ラブな物語は突然に①
(.....この先、何があろうとフローラの事は絶対に俺が守ります。そして幸せにしてみせるので、安心してフローラの事を見守っていてやってください.....)
俺はフローラのお父さんにお墓に手を合わせ、心の中でそう誓った。
俺の周りの皆も、それぞれがフローラのお父さんの眠るお墓に向かい、それぞれ祈りを捧げている。
一通り挨拶も済み、俺達は少し早いがここで昼休憩を取る事にした。
「.....里の中は結構綺麗になってるけど、やっぱ周りはまだ荒れたまんまなんだな.....」
「.....里の中は.....ここで暮らしてた人達で.....少しづつ片づけていった.....でも.....森が元に戻るには時間が掛かる.....」
俺の呟きにフローラがそう言う。
そうか.....やっぱこの世界でも木々の成長には時間が掛かるんだな.....
「元々はここも、綺麗な場所だったんだろうな.....」
「.....うん.....綺麗で.....静かで.....素敵な場所だった.....」
フローラはどこか懐かしいような顔を浮かべる。
多分、昔を思い出しているのだろう。
「こんな綺麗な場所をぐちゃぐちゃにして攻めてくるなんてっ!僕は許せないよっ!」
「私も許せませんっ!」
「ウチも許さないっすよ」
「私も許せませんわ!それにこのような非道を行う輩など絶対に私が見つけたら処分致しますわ!」
「うむ。今は妾達が付いておる。そのような阿呆は魂の髄まで後悔させてやるのじゃ!」
どうやら嫁さんズは怒りが込み上げてきているようで、プリプリと怒っていた。
「.....フフッ.....ありがとう.....でも.....その国はもう無い.....タカシ陛下が.....滅ぼした.....」
フローラはそんな仲間達の想いが嬉しかったのか、小さく笑うとそう言った。
ってか既におじさんが手を下してるのね.....
流石に滅ぼすのはやり過ぎなんじゃね?っとは微塵も思わない。
フローラに悲しい思いをさせる国など滅びればいいと思うよ?
おじさんが滅ぼさなくても、俺が滅ぼしに行ってやるわっ!
そのぐらい俺はフローラの事が大切だ。
「流石お父様ですわっ!そのような下種な国等滅ぼして正解ですわね!」
リリーナも俺と似たような事を思ったのか、おじさんの行動を称えている。
「.....今は皆も居るし.....わたしも強くなった.....今度はきっと.....守る.....」
そうだな.....今のフローラなら確実に護れるだろう。
「いつでも妾達を呼ぶんじゃぞ?」
「そうっすよ?いつでも駆けつけるっす」
「僕もいつでも力を貸すよっ!」
「私もです!いつでも言ってください!」
「私もですわ。懲らしめてやりまわ」
「.....ありがとう.....頼りにしてる.....」
うんうん。妻同士の仲も良好で素晴らしい事だな。
.....でも、結束して俺に迫るのはもう少し自重してくれないかな?
こうして俺達がのんびり過ごしていると、突然誰かが声を掛けて来た。
「君達は誰だい?.....何故このような場所に?」
俺達は驚いてそちらを振り向くと、そこには1人のエルフ族の男性が立っていた。
手には花束を持っており、どうやらこの里で暮らしていたエルフ族のようだ。
多分墓参りに来たのだろう。
フローラはその男性を見て驚く。
「.....ッ!?.....フリーグルお兄ちゃん.....?」
フリーグルと呼ばれたエルフ族の男性は、フローラを見ると思わず手に持っていた花を地面に落とした。
「.....フローラ?フローラなのかい?無事だったんだね!?」
フリーグルは涙ぐんでフローラに近づくと、そのままフローラの手を握りしめた。
「おばさんからどこかに逃げたとは聞いてたけど、行方が分からなくてずっと探してたって聞いたよ?この事はおばさんは知ってるのかい?今までどこにいたんだい?それにどうしてここに?」
「.....ママとはもう会った.....わたしは.....今までジン様に保護されて.....上に居た.....」
「だからかっ!それでどこを探してみ見つからない訳だよ.....でも、フローラが無事で本当に良かったよ!」
「.....わたしも.....フリーグルお兄ちゃんが.....生きててくれて嬉しい.....」
2人が再開を喜び合っている姿はとてもいい事だと思うのだが、そろそろ俺達にも紹介して欲しい。
「え~っと、フローラの知り合いか?」
俺がそう聞くと
「.....わたしの家の.....隣に住んでた.....フリーグルお兄ちゃん.....」
「初めまして。私はフリーグルです。昔フローラ達の隣に住んでましてね、それでフローラの事は妹みたいに可愛がってたんですよ」
「あっ、初めまして。カズキと申します。フローラの旦那です」
フローラの紹介を受け、フリーグルさんが自己紹介をしてくれたので俺も挨拶を返す。
「えっ!?フローラ、結婚したのかい?それはおめでたいねっ!おめでとう!」
「.....うん.....ありがとう.....フリーグルお兄ちゃんは.....結婚は.....?」
「いやぁ、僕はまだだね.....こう、ビビッとくる人と中々出会えなくて.....ね?.....」
フリーグルさんは、何故か突然ある方を向いて固まった。
その視線の先には、ピコさんが居る。
ピコさんも何故かフリーグルさんを見て固まっていた。
一体何事だ?と俺達が驚いていると、フリーグルさんはピコさんへとフラフラと近寄って行く。
そしてピコさんの手をガシッと掴むと
「突然すいません.....もしよろしければお名前を教えていただけませんか?」
とピコさんに尋ねていた。
「あの.....私はピコと申します」
「ピコさんですね?可憐でとても美しくて、とても素敵なあなたによく似あったお名前ですね」
「えっ?あっ、はい。ありがとうございます」
.....何ぞコレ?
「あぁ、今日この場であなたに出会えたのはまさに奇跡だ!失礼ですが、ご結婚や恋人等は?」
「い、いえ、そのような方はおりませんが.....」
「まさに運命だ!どうか是非、私とお付き合いをしてくださいませんか?」
「あの.....そんな事を急に言われても困るんですが.....」
「私があなたの好みではないと言うのであれば、私も潔く身を引きましょう。しかし、そうでないと言うのであれば是非っ!」
.....ねぇ、なんでいきなりピコさんを口説き出してんの?
ピコさんも突然の事に戸惑ってるじゃねぇかっ!
「申し訳ありません。私にはリリーナ様の傍仕えと護衛の仕事がありますので.....」
「なるほど、その主を説得すればいいのですね?」
「いえ、そういう訳では.....」
まぁ突然口説かれて、ハイ分かりましたって仕事を放りだすような人じゃないよな。
しかしグイグイ行くな。
「あらっ?私は構いませんわよ?せっかくピコに春が来たんですもの。私は全力で応援しますわよ?」
「り、リリーナ様っ!?」
そんなリリーナの台詞にピコさんは驚きの声を上げる。
いや、そりゃ驚くよね。
俺もビックリだよ.....
なんで突然ラブなストーリーが始まってるんだよっ!!
急展開過ぎて付いていけねぇよっ!!
こうして俺は、突然起こった急展開に少し混乱しつつ、成り行きを見守るのであった。




