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あたしの恋人  作者: 紫月 飛闇
Season1 始まりと出会い
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20、恒例の反省会  <Side 和馬>(前編)









何がなんだかさっぱりわからない状況で帰宅すれば、家の前には宗次の姿が。


俺が愛良と、そしてミスター・ベラルディというマジシャンと一緒にいるのが不思議に見えたようだ。


・・・・・・そりゃそうだな。




とりあえず中に入って話を、と思ったら、そのマジシャンが挨拶代わりのマジックを披露しながら宗次に名乗った。


「オレの名前はジョン・ベラルディ。この家で厄介になることになったから」


にっこり笑うマジシャンと呆気にとられている宗次。


・・・とりあえず、俺は初めてこいつのフルネームを知ることができた。




ヨーロッパのマジシャン、ジョン・ベラルディ。


しかし、その裏では、どうやら怪盗カヴァリエーレとして暗躍している疑いがある。


何のために日本に来て、何故俺の家で暮らすと言い出したのか、俺は知る必要があった。


なぜなら、彼は<失われた誕生石>のことと、怪盗夜叉の前任の怪盗のことを知っているようだったから。










20、恒例の反省会;;     <Side 和馬>(前編)










神出鬼没極まりない愛良をとりあえず叱って、愛良が部屋に戻ったのを見計らって、俺は口を開いた。


「・・・色々、聞きたい話があるんだけど?」


「僕は、できたらなんでこんな状況になっているのか、から知りたいけどね」


はぁ、とため息混じりに言う実に視線を向けたジョンが、にやり、と笑った。


「ふぅん?アイラには正体を話していなくても、このふたりは怪盗夜叉の正体を知っている。そういう解釈でいいのかな?」


「それはちょっと違うな」


ソファーでごろごろしていた宗次が起き上がって、まっすぐにジョンを射止める。


「俺たちも怪盗夜叉だ」


「・・・は?じゃぁ、日本には怪盗夜叉が3人いるのか?!影武者?!」


「そうじゃない。宗次も実も、俺が怪盗として動くのをサポートしてくれているんだ。実行犯としての怪盗夜叉は、俺一人だ」


混乱し始めたジョンに、俺はきっぱりと言い切って説明する。そして今度は実と宗次に向き直る。




「怪盗カヴァリエーレが呼びつけてきた場所に行ったら、このジョン・ベラルディがいたんだ。・・・で、なんでだか俺にもわからないまま、ここで暮らすとか言い出してるんだよ」


