大運動会・打ち上げ
その後、南学院チームは東学院との試合を行った。
最初にマイラクさんからの紹介通り、このチームは多彩な技で南学院チームを苦しめた。
うちのDF陣も、この技の多さに翻弄され、中々止める事が難しかったのだ。
だが、このチームは技は多いが決定力に欠けていた。
結局、点取り合戦っとなった試合をなんとかモノにし、結果10対8で勝利を収める事が出来た。
最後の西学院との試合。ここは東学院とは逆で、1点をどちらが取るのかという試合となった。
西学院は前評判の高い守備力を売りとした、カウンターで攻めてきた。
うちも何度か危ない場面もあったのだが、これはうちのGKのモーリザキくんが必死に頑張って0点に抑えた。
うちの攻撃陣も、中々相手の守りを抜く事が出来ず、引き分けで終わるかと思われたその時、うちのキャプテンでもあるフェザーくんが1点を上げる事に成功し、そのまま勝利となった。
キャプテンのフェザーくんの、意地の1点だ。
こうして今回南学院は、見事に初優勝を飾る事が出来た。
2位は北学院
3位は同率で、西と東学院となったのだ。
リングゲットの方は、惜しくも2位だったらしいのだが、こちらも念願の初勝利は無事に収める事が出来たので、子供達も今後は自信を持ってプレイしていく事だろう。
残念ながら、その他の競技では目覚ましい活躍は出来なかったらしく、総合は3位という形で幕を閉じた。
そして俺達は今、全学院の生徒達を含め、打ち上げとしてバーベキュー大会をしている。
ちなみに打ち上げが始まって直ぐ、感動したセシリアさんが、南学院の生徒達を号泣しながら抱きしめて、悶え苦しむ生徒を助け出すと言ったハプニングもあった。
そして南学院の生徒達に、西と東の生徒達が、馬鹿にしてごめんと謝っている姿も確認できた。
今は楽しそうにお喋りしながら一緒にお肉を頬張っている。
うんうん、いい事だ。
やはり子供は仲良く楽しそうなのが1番だな。
.....さて、そろそろ現実逃避は止めて、目の前の現実に目を向けよう.....
俺の目の前には今、おじさんが腕を組んで仁王立ちしている。
そして俺は、何故か地面に正座をさせられていた。
(嫁さん達っ!助けてっ!)
俺はチラっと嫁さんズに目を向けると、皆楽しそうに生徒達と話していた。
(そういや、フローラは俺と共犯みたいなもんじゃないのかっ!?)
俺はフローラに視線を向けると、楽しそうにフローリアさんとお喋りしているフローラの姿が目に入った。
流石に久々に再開した親子の会話を放り出して、俺と一緒に説教されろとは言えない。
(くっ.....諦めるしかないのか.....しかし、フローラとフローリアさんは本当に親子なんだろうか?)
どこがとは言わないが、格差社会があり過ぎるのではなかろうか?
それとも、フローラもいずれはあのぐらになるのだろうか?
