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突然!異世界ライフ~とりあえずのんびり生きていこうと思います~  作者: おる・かん
第4章・樹海国家ユグドレフィア
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フローラの父

フローラ視点のお話です。

少し暗いお話かもです.....

ユグドレフィアの大樹様の元にある1番大きな里、わたし達は今、そこで行われる宝樹祭を見に行く為にそこへ移動中だ。


ユグドレフィアには人族の街のような宿はないので、道中は野営がメインとなるのだが、その野営中にわたしは皆にある事をお願いしていた。


「寄りたい所?別に俺はいいけど.....何かあるのか?」


わたしはカズキ様に、自分が元暮らしていた里へ行きたい、そこでパパのお墓参りをしに寄りたいと説明した。

わたしのパパは、里が襲われた時に命を落とした。

戦闘はからっきしで、魔道具の研究が好きだったパパ。

そんなパパは、ママを、わたしを、そして里の皆を守る為に命を賭けて戦って、そして散っていった.....


わたしの説明を聞いたカズキ様は、直に真剣な表情となり


「行こう。それに.....俺もフローラのお父さんに挨拶しとかないとな」


っと言ってわたしに笑顔を向けてくれた。


「皆もそれで良いよな?」


カズキ様がそう言うと


「無論じゃ。フローラの父に妾達も同じ妻仲間として挨拶しとかねばの」

「当然いいすっよ」

「僕も挨拶しに行くよっ!」

「私も構いません!」

「勿論私も構いませんわ」

「.....皆.....ありがとう.....」


わたしは良い友達に恵まれたと心からそう思う。


そして翌日、わたし達は元わたしが暮らしていた里のある場所までやってきた。

豊かな自然の木々に囲まれていた美しい場所は今では見る影も無く、焼け焦げてポッカリとハゲた森や、荒れた大地等、戦火の爪痕が今でも大きく残っていた。

その中の1部に綺麗に整理された場所があり、そこには多くの墓標が立っていた。

この里を、家族を、自分の大切な人を必死で守ろうと戦った者達が眠る場所だ。

その中の1つの墓標にわたしは近づく。


「.....パパ.....」


私は思わずそう呟くと、目からポロポロと涙が流れ、あの時の事を思い出す.....





☆☆☆


「くそっ!駄目だっ.....囲まれている!」

「パパ.....」

「大丈夫だ!パパが絶対に守ってやるからな?」


わたしを安心させるようにパパはそう言って、わたしの首に何かを掛けてくる。


「それは転移の魔道具だ。だけど、まだ試作品でどこに飛ぶのか分からない欠陥品だ.....でも、コレがあればフローラだけはここを逃げる事が出来る。フローリア.....君の分は悪いけど.....」

「構わないわ!この子が助かるんなら私はそれだけで十分よ」

「.....すまない」

「.....謝らないで?私の、私たちの宝物は絶対に守ってみせるわ」

「あぁ、絶対に奴等に指1本触れさせてたまるかっ!」


この時、わたしはパパとママがわたしを助ける為に命を落とす覚悟を決めたのだと気付いた。


「パパとママも一緒に逃げるんだよね!?」


わたしは無理だと分かっていても、そう聞かずにはいられなかった。

そんなわたしをパパとママは優しく抱きしめながらこう言った。


「フローラ.....僕の可愛い天使よ.....幸せになるんだよ?」

「フローラ.....私達の宝物.....あんただけは絶対に死なせないわ」


パパとママはわたしから離れると、2人向き合い頷く。


「行ってくれ!ここは僕が突破口を開く!」

「分かったわ。フローラを非難させたら私も直に行くわ」

「パパっ!?ママっ!離してっ!パパがッ!パパがッ!!」


わたしはママに抱えられ、その場を離れて行く。


『いたぞっ!女が2人逃げたっ!逃がすなっ!!』

「行かせないよ?悪いけどこの先は通行止めだ!」

『この男を殺せっ!!1人ぐらい減っても問題はないっ!あの女共を逃すなっ!!』


そう言ってパパに大勢の兵士たちが襲い掛かる。

パパは戦闘が苦手だ。その上に敵の数が多すぎた。

すぐにパパは敵の矢の雨を受け、その槍で身体を貫かれる。


「ッ!?パパッ!?パパァァァァッ!!」


パパはその場に崩れ落ちると、わたしの方を向いて小さく口を動かす。


『幸せ.....に.....生き.....フロ.....愛し.....』


そしてパパはわたしの目の前で動かなくなった。


「パパッ!?.....やッ.....イヤァァァァァァッ!!!」


パパが亡くなった後も、敵はわたし達をしつこく追ってきていた。

泣きじゃくるわたしを抱えながら必死にママは走り続けた。

血が滲む程唇を噛み、その目からは涙が止まる事なく溢れでて、わたしの顔にポタポタと落ちてくる。


『くそっ!いつまで逃げる気だっ!オイッ!もういい!あの2人も殺せっ!』

『よろしいのですか?エルフの女ともなれば高く売れるのでは?』

『構わんっ!逃がすぐらいなら殺してしまえっ!それにこのまま追い詰めても抵抗してきて傷が付くからな。そうなれば価値も下がる。ならもう必要ないだろう?』


悔しい悔しい悔しいッ!

