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突然!異世界ライフ~とりあえずのんびり生きていこうと思います~  作者: おる・かん
第3章・ライクニフ国
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ライクニフ側は崖っぷち

「お父さんっ!」

「キキっ!戻ったのかっ!魔物に襲われたと聞いたぞ!?無事か?どこも怪我をしてないか?」


俺達はローグンの街に到着し、先ずはキキさんを家へと送り届けた。

キキさんのお父さんで、この街のライクニフ側の領主でもあるザザさんは、娘が魔物に襲われたと言う情報をどこからか既に耳にしていたのであろう。

凄い剣幕でキキさんに近寄ると、一通り怪我のチェックをした後抱きしめていた。


「無事で良かった.....お前にもしもの事が無くて本当に良かった.....」

「お父さん.....」

「シャルミナ様、皆様、娘を助けて頂き本当に感謝いたします」


ザザさんはそう言って俺達に頭を下げてくる。


「なぁに、たまたま居合わせたに過ぎぬ。礼など不要じゃ」

「そのような訳には参りません!このお礼は必ずっ!.....しかしシャルミナ様、お久しぶりでございます。私の事を覚えておいででしょうか?」

「うん?.....う~ん?.....むっ!?もしやお主、城下で悪戯をしておった小僧か!?」

「ハハハッ!ええ、その通りでございます。50年前、悪戯をしてシャルミナ様にこっぴどく叱られたザザでございます」

「ほぉ~、あの悪ガキが立派になったもんじゃな!しかしお主がここに居るとはなぁ.....昔は近衛になるんだ~って言うておらなんだか?」

「私に武芸の才は無かったみたいでしてね、ですのでそちらは諦めて文官として魔王様を支えようと思い、もう勉強致しました」

「うむ、その心意気しかと届いたぞ。ポポイの奴も良い臣下を持てて幸せじゃろう」

「ハッ!そのお言葉、嬉しく思います」


ザザさんとシャルミナは顔見知りだったのか。

まぁ、シャルミナは昔はこの国で魔王様をしてた訳だし、それほど珍しくもないのかもしれないな。


「ところでキキよ、魔王様にはお会い出来たのか?良い返事は頂けたか?」


ザザさんの問いかけに、キキさんの表情は暗くなる。


「.....いいえ.....魔王様からは断られてしまいました.....」

「.....そうか.....いや、魔王様も多忙な方だ、仕方のない事だ」


キキさんの返事をキキ、ザザさんの表情が曇る。


「案ずるな!妾達がサクッと攻略してみせるわ!」


そんな2人の様子を見て、シャルミナが問題ないと胸を張る。


「んなっ!?ま、まさかシャルミナ様ご自身がっ!?キキッ!その話は本当なのか!?」

「え、ええ、シャルミナ様とカズキ様達がご協力してくださると.....」

「.....挨拶が遅れ、大変失礼しました。私はこの街のライクニフ側の街を統治しております、ザザと申します。この度は娘を助けて頂き、本当にありがとうございました」


ザザさんは驚きながらキキさんに確認を取ると、俺の方を向き頭を下げた。


「いえいえ、シャルミナが言った通り、たまたま間に合っただけですのでお気になさらず。私はカズキ・カミシロです。シャルミナとここに居る皆の旦那やってます」


俺もザザさんに自己紹介をして、ペコッと頭を下げる。


「.....カミシロ?そしてそのお顔と黒髪.....もしや、ジン様とミリア様のご子息でしょうか?」

「ええ、その通りです。2人と知り合いだったりするんですか?」


なんだかんだで俺の両親は有名だしな.....そして無駄に行動範囲も広いから、知り合いがどこに居ても不思議ではない。


「いえ、昔1度だけお会いしたことがあるぐらいですよ。しかし、その時の印象が強すぎて、忘れたくても忘れられないだけでして.....」

「.....あの、何か2人がご迷惑を?」

「いえいえいえっ!迷惑だなんてとんでもないっ!ただ、私の口からはちょっと.....」

「.....何か2人がすいません.....」

「いえいえ、カズキ様には責任の無い事ですので.....」


(.....おいっ!何をやらかしやがったっ!)


こんな所でも平常運転で非常識をまき散らす我が両親に、俺は思わず頭を抱える。

なんかこの場の空気が凄く微妙になってしまった.....


