閑話・アリア、行っきま~す!
あぁ.....もうカズキ様のお顔を拝見出来ない日々が続いて約2か月になります。
いえ、正確には一月と26日16時間24分37秒になりますね。
カズキ様が居ない生活が、私をこれほど苦しめるとは.....以前の私からは考えられませんね。
これも全て、カズキ様の愛くるしさがイケないのだと思います。
目を瞑れば、私の脳裏にはカズキ様と過ごした日々が思い出されます。
『アリア、いつもありがとう。大好きだよ』
『アリア、俺はアリアが居ないと寂しくて駄目なんだ』
『アリア、悪い姉にはお仕置きが必要だと思わないか?』
『このメ〇豚がっ!お仕置きなのにこんなに嬉しそうな顔しやがって!』
『ほらっ!何が欲しいんだ?言ってみろっ!』
『ちゃんと言えたらご褒美をあげないとなぁ~』
私は、カズキ様との素晴らしい日々の数々を鮮明に思い浮かべる。
(注:全てアリアの妄想であり、そんな事実はありません)
「.....アリア様?顔がすっげぇ気持ち悪.....いででででっ!何でもないっ!何でもないですっ!」
私が幸せな日々を懐かしんでいると、カイエンが口を挟んできました。
少し何やら良くない事を言いたそうだったので、顔を掴んでお仕置きしておきましたが.....
まったく.....カイエンにも困ったものです。
エンカと結婚したとは聞きましたが、これではエンカは苦労するでしょうね。
「あぁ~痛ってぇ.....何でみんなすぐ、俺の顔面を握りつぶそうとするんだ?」
「ハァ~、カイエン.....貴方のその、思った事を直ぐ口に出すのは治しなさい。素直なのはいい事ですが、もう少しデリカシーを覚えなさい」
「母ちゃんやエンカも同じような事言ってたな.....でも、あんまり良く分かんねぇなぁ。だって、嘘を吐くのは駄目だろ?」
そんなカイエンの言葉に、私は思わず額に手を当て空を仰ぐ。
(ソウカ.....貴女も苦労してるのですね.....)
私は、部下でもあり、友人でもあるソウカの苦労を心の中で労わる。
「アリア様、ジン様とミリア様が御戻りになられました」
っと、その時、私の背後からメイド長が声を掛けてくる。
「分かりました。すぐに向かいます。カイエン、今日の訓練はここまでです。訓練し足りないと言うのであれば、誰か屋敷の者に頼みなさい」
私はカイエンにそう言い残すと、足早にお2人の元へと向かった。
「おかえりなさいませ、ミリア様、ジン様」
私はそう言うと、深く頭を下げる。
「ただいま~、アリアちゃん」
「留守の間すまんな。何か変わった事とかあったか?」
「いえ、特に問題はございませんでした。皆、いつも通りかと.....いえ、1つだけ問題が」
私はジン様の問いに、1つだけ訂正を加える。
「.....何かあったのか?」
私の言葉を聞き、ジン様とミリア様は真剣な顔つきになる。
「はい.....カズキ様と会えなくて寂しくて気が狂いそうです。もう一月と26日16時間51分45秒もお会いしていないのです!これは由々しき事態です!なので、即座に私にカズキ様成分の補給が必要かと思われます!」
「.....お、おうっ.....それは.....大変だな?」
ジン様は言葉を詰まらせ、苦笑いしておりますが、ミリア様は
「分かる.....分かるわ~、アリアちゃん。カズちゃんと会えないなんて、拷問にも等しい事よね~」
っと、私の気持ちを理解してくださっている様子。
「安心していいわよ~?ちゃんと明日からお休みをあげるから、カズちゃんと会ってくればいいのよ~」
「ああ、そうだな。今まで留守を頑張ってくれてたし、何なら1月程休むか?」
「いえ、お気持ちだけ受け取っておきます。休日は3日程もあれば十分かと。しかし、お言葉に甘えさせて頂き、カズキ様には会いに行こうかと思っております」
(あぁ、やっとカズキ様にお会いできる.....)
私の心の中に、歓喜の嵐が吹き荒れる。
しかし、私の本分はミリア様の補佐であり、1月も側を離れるなどあり得ない事だ。
3日も貰えれば、十分にカズキ様の元を訪れ、成分を補給出来る事だろう。
「じゃあ明日から行ってくるといいわよ~。カズちゃんの居場所は分かるかしら~?」
「はい、問題はございません」
この世界のどこに居られようとも、カズキ様の居場所など即座に分かる。
あの黒くて神々しい、魔力と神力の入り乱れた力強い波動.....あんなモノを垂れ流されれば、一目瞭然である。
分からない者など、ミリア様の眷属には不要だろう。
「明日の準備もあると思うから~、今日はもう下がってもいいわよ~」
「畏まりました。何か御用があれば、直ぐにお呼びください」
私はミリア様に頭を下げ、そう伝えて退室して行く。
(さて、お時間も頂いた事ですし、明日の準備でもしますか)
準備と言っても、そんなに大した事ではない。
精々、替えの着替えや下着を準備するぐらいだ。
いや.....鞭や蝋燭、その他の各種道具も必要になるかもしれない.....念の為、用意しておきましょう。
こうして翌日、私は背の10枚の翼を広げ、全速力でカズキ様の元へと空を駆ける。
(カズキ様、このアリアエル、今貴方様の元へ向かいます!)
この日、ラナード王国の上空に浮かぶ大陸から、一筋の白い光が多くの人に目撃された。
その光の軌跡は、まるで流星のような白い光の尾を引いていたのである。
そして、その白い流星は、一直線にライクニフ国の方へ向かって行くのであった。
やべー奴が動き始めました.....と言っても出番は短いんですけどね.....
次からライクニフ国でのお話です。




