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突然!異世界ライフ~とりあえずのんびり生きていこうと思います~  作者: おる・かん
第2章・ラナード王国
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大運動会①

月日が経つのは早いもので、あっという間に大運動会の当日になった。

子供達と一緒に頑張りながらも、俺にもそれはもう、色々とあったのだ。


まず、その日の晩に、約束通りフローラに襲われ頑張ったり.....

その後は、罰の期間が空けた、リロロ、ミラーカ、シャルミナに襲われたり.....

そして1人、罰の期間が長かったネルにも、期間が空けたと同時に襲われたりと本当に大変だった。


.....あれ?.....おかしいな?

なんか襲われた記憶しか残ってないんだが.....


ま、まぁ、気にしないでおこう。

深く考えたら負けだ.....


そんなこんなで俺達は今、運動会の会場となる場所へ来ている。

この場所は本来、騎士団などの演習でよく利用されている場所で、王城からも近い。

日本にある競技場とまではいかないが、中々広く、近くには体育館のような場所も建っている。

『リングゲット』と『ボールシュート』は1試合に時間がかかる為、丸1日かけて行われる。

その為、この2つの競技はそれぞれが同時進行で行われるのだ。

この2つ以外の競技も、少し離れた場所で同時に行うらしく、保護者達は自分の子供の参加する競技の会場に応援に行くらしい。

なので俺達も、それぞれ別れて子供達に付き添っている。

『リングゲット』にリロロ、フローラ、ネルが。

『ボールシュート』に俺、ミラーカ、シャルミナ、リリーナとピコさんだ。

リリーナ達が別れていないのは、ピコさんはリリーナの護衛も兼ねているので離れる事が出来ない為だ。

その代わり、代役を送っているとの事なので、心配はいらいのだろう。


俺達は、それぞれ各チームの子供達の元へと向かった。


俺は子供達にエールを送る為に近づく。

子供達は見るからに緊張しており、何やら顔色も優れない様子だ。


「お前ら、緊張し過ぎだ。そんなんじゃ勝てるもんも勝てなくなるぞ?ほれっ!深呼吸、深呼吸」


俺がそう言うと、子供達は必死にスーハ―スーハ―と深呼吸をしているが、あまり効果はないようだ。

俺は、本当に大丈夫か?っと心配していると、1人の生徒が話しかけてきた。


「先生.....俺達、本当に勝てんのかな?」


そう言って、自身無さげに声を出す。

この子は、サッカーチームのキャプテンを務めるフェザー君だ。

ちなみに『先生』呼びに戻っているのは、流石に悪乗りが過ぎたと謝罪し、元に戻してもらったのだ。

.....セシリアさん、怖いし.....


「勝てるかじゃなくて、勝つんだよ。その為に練習してきたんだろ?

大丈夫!お前たちは1か月前のお前たちじゃないっ!自信を持てっ!それにお前たちは元々挑戦者の立場だろ?なら見せつけてやれっ!今のお前たちの実力をっ!」

「.....通用するかな?」

「それはやってみるまでは分からん!そうだな....勝てるのが1番良いんだろうが、勝ちにあんまり拘り過ぎるのもよくないぞ?意識がそればっかりに向くからな。だから相手に、俺達は強いんだぞって所を見せつけてやるつもりでいけっ!そうすれば、誰もお前たちを馬鹿にしたりしなくなるさ」