「じゃぁ・・・怪盗カヴァリエーレの正体はジョン・ベラルディ・・・・・・あなたなんですか?」


実が事実を噛み締めるようにして、ゆっくりとジョンに問い掛ける。そのジョンは悠然と笑って、俺たちに言った。


「それに答えてもいいけど、その前にオレの質問に答えてくれない?」


こっちは聞きたいことが山ほどあるのに、焦らすようにジョンは指を一本たてる。実や宗次と視線を交わしてから、俺は頷いた。



「・・・なんだ?」


「・・・君たちの前任の怪盗・・・・・・<怪盗月読>はどうした?!なぜ、日本から消えた?!」


その表情は、先程のふざけたような顔ではなく。


今にも泣き出しそうな、そんな苦しそうな表情でジョンは尋ねてくる。


すでに、もうその答えを知っていて、それを否定してもらいたがっているかのように。






「・・・死んだよ。殺された」


俺は、無表情に、淡々と告げた。





「ふたりとも・・・か・・・?」


「あぁ」


「ルナもアイツも・・・?」


「そうだ。怪盗月読の正体である父さんも母さんも死んだ。<失われた誕生石>を追う<組織>に殺された」


「そん・・・な・・・・・・」


床に崩れ落ちるジョン・ベラルディ。


俺は、不思議と心乱されることなく、淡々とジョンに事実を伝えることができた自分に驚いていた。


数年前は、その事実を受け入れることすらできなかったのに。





「ジョン、父さんと母さんを知っているのか?それとも、怪盗月読を知っているのか?」


俺が問い掛けても、彼はゆるゆると首を振るだけ。


「信じられなかった・・・。怪盗月読が死んだと情報が伝わってきたとき・・・嘘だと思った・・・・・・。ルナは、<約束>を覚えていてくれると思っていたから・・・」


「約束?」


「・・・<組織>だと言ったな・・・?日本にも、<失われた誕生石>を狙う<組織>があるんだな?!」


「日本にも・・・ってことはヨーロッパにも・・・?」


「許さない・・・ルナを殺した奴等を絶対に許さない・・・・・・!!」




こちらの質問をとことん無視してぶつぶつと呟くジョン。


「なんつーか、これほどまでにこっちのことシカトしてくれると、いっそ清々しいな」


宗次が苦笑混じりに言い、俺も苦笑を返す。だけど、いつまでもジョンを暴走をさせたままにはしておけない。


「ジョン!!」


まだ床に崩れたままのジョンの肩を掴んで、彼の意識をこちらに戻させる。



「今度は俺たちが質問する番だ。・・・あなたは怪盗カヴァリエーレなんだな?」


「・・・あぁ、そうだ」


絶望を映した虚ろな瞳で彼は答える。だけど、俺は構わずに質問を続けた。


「母さんと・・・瀬戸 瑠菜と知り合いなのか?それとも、怪盗月読と会ったことが?」


「・・・・・・怪盗月読になる前のルナを知っていたんだ。ルナとの<約束>のためにオレは怪盗をしていたのに・・・。・・・ルナが死んだと聞いて、いても立ってもいられなかった。それでも中途半端にしたくはなかったから、ちゃんと<約束>を果たしたんだ」


