらいにあたしにパパとママと一緒にいろって言うのは・・・和馬お兄ちゃんのパパとママが、もう死んじゃって、いないから・・・・・・。


和馬お兄ちゃんも、寂しいんだろうな・・・。


だから、あたしがパパとママに会いたいこともお見通しで、そういうこと、言うんだ・・・。



「・・・お兄ちゃんの愛は深すぎるわ・・・」


「何の話だ、何の」


はふぅっとため息と共にあたしが呟けば、和馬お兄ちゃんがジト目で突っ込んでくる。


でも、これは和馬お兄ちゃんの愛なんだわ。


きっと、和馬お兄ちゃんだってあたしがいなくなって寂しいのに、あたしのために冷たい態度で突き放してくれていたのね!!


そんな和馬お兄ちゃんの深い愛に気づかないであたしってば、ワガママを言っちゃったわ!!



「ごめんね、和馬お兄ちゃん。お兄ちゃんの愛に気付けなくて」


「は?いや、何の話だか・・・」


「和馬お兄ちゃんと離れて暮らすのは寂しいけど、でも、毎日遊びに行くからね!!」


「・・・なんかまた、暴走して妄想してるようだけど、毎日とか来なくていいからな?」


心底うんざりした様子でそう言い返してくる和馬お兄ちゃん。


でも、本心はあたしへの愛に溢れてて、寂しいのを我慢して強がってくれているのよね?!あたしにはわかってるんだから!!



「ロゼ、ジョン、一緒に暮らせなくなるのは寂しいけど、あたし、パパとママと一緒に暮らすね」


「仕方ねぇなぁ。アイラが決めたことなら止めないさ」


ニッと笑うジョン。


そっか。あたしが抵抗してたから、一緒に和馬お兄ちゃんに文句を言ってくれてたのね。


ジョンはやっぱり優しいな~。


そして、ちらっとロゼを見れば、ロゼも優しくあたしに笑いかけてくれた。


「プリンシアはパパとママと一緒がいいのかしら?ここの暮らしは不満?」


「ううん、不満とかじゃないけど・・・。でも、パパとママが日本に帰ってくるなら、やっぱり一緒にいないとね。あ、でもきっと、仕事で忙しいのは変わらないかもしれないけど」


「寂しくなったらここにいらっしゃい。いつでも歓迎するわ」


「そーだ、そーだ!!家でひとりでお留守番するならここに来いよ!!」


「・・・おまえら、ここは俺の家だぞ・・・・・・?」


ロゼとジョンの言葉に、和馬お兄ちゃんがげんなりと一応言い返してる。


あはは、とあたしは笑ってからふたりに返事をした。


「うん、ありがとう!!・・・でも、あたし、この家にいても夜にひとりで留守番することも結構あったけど・・・?」


だって、なぜかいつも、みんなでお仕事の日が一緒になるんだもん。


ジョンも、マジックショーは来日したてのときよりは減ったって言うけど突然ふらりといなくなるし、和馬お兄ちゃんはバイトで忙しいし、ロゼもお仕事でいないことがあるし。


「あ~・・・まぁ~・・・仕方ない・・・・・・よな?」


煮え切らない和馬お兄ちゃんの言葉に、苦笑混じりに頷くロゼとジョン。


ま、お仕事ならたしかに仕方ないけどさ。



「よし!!それならアイラのお別れ会をやらなくちゃな!!マジックも盛大にやってやるぜ?!」


「そうね、そうと決まったら急いで準備をした方がいいわね。プリンシアのご両親が帰国してからの方がいいわね」


「ってことは、4月4日か。ん、時間もあるし、余裕だな!!」


「・・・お~い、何を勝手に決めてる~?」


着々とあたしのお別れ会の話し合いを進めてくれる、ジョンとロゼ。それに諦め半分以上で突っ込む和馬お兄ちゃん。


こういう光景も、もうすぐ見られなくなっちゃうのか~。


やっぱり、寂しいな・・・・・・。



「しょんぼりするなよ、アイラ!!いつでも会えるんだからさ!!」


「・・・うん」


そうだよね、すぐに会いに行けるもんね。同じ町に暮らすんだもん。・・・たぶん。


パパとママのことだから、きっとまだ家のこととか決めてないだろうけど。


「アイラのいない生活か~。なんか殺伐としそうだよな、ジュニア?」


「まぁな~。妙な空気にはなりそうだな」


ジョンのぼんやりとした呟きに、同じようにぼんやりと返す和馬お兄ちゃん。そして、ちらっとあたしを見てぽつりと洩らした。


「・・・確かに、寂しくなるかも、な」


え、え、なに?!


突然素直になっちゃって、どうしたの、和馬お兄ちゃん?!


「・・・なにビックリした顔してるんだ、愛良?」


「・・・だって、和馬お兄ちゃんが素直だから」


「なんだそりゃ」


こつん、と和馬お兄ちゃんがあたしの頭を軽く小突く。


でも、すごく優しい目で、優しい声で、あたしに言った。


「いつでも会えるさ」


・・・うん。


すごくすごく寂しいけど、今の賑やかな生活が大好きだけど、でも、パパとママとの時間も大事だから、我慢するよ。



あたし、和馬お兄ちゃんの家を出るよ。


涙が出そうになるのを必死にこらえながら、あたしはそう、決意した。




お久しぶりです、紫月です!

とてもありがたいことに、ご要望をいただいたので、調子にのって、第二部も載せてみることにしました(笑)


そんなわけで、2年目突入です~!!

が、突入早々、急展開です(笑)

ま、フツーに考えて、そろそろご両親の帰国の時期で、そうしたら愛良も家を出なきゃいけないかなぁと。


2年目は、1年目とスタイルが変わりまして、愛良と和馬のサイドで話が進むのは相変わらずですが、1年目のように、1つの話を愛良と和馬の視点でそれぞれ描くようなことはないです。

どちらかの視点で話をどんどん進めていきます!!


それでは、マイペースな更新となりますが、ご支援よろしくお願いします♪

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