「.....分かった!今の俺達の全力をぶつけてくるよ!」

「おうっ!いい顔になったな。お前たちも分かったな?」

「「「はいっ!」」」


そう言って、子供達は元気に返事をした。

もう大丈夫だろう。まだ多少緊張はしているみたいだが、程よい緊張は必要だからな。


「分かってるとは思うが、お前たちは『チーム』だからな?そこはくれぐれも忘れるなよ?」

「「「「はいっ!」」」」


必要ないとは思うが、心配でついつい確認してしまう。

前までのように、個々で突撃していくだけの生徒はもう居ない。

ちゃんとチームワークを使い、仲間と連携できるようになったのだ。


「じゃあ、俺はそろそろスタンドに行くわ。応援してるから頑張れよ?今日は終わったらジョンジョン苑の肉で打ち上げだからな?気合いいれろよ?」


俺のその言葉に、子供達は一斉に盛り上がる。

ジョンジョン苑とは、この街にある高級焼肉店であり、そのお値段は大人でも躊躇してしまうぐらいの高級店だ。

孤児院の多い子供達は、食べた事のある者はほとんどいない。

人数が多すぎるので、店には入れないのだが、打ち上げ用としてそのお店で仕様しているお肉だけを売ってもらったのだ。

なので今日の晩は、バーベキュー大会となる。

会場はそのまま、ここを使わせてもらえる事となっており、他の学院の生徒達も参加する予定だ。

ちなみに俺がお金を出す予定だったのだが、場所の使用許可を取る際に、おじさんが出してくれる事となった。


俺は盛り上がる生徒達に背を向け、そのままスタンドへと移動する。


「おっ?そっちももう、声掛けは済んだのか?」


俺の視線の先には、ミラーカとシャルミナがすでに席に座っていた。


「うむ、皆やる気に満ちておったわ。悪いが、今年は妾等の担当してた西学院が勝たせて貰うのじゃ」

「むっ!?勝つのは僕達東学院だよっ!ネルと一緒に沢山鍛え上げたからねっ!」

「ほう?妾の育成力に勝てるとでも思うのかや?」


シャルミナの言葉にミラーカは不適に笑う。


「思うよ?悪いけど、今年の優勝は僕達東学院で決まりだねっ!」

「言うたな?.....まぁ、そのような事は起こり得ないんじゃがの。まさか、ミラーカの口からそのような言葉が出てくるとは.....面白い冗談じゃのぉ」

「ムカ―ッ!その自信、粉々に打ち砕いてみせるんだからねっ!」


何か軽く声を掛けただけなのに、2人が喧嘩を始めそうな勢いだ。


「待て待てっ!確かに俺達の勝負みたいになってたけど、頑張るは子供達だろ!?勝とうが負けようが、頑張ればそれでいいじゃないかっ!?何で喧嘩腰になってんだよっ!.....先に言っとくけど、子供達の勝敗で喧嘩したら許さないからな?子供達に変な圧をかけるなよ?」


俺は2人に釘を差す。


「うっ.....すまぬ。少々熱くなりすぎた.....そうじゃな.....妾達が勝ちに拘れば、子供達に変なプレッシャーを与えてしまうの.....気を付けねば」

「ごめんなさい.....僕も熱くなり過ぎたよ.....僕も気を付けるよ.....」


2人は気落ちした様子で答える。


「まぁ、気持ちは分かるけどな。やっぱ、自分が面倒を見た子達に勝って欲しいもんだし、依頼を受ける時に勝負みたいな感じになってたからな。だが、それはそれ、コレはコレ!子供達が伸び伸びとプレイしてくれるのが1番だ」

「そうじゃな」

「そうだねっ」


俺の言葉にミラーカとシャルミナは答える。

どうやらいつもの調子に戻ったみたいだ。

嫁さん同士で競うのは許せるが、争うのは見たくないしな。

俺達がこんな会話をしていると、突然会場に大きな声が響いた。


『さぁ、皆さま!お待たせいたしました!ついに今年もこの季節がやって参りました!この王都、ランドープにある4つの学院による大運動会の開催ですっ!』


その声に、場内は割れんばかりの歓声で盛り上がる。


『今回のここ、シュートボールが行われる会場の実況はこの私、マイラクが担当させて頂きます!」


あれっ?この人、上でバトルカルタの実況をしてた人じゃない?なんでここにいるの?

俺が疑問に思っていると、ミラーカ教えてくれた。

この時期はバトルカルタの試合も無く、彼は時間を持て余しているのだそうだ。

実況が好きでこの仕事をしている彼にとって、この大運動会の実況は好都合らしく、むしろ自分から実況させて欲しいと売り込み、それ以降こうやって毎年実況をさせてもらってるのだそうだ。


へぇ~、なるほど。

俺が感心している中、実況は続く。


『さて、今回は解説に、このラナード王国の現国王でも在らせられるタカシ陛下にお越し頂きました!タカシ陛下、一言お願いします!』

『タカシだ!今回は解説として来てるから、王としてではなくタカシとして接してもらえると嬉しい。よろしく頼む!』


紹介されたおじさんはそう言うが、それは難しいんじゃないかな?


『え~っと....それは.....ま、まぁ、頑張って善処する事に致しましょう!』


ほら.....マイラクさんも困ってるじゃん.....