「そ、それで、この街の今の現状を教えてもらってもいいっすかね?」


そんな空気を払拭するように、ネルが話題を変える。


「は、はい!勿論です。今、この町は我々ライクニフとジーポーンの2国で統治している形となっておりますが、実は我々ライクニフ側は結構押し込まれております」

「何故そのような事に?」


俺は思わず聞き返す。


「実は、ダンジョンに挑んでいる冒険者がダンジョン内で襲われる事態が多発しておりまして.....しかも何故か我々ライクニフ側の冒険者ばかりが被害にあっております。そのせいで、ライクニフ側の冒険者の数が減り、攻略も進んでいないのです。しかし、ジーポーン側には被害は一切無く、順調に攻略を進めているのです。その為、最近ではダンジョンはジーポーンのモノだと主張するどころか、ローグンでさえもジーポーンの街だと言い出しましてね.....」

「なんじゃそれはっ!ジーポーンの策略なのは明らかではないかっ!」


シャルミナがプンスコと怒る。


「ええ、我々もそう思い抗議は行ったのですが、ジーポーン側は聞く耳を持ちません。更に、この街ではギルドもジーポーンとグルのようで、ダン賊退治の依頼を出しても中々受理されないのですよ」

「えっ?ギルドってもっと公平で厳しい組織なんじゃないの?」

「当初はそうでした。しかし、元々ライクニフとジーポーンで職員を雇っていたのですが、その、何と言いますか.....ライクニフ側の職員は、ジーポーン側の職員による暴力や陰湿な嫌がらせのせいで大半が辞めてしまい、今ではほぼジーポーンの職員のみで構成されております」

「むっ?なんじゃ?ダンジョンに入るのにギルドの許可がいるのかや?」

「いえ、ダンジョンに入るのに許可はいりません。しかし、この街の依頼はダンジョンの〇〇を取って来て欲しいとか、ほぼダンジョン関係の依頼なのです。なので自然とギルドとダンジョンが結び付けられているのです」

「ならばギルドに寄らずにダンジョンに入ればよいだけではないかや?」

「シャルミナ様の仰る事も確かですが、彼等も仕事をしないと生活出来ないのです。そして、そんな思いをするぐらいなと、他の街に流れて行ってしまうんですよ.....他の街でも仕事は多いですからね」


う~ん、つまり、勝手にダンジョンに入ってもお金にはならないからあんまり入る意味はない。

なので自然とギルドに寄って依頼を受けてからダンジョンに入るのが当たり前になった。

しかし、ジーポーンの嫌がらせのせいで、ライクニフ側の冒険者でダンジョンに入る人が減った。

それどころか、他の街で仕事を受ける為にこの街から冒険者がドンドン減っていき、残ってるのはジーポーン側の者のみって事か?

おまけにギルドもジーポーンとほぼグルってんだから、面倒な事この上ないな.....


「ザザさん、俺達はこの街のダンジョンは攻略するつもりですけど、元々ランクを上げる為に賊退治に来たのが本来の目的なんですよ。今の状態のギルドで、賊退治の依頼って受けれるんですかね?」


ジーポーン側からすれば、ダン賊は部下みたいなモノなんだろ?それを討伐する依頼ってあるのかね?


「.....分かりません.....一応、我々から依頼は出してはいるのですが.....」


ふむ.....行ってみないと分からないって訳か。

さて、どうすっかな.....


「カズキ様、どうするのじゃ?」


考え込む俺に、シャルミナが聞いてくる。


「どうしようかね?.....一応、ギルドに1回は行ってみようかと思ってる」

「大丈夫なんすかね?面倒な事になる気もするっすけど?」

「まぁ、そこはあんまり心配してない。絡んでくるならぶっ飛ばすだけだしな」


んっ?待てよ.....


「シャルミナッ!もしかしたら、あの定番のお約束があるかもしれないぞっ!」

「むっ!?もしや漫画で出てくるアレか!?」

「そうだっ!これだけ治安が悪いってんなら、ほぼ確実に絡んでくるだろう?だって、皆可愛いしなっ!」

「確かにそうじゃなっ!妾達を見て欲情する馬鹿がワラワラと釣れそうじゃのっ!」

「くっくっく.....ラナード王国ではそんな事は起こらないからな.....いい機会だ」

「じゃの.....クフフッ.....いやぁ~、何か楽しみになってきたのぉ~」


フハハハハッ!関わりたくないと言ったな?それは嘘だっ!


きっと今の俺とシャルミナの顔は、物凄く悪い顔をしているだろう。


「あ、あの.....何故シャルミナ様とカズキ様は嬉しそうなんでしょうか?」

「あ~っ.....スルーでいいっすよ?あの2人の病気みたいなもんっすから.....」

「僕には理解できないけど、2人共漫画とかのお約束の展開が好きだからねっ!」

「.....あの2人は.....わたし達とは違う価値観を.....持ってる.....」

「カズキ様もシャルミナお姉ちゃんも楽しそうですね」

「絡まれるのを喜ぶなんて.....少し変態さんみたいですわね?」

「奥様、しっ!人の趣味はそれぞれでございます」


ザザさんが何やら呟き、それに嫁さん達が返事をしているが、声が小さくて俺にはよく聞き取れなかった。

まぁ、いいか!そんな事よりも楽しみが1つ出来た事を喜ぼうっ!


(いやぁ~、まさかこんな形でお約束を見る機会が来るとは!早くギルドに行きたいもんだなっ!)


こうして、ワクワクする俺とシャルミナに、他のメンバーは冷ややかな視線を向けるのであった。

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