アリアが来た理由
途中でアリアが来訪すると言うトラブル?はあったものの、俺達は無事、ギルドで紹介された宿までたどり着いた。
ロレアシで泊まった宿に比べると規模は小さく、そこまで豪勢な作りの部屋ではないがちゃんと清掃の行き届いた、とても清潔に保たれている部屋だ。
そして何と言ってもお風呂がある。とても素晴らしい宿だ。
ライクニフの国でもお風呂文化は広まってはいるが、まだまだ完全に根付いてはいない。
そして俺達は、今後の方針を決めるべく部屋で話し合いをしている訳なのだが.....
「.....何で俺はアリアに抱っこされて座すわる形になってるんでしょうかね?」
そう、俺は何故かアリアに抱っこされ、後ろから抱きしめられながらアリアの膝に座る形になっている。
「私の事をお気になさらず、どうぞお話をお続けください」
俺は少しの講義を込めアリア問いただしたのだが、アリアはどこ吹く風と言った感じで自分に構わず話を続けろと言ってくる。
「いや.....物凄く話し難いんだが.....」
「私の事はお気になさらず」
「それに、結構恥ずかしいのだが?」
「私の事はお気になさらず」
「あと、結構気が散ったりもするし.....」
「私の事はお気になさらず」
(駄目だよっ!全っ然引いてくれねぇ~よっ!俺を離してくれる気配ゼロだよっ!!)
俺はアリアから解放されるのを諦め、そのまま皆の方へと視線を向けた。
「.....あ~、それで?今後の方針なんだが.....」
俺は仕方なく、アリアに拘束されたまま話を切り出した。
「.....何か間抜けな姿じゃな.....」
「しっ!ダメだよっ!僕も少しそう思うけど.....」
「そうすっよ。思ってても口に出しちゃ駄目っす」
「.....威厳ゼロ.....気が抜ける姿.....」
「.....アリア様、羨ましいです.....」
「そうですわね。私もカズキ様を膝に乗せて撫でたいですわ」
「奥様、でしたら今晩にでも頼むのがよろしいかと」
キミ達?バッチリ聞こえてるからね!?
リロロとリリーナは羨ましがらないでっ!
ちゃんと今度やってあげるからっ!
おいっ!後ろの駄天使っ!ムフーッ、じゃねぇ~よムフーッじゃっ!!
「ハァ~.....もういいや.....それで、この国で賊退治となるとダンジョンに潜る必要があるって話だったよな?」
「そうすっすね。この先の街にある『ローグン』って街っすね」
「スンスン.....ハァハァ.....」
「街中にダンジョンがあるのか?危険じゃないのか?」
「そこは大丈夫じゃな。と言うより、ダンジョンがある場所に街を作ったのじゃ。その方が管理もしやすいし、ダンジョン目的で冒険者なども来るから自然と商人など人も集まりやすいんじゃよ」
「スーハースーハー.....ハァハァ.....」
「へぇ~、そんなもんなのか。そのダンジョンって管理者.....ダンジョンマスターって居るのか?」
「いや、おらんはずじゃ。言うてみれば、野良のダンジョンじゃな。攻略して初めて管理者であるダンジョンマスターを設けられるはずじゃな」
「スーッ.....ハァ~.....スーッ.....ハァ~.....」
「そんな仕組みなんだな.....ってごめん。ちょっと待ってて欲しい」
俺は皆に断りを入れ、先ほどから何やら怪しい行動を取っている後ろの人物に首を向ける。
「何やってんだよっ!さっきからっ!気が散るわっ!!」
俺は思わずアリアに対して怒鳴る。
「これはカズキ様成分を補給しているのです。私の事はどうかお構いなくお話をお続けください」
アリアは全く動じる事も無く、そのような事を言ってくる。
「構うわっ!!さっきから気になって話が頭に入ってこねぇ~よっ!!それに人を怪しい栄養素みたいな扱いするの辞めてくれないっ!?」
俺は昆布やワカメじゃないんだから、そんな成分出てたまるかっ!
「あぁ~、それは仕方ないっすね」
「じゃの。仕方ない事じゃな」
「.....カズキ様成分の不足は.....わたし達にとっては死活問題.....」
「だねぇ~、僕も我慢出来ないと思うよっ!」
「そうですね。私も我慢出来る自信はありません.....」
「カズキ様と離れるなど、今更不可能ですわ。私も同じ立場なら、間違いなく補給しますわね」
(.....そうかぁ~.....分かっちゃうのかぁ~.....)
驚いた事に、俺には何やら不思議成分が出ているらしい.....