『で、では気を取り直して参りましょう!今回は解説のタカシ陛下の他に、もう1人ゲストにお越し頂いております!ではご紹介しましょう!ゲストはこの方!.....ジン様だぁぁぁぁぁっ!』


ブフッ!!


そう言って、何故か親父が現れた。


『ジン様と言えば、この競技の産みの親でもあります!本日はこのジン様も含め、豪華解説人で送りしたいと思います!ジン様!よろしくお願いします!』

『おうっ!よろしくっ!子供達の必殺技がどれほど成長したのか、楽しみにさせてもらうぜっ!くれぐれも『くっ、ガッツが足りない』とかって必殺技が使えないような事にならないように気をつけろよ?』


うるせ~よっ!それ、ゲームの設定じゃねぇ~かっ!!


『ええっと.....体力が無くなってしまわないように注意しろって事でしょうか?』


ほらみろっ!マイラクさんも困惑してるじゃねぇ~かっ!


『ご、ゴホンッ!え~.....では、気を取り直して。まずは各学院の紹介を行っていきたいと思います!まずはこの学院!このボールシュートの絶対王者っ!王都北学院の入場だぁぁぁぁぁっ!』


マイラクさんの紹介と共に、北学院の選手達がスタジアムに入ってくる。

会場の北にあるスタンドからは、大きな声援が送られている。

この北学院の生徒は、貴族や王族などの、立場が偉い人達の子供達だ。


『さぁ、次はこの学院っ!毎年多彩な技で会場を沸かせてくれる、王都東学院の入場だぁぁぁぁっ!』


その紹介の後、東学院の選手達が入場してくる。

この東学院と西学院は、一般の家庭の子供達が通っており、人数も1番多いのはこの2つの学院だ。

そして、残念ながら南学院を馬鹿にしてくる奴もこの2つの学院に多いのだそうだ。

意外な事に北学院の生徒達は、南学院を馬鹿にするような奴は居ないらしい。

それと言うのも、この国では民を見下したり、虐げたりする事は許されざる行為として広まっている。

おじさんが絶対に許さないのだ。

貴族や王族が他より裕福なのは民のおかげだ。そのかわり、民を守る義務が生じる。

その事を忘れ、民を粗略に扱うなど言語道断!

そして、その教えを守らない貴族は、おじさんによりその地位を簡単にはく奪される。

下手をすれば、国外追放もあり得るのだと言う。

なので貴族の親達は、そんな馬鹿が自分の一族から現れないようにと、自分の子供に対してかなり厳しく教育を行う。

そしてそんな北学院の子供達は、その教えを常日頃から親に叩きこまれているのだ。


まぁ、そんな特殊な国はここだけなのだが.....

上?上は貴族自体居ないし、親父と母さんのせいで異常とも言える治安だから参考にすらならない。

俺は少し、上の事を思い出す.....カイエンは元気だろうか.....


『さぁ、ドンドン参りましょうっ!お次はここだっ!そのディフェンスの高さは今年も健在かっ!?王都西学院の入場ですっ!』


マイラクさんの紹介に、今度は西学院が入場してくる。

紹介を聞いてて思ったが、学院ごとに特色があるんだな。

俺が少し感心していると、いよいよ我が南学院の番がやってくる。


『さぁ、最後はここだっ!今年は念願の初ゴールが奪えるかっ!?怪我だけはしないように頑張って欲しいですね!王都南学院の入場だぁぁぁぁ!!』


オイッ!評価低すぎないかっ!?

怪我だけはしないようにって心配されてるじゃんっ!?

しかもまだゴール奪った事ないのかよっ!!

えっ!?これ本当に勝てるのか!?


そんな俺の心配をよそに、南学院の生徒達の顔には自信が満ち溢れている。

堂々とした入場だ。


まさかそのレベルだったのに、思い付きで『ドロケイ』で遊んでました!キリッ

なんて言える訳ねぇ~よっ!

ああ、神様、どうかおね.....いや、駄目だったわ!

気軽に神頼みすら出来ない自分が恨めしいぃぃぃぃっ!


『さぁ、各学院の選手達が出そろいました!いよいよ今年の栄冠を競って、熱い戦いの幕が上がろうとしていますっ!』


が、頑張れ皆っ!頑張れぇぇぇぇぇ!


俺は内心で焦りながら、必死に子供達にエールを送るのであった。

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