「よそ見とはいい度胸だな?アァンッ?」
そんな俺の態度を見て、おじさんは凄む。
「いや、よく考えたらなんで俺が正座させられて説教受けなきゃいけないんだよっ!?別に変な事とかしてないぞっ!俺は悪くねぇっ!!」
「やかましいっ!だったらなんで子供達があんな事になったんだよっ!」
「そんなん俺が聞きたいぐらいだわっ!!」
「あの生徒達は、お前以外に指導は受けていないそうだぞ?んん?どういう事かな?しらばっくれてないで、何をしでかしたのか正直に吐けっ!」
「失敬なっ!何もしてないわっ!」
こうして俺とおじさんは、しばらくの間『何もしてない』『嘘付け!正直に吐け』と押し問答を繰り返すのであった。
「はぁ!?ドロケイってあの日本の遊びのドロケイか?それを教えただけで、なんであんな事になってるんだよ.....」
おじさんは、俺の説明を聞き、驚くと同時に頭を抱え込む。
「そんなもん、俺が教えて欲しいぐらいだわっ!俺はただ、チームワークや状況判断の向上に、少しは役に立つかなぁぐらいの軽い気持ちで教えただけなんだぞっ!」
「.....じゃあ何か?あの『トリプルバーストシュート』とか『スピントルネードキャノン』とか、生徒達が自分で考えて練習してたって事か?」
「.....多分」
「.....『イリュージョンタックル』とか『サンダーボルトドリブル』とかも?」
「.....多分」
俺とおじさんは見つめ合い、しばらく沈黙が続く。
「嘘付けぇぇぇぇ!!そんな真似が出来て、何で万年最下位だったんだよっ!どこの天才の集まりだよっ!嘘吐くならもっとマシな嘘吐けやっ!このど阿呆がっ!」
「嘘じゃねぇって言ってんだろうがっ!このボケぇぇぇぇ!!」
俺とおじさんはお互いの両手をガシッっと握り、睨み合う。
「はいはい。お父様もカズキ様もそこまでですわ!」
パンパンと手を叩きながら、リリーナが仲裁に割って入ってくる。
「生徒達が頑張ったから成長できた。それでよろしいのではなくて?それともお父様は、生徒達が成長する事に不満でもあるのかしら?」
「うぐっ.....不満はない!不満はないのだが.....」
「お父様?」
「.....分かった!分かったって!もう言わんから、そんなに睨むな!.....ハァ~ッ.....なんでこいつら親子が絡むと、こんな非常識な事がポンポン起こるんだよ.....カズキ.....やっぱお前、間違いなくジンの息子だわ.....」
おじさんはそう言うと、トボトボと城へと戻って行った。
おいっ!俺は常識人だぞっ!あんな非常識の塊みたいな2人と一緒にするんじゃないっ!
っとと、それよりもだ。
「ありがとう、リリーナ。助かったよ。本当の事なのに、なんで信じてくれないんだろうな?」
俺はリリーナお礼を告げ、少し愚痴る。
俺のそんな言葉に少し苦笑いを浮かべるが、すぐに元に戻りリリーナは俺に告げる。
「カズキ様。南学院の生徒達への指導力、見させて頂きましたわ。やはりカズキ様は、私の思ってた以上に素晴らしい殿方だった訳ですわっ!」
ねぇ、話聞いてた?俺、何も特別な事してないんですけど?
そんなにキラキラした瞳を向けないでください。恥ずかしくて死んでしまいます.....
「いや、だから俺は別に何もしてないって。生徒達が自分達で頑張った結果だと思うぞ?」
「いいえ、そんな事はありませんわっ!生徒達が頑張ったのは事実でしょう。ですが、それは指導者あっての事ですわっ!」
そう言ってくるリリーナは、何故か顔を真っ赤にさせている。
「あ、あの、それで、もし宜しければなんですが.....今夜私と.....」
あっ、ヤバい。
「おっ!フェザーじゃないかっ!今日はよく頑張ったな!」
俺はリリーナから離れる為、とっさにフェザーに話しかけてその場から逃げる。
えっ?何がヤバいのかって?
それはもちろん、俺の貞操だ。
あのリリーナの目、夜の嫁さんズと同じような目をしていた。まさしく捕食者の目だ。
こちとら、伊達に毎夜毎夜食い散らかされてないんだよっ!
.....何か言ってて悲しくなってきた.....
ってか、リリーナに手を出せば、必ずセットでこの国が付いてくるのだ。
まだ、俺にそんな覚悟はない。それに何か、ピコさんも付いてきそうな気がする.....
確かにリリーナは綺麗で可愛いし、スタイルも良い。性格も優しくてなんだかんだで色々と尽くしてくれるだろう。
この国と関係ないとなれば、喜んでお相手をするんだが.....
何度も断っているが、全く諦めてくれそうにないのでそこはもう諦めた。
が、国を背負わされるのは御免被る。
(何とか方法を考えないとなぁ.....まぁ、今は南学院の勝利を祝って、打ち上げを楽しもう)
こうして、打ち上げと言う名の宴会は、夜遅くまで行われるのであった。