「ぐぬぬ.....おいっ!そのドヤ顔を止めろっ!」
俺は思わぬ裏切りに歯噛みするが、アリアはどうだと言わんばかりの顔である。
.....もの凄くぶん殴りたい。
まぁ、俺が殴りかかった所で多分当たらないんだろうけど.....いや、当たるわ。
むしろアリア自ら当たりに来るわ。
そして物凄く喜ぶ変態の姿が安易に想像で出来るわ.....
よしっ!この話は忘れよう!
「.....じゃあ、次はローグンって街を目指すのは決定な。.....それで?いい加減、何しに来たのか話してくれないか?ただ俺に会いに来たって訳じゃないんだろう?何があったんだ?」
俺はアリアが来る事となった理由を問いただした。
アリアが単独で来たのだ、何か起こったに違いない。
「理由ですか?カズキ様にお会いしに来ただけですが?.....あぁ、ご心配なく。ちゃんと休暇を頂いて来ておりますのでご安心ください」
「へっ.....?何か起こったって訳じゃないのか?ただ俺に会いに来ただけ?それだけ?」
俺はまさかの返答に少し混乱する。
「カズキ様にお会いする事以上に大事な事などございません。あぁ、そう言えばお荷物を預かっておりました」
だ、だよな!?俺に会いに来るってだけな訳ないもんな!?
いや~、なんだよ。荷物を届けに来てくれたついでに俺に会えるって事か。
.....無理だよっ!自分を誤魔化せねぇ~よっ!そんな事の為にわざわざアリアに頼んだりしねぇ~よ、普通っ!!
どうやら本当に俺に会いに来ただけらし。
いや、アリアの事は嫌いではない。寧ろ感謝しているぐらいだが、流石にねぇ.....
両親より過保護だったり変態だったりと少し俺には持て余すだけで、全然嫌ってはいない。
.....ホントウダヨ?
「それで.....何を持ってきたんだ?」
俺は自分を誤魔化すように、アリアに訊ねた。
「こちらでございます」
アリアはそう言って、マジックボックスから何やらスマホみたいな物を取り出し、俺に手渡してくる。
.....俺をガッチリと拘束したまま、後ろから.....
「.....コレは?見た目はまんまスマホみたいなんだが?」
「こちらはミリア様と、いつでもご連絡出来る魔道具でございます」
「電話みたいなもんかよっ!いや、それならもっと話しやすい形状で良かったんじゃないの!?なんでスマホの形になってんだよっ!この世界にネットとかねぇ~だろっ!」
ってか、母さんからかよっ!
「いや、そもそもこんな物無くても、母さんなら自由に俺の所へ来れるんじゃないのか?」
母さんの事だ、きっと何食わぬ顔で気付いたら側に居そうである。
「ミリア様曰く『旅に出た息子からの連絡を心待ちにする母親、いいわよねぇ~』との事です」
母さんの趣味全開なだけじゃねぇ~かっ!!
俺は思わずそのスマホを地面に叩きつけようとする。
「ちなみにこの魔道具、ジン様やタカシ陛下にも繋がります」
そんなアリアの言葉に、俺はピタッと動きを止め、スマホをそそくさとしまった。
(いや、親父はどうでもいいが、おじさんと連絡取れるのはありがたいからな.....本当に.....)
こうして俺は、アリアが満足するまでアリアの抱き人形と化した。
アリアは2日後、ホクホクした顔で戻っていったが、どうやら満足したらしい。
アリアのせいで少し予定に遅れが生じたが、元々急ぐ旅でもないしな。
俺はそう頭を切り替え、次の街『ローグン』を目指して旅立つのであった。
~キャラ設定メモ⑮~
本名:ユリエル
種族:天使族
性別:女
身長・体重:160cm・??kg
年齢:?歳
好きな食べ物:特に無し
嫌いな食べ物:見た目グロい食材を使った料理
戦闘スタイル:アリア同様、魔法が得意な後衛職。
容姿:真っ白な長い髪をしており、瞳の色はアリアと同じ銀色であるが、やや目付きはアリアよりキツく、眼鏡をかけている。背の翼はアリアより少なく、4対8枚の翼である。
性格・その他:ミリアからの命令でライクニフでポポイの補佐を行っているアリアの妹。
真面目でクールそうに見えるが、結構冗談も通じるタイプ。
ミリアの息子でもあるカズキに対して高い忠誠心を持っているが、アリアと違い変態思考は持っていない、ミリアの眷属としては珍しい至って普通の眷属である。
長年ポポイと共に居る為、ポポイの事も満更ではない様子だが、まだまだ恋愛感情に疎い。
ジーポーン帝国がちょくちょくライクニフに攻め込んで来る為、度々ポポイと共に殲滅して返り討ちにしている。
いい加減鬱陶しいのでジーポーンを滅ぼしたいが、ミリアから止められている為我慢している。