わたし達が何をしたって言うのっ!?ただ、静かに普通に暮らしていただけだ!

何でパパが殺されなくちゃいけないのっ!?

何でママとわたしがこんな思いをしないといけないのっ!?

絶対に許さないっ!絶対にっ!!ユルスモノカッ!!


わたしの中に激しい憎悪が沸き起こる。


「あぐっッ!.....」


その時、ママに敵が放った矢が刺さる。

ママは思わず地面に転ぶが、わたしだけは離さないようにしっかりと抱きしめていた。


『へっへっへ、手こずらせやがって。さっさと観念して捕まってたら生きてられたのによ』


敵はそんな事を言いながら下卑た笑いでわたし達を見下す。


こいつらだけは絶対に許せないっ!

例え刺し違えようとも、パパの仇はわたしが討つッ!!


わたしはそう覚悟を決め、その場に立ち上がると敵を睨みつける。


「駄目.....よ.....フローラ.....あなたは.....生きて.....」


肩で息をしながらママは私を抱きしめる。

そしてパパがくれた転移の魔道具に魔力を込め始めた。


「.....少し.....時間がかかるから.....振り切ってからって思ってたけど.....時間.....切れね.....」

『あの女、何かしようとしてるぞっ!させるなっ!止めるんだっ!』


敵はそう言ってママに大量の矢を放ってくる。

ママはわたしを庇うようにわたしを抱きしめると、その矢に背を向ける。


「アグッ.....」


わたしからは見えないが、ママの背には大量の矢が刺さったのだろう。

ママの口からは苦しそうな声が漏れ、ゴフッっと血を吐き出した。


「ママっ!?離してっ!2人で戦おうっ!!パパの仇を討とうっ!?」


わたしは必至にママを振りほどこうとするが、ママは抱きしめる力を緩めるどころか更に強くわたしを抱きしめる。


「.....フローラ.....ママとパパの分まで.....生きて.....そして.....愛する人を見つけて.....幸せになりなさい.....さよなうなら.....私の.....愛しいフローラ.....」

「ママっ!?何でそんな事言うのっ!?嫌だよっ!?絶対にわたしは嫌だからねっ!!」


そんなわたしの願いは空しく、わたしの首から下げた魔道具は眩く光り、わたしの視界を白く染めていった。


そして気が付くと、わたしはどこか知らない森の中に居た.....1人で。


わたしは1人で泣いた。

声が枯れ、その悔しさと絶望に支配された心はいくら泣いても晴れる事はなかった。


それから1週間程たったある日


「んんっ?何でこんな所にエルフが居るんだ?迷子か?」


わたしはジン様に出会った。

私はジン様に事情を説明するとジン様は


「そうか.....じゃあウチに来いよ?復讐するにしてもまずは生きてからだ!生きて力を付けないとな!何なら俺が鍛えてやろうか?」


そう言ってわたしを誘ってくれた。


ジン様の事を最初は胡散臭い人族だと警戒していたが、言う事ももっともなのでわたしはその人族を利用しようと考えた。

生きて、強くなって、絶対にあいつらに復讐を果たす為に.....


こうしてジン様に拾われたわたしは、そのまま上へと連れていかれた。

そこでジン様がミリアーナ様の旦那様と知って驚いた。

そしてそんな人物を利用しようとか考えてた自分が不敬で殺されてしまわないかと急に怖くなり、また泣いた。

.....今ではいい思い出だ。


そしてそこで過ごす内にカズキ様と出会い、地上に再び戻って来たと思えばママと再会した。

ママは生きていた。生きててくれたんだ。


ママに聞いた所、あの後直にタカシ陛下率いるラナード騎士団が来て命を救われたそうだ。

ラナードは元々、攻めて来た敵国がどこかに侵略しようとする情報は手にしていたらしく、近くまで来ていたのだそうだ。

だが、里は小さく数もそこそこ多い為、どこに攻め込むのかは分からずに後手に回ってしまったらしい。

わたしに会った時に、タカシ陛下凄く謝っていた。


『間に合わなくてすまん.....俺達がもっと早くに付いていれば.....』


そう言って頭を下げるタカシ陛下の手は、血が出る程強く握りしめられていた。


わたしはタカシ陛下に感謝こそすれ、恨みなど欠片も無い。

なので謝罪は不要ですよっと伝えておいた。


そしてわたし達の里に攻め込んできた敵は、国ごとラナードに滅ぼされて今は無いらしい。

わたしの復讐相手がいなくなった事にはすこしモヤモヤしたが、今はどうでもいい。

だって.....


(.....パパ.....私は今.....凄く幸せだよ.....)


わたしは心の中でパパにそう伝えると、パパのお墓の前で静かに手を合わせて目を瞑り祈る親友達、そして最愛の人の姿を見て、静かに笑顔を浮かべるのであった。

暗いお話は書いてて気分が滅入りますね~.....

でも書かないと私の物語としてのストーリーが.....うごごごっ!

って感じで毎回悩んでます(笑)

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