「<約束>って・・・」


「こうなってしまっては、もう意味のないことだよ」


投げ槍にジョンは言い捨てる。



だけど、ジョンが母さんと知り合いなのはわかった。


そして、怪盗月読のこと、<失われた誕生石>のことを知っていることも。





「・・・オレはルナを殺した奴等に復讐するまでは日本を離れない。・・・ジュニア、おまえが怪盗をしているのも、ルナを殺した<組織>に復讐するためだろ?」


復讐はよくない。憎しみを憎しみで返せば、負の連鎖が続く。


そんな、ありきたりな道徳心は俺は持ち合わせてはいない。


これは、復讐のため。


どんな犯罪に手を染めても。



「・・・あぁ、そうだよ」


「なら、オレもそうすることに異論はないな?」


「・・・<シリーズ>収集には協力してもらえるのか?」


「それとこれは別だろ?ルナが手に入れたかったものを手に入れるのは、オレの役目だ」



・・・なんでだよ。



宗次の問い掛けにあっさりと拒絶を示したジョンの言い分に、俺たちの心の声が一致する。


「あ、そいえば、なんでさっき、この家に入るときにふらついたんだ?」


「あぁ、磁場にやられたんだよ」


宗次の疑問に俺が答えると、ジョンが不服そうに頷いた。


「磁場が狂っているとこなんてよくあるけど、ここの狂い方は異常だろ?正常値と異常値が混在しているみたいで、くらくらしたぞ?」


「・・・たしかに、この家の電波、変だもんな~」


くすくす笑いながら宗次が同意する。


「携帯の電波はあるのに、通信機や盗聴機の類いは使えないもんな。不思議な磁場だよな~」



そうなのだ。


この家は「普通」に暮らすには問題ない電波が通っているのだが、<仕事>に必要な通信機等は一切通じないのだ。


そんな調子だからもちろん、盗聴機だって使えない。仮に<組織>の連中がこの家に仕掛けたとしても、使い物にならないだろう。


闇世界の住人、ノワールと暮らしていても多少は心穏やかでいられるのも、この不思議な磁場のお陰だけど。




「これはもともと狂ってるんじゃなくて、わざとこうしたな?」


「そうみたいだな。父さんがそうしたみたいだけど」


「・・・アイツが・・・」


ジョンがなぜか悔しそうに呟く。だけどすぐにいたずらっ子のような笑みを俺たちに向けた。



「とりあえず、そんなわけでここで厄介になるからな」


「・・・だから、なんでそうなるんだよ?」


「ん?だからほら、オレは怪盗としては君たちの先輩だし?何より、ルナの愛息子を見守らなきゃ、ルナに恨まれちまうし、な」


「いや、ちょっと・・・」


「あぁ、大丈夫、大丈夫。怪盗夜叉の正体をアイラには言わないよ」


「そうじゃなくて・・・」


「あ、荷物の心配?そうだなぁ、マジックの小道具がそこそこあるから、部屋が余ってたら欲しいんだけど・・・部屋、余ってる?」


「余ってはいるけど・・・」


「じゃぁ問題ないな」



問題あるだろ!!


どんどん勝手に話を進めていくジョンに、俺たちは全く口を挟む余地がない。しかし、宗次がとんちんかんな疑問をジョンに投げた。




「なぁ、怪盗してるときもマジックしたりするのか?」


「まさか。マジックはジョン・ベラルディの仕事で、怪盗カヴァリエーレには関係ないし」


「・・・へぇ、意外だな。てっきり特技を活かして怪盗をしてると思ってた。マジック使ったら、簡単に警察撒けそうだし?」


つい俺までそんなことを溢すと、なぜかジョンにため息をつかれた。


「あのなぁ、怪盗ってのは盗むのが仕事で、観客にパフォーマンスすることでも、警察をおちょくるのが仕事でもない。隠密に素早く獲物を奪う。必要なときしか名乗らない。世間にその名を知らしめる必要はないからな。・・・怪盗月読だってそうだったろ?だから、怪盗月読の名を知る者は少ない」


ジト目でジョンが俺に説教をしてくる。



・・・そりゃ確かに、怪盗夜叉は派手にパフォーマンスもするし、堂々と警察もマスコミもおちょくってるけど・・・。


「・・・俺たちはマスコミを利用して、<組織>の連中をおびきだして情報を引き出すしかなかったんだよ」


「危ない橋を渡るな~だからひよっこなんだって」


肩を竦めてから、ジョンはぽん、と手を打った。


「よし、やっぱりオレがついてなくちゃだめだな。そんなわけでよろしく~」


鼻歌混じりにリビングを出ていくジョン。


その後ろ姿を俺と宗次、実は呆然と見送る。




・・・ジョンのやつ、「オレがついてなきゃ」とか言ってたけど、怪盗カヴァリエーレとして怪盗夜叉を手助けしないって言ってたじゃないか。


・・・いったい何なんだ?!




混乱しているのは3人とも同じ。無言のまま互いに顔を見合わせていると、ジョンが再びリビングに現れて、気まずそうに笑った。


「それで、オレってどの部屋を使っていいの?」


ちゃっかりしっかり、住み込む気満々のジョンのその台詞に、俺は苦笑しながらふたりに言った。



「仕方ない・・・よな?」


ふたりもそれに苦笑を返すだけ。まぁ、とりあえず、大きな害もなさそうだし、しばらく様子を見てみるか。




とうとうジョンの強い押しに根負けして、俺はそう判断した。


その4日後に、恐ろしい展開が待ち受けているとも知らずに。







ペラペラと、ジョンは話さなくていいことまでしゃべってます(汗)

もうちょっと自重してくれなきゃ、こっちの予定が~!!!

そんなこんなで、出てきましたね、<お月さま>の正体。

そうなんですよ~怪盗夜叉には怪盗月読という前任の怪盗がいたのです!!

でも、怪盗月読は、夜叉のように派手じゃなかったんですよ。怪盗月読の犯行についても、おいおい明らかになっちゃうと思います。


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