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突然!異世界ライフ~とりあえずのんびり生きていこうと思います~  作者: おる・かん
第2章・ラナード王国
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訓練ではなく遊び

「よ~し!じゃあ今からルール説明するぞ~っ!」


俺は子供達の前に立って大声でルールを説明していく。


「まぁ、そう難しい事はないぞ!『リングゲットチーム』と『ボールシュートチーム』に別れて追いかけっこをしてもらいます!制限時間は30分、追いかけるチームはその時間内に相手を全員捕まえたら勝ち。逃げるチームは制限時間を超えて1人でも逃げきれてば勝ちだ!捕まった人はあそこの円の中に入るようにしてくれ!」


そう言って俺は、学院の裏山の山頂に魔法で作った、直径20mほどの土のエリアを指指した。


「捕まった人は、あそこの円から出る事はできないが、円の中なら自由に動いてもいいぞ!逃げるチームで捕まってない人が、捕まってあの円の中にいる味方に触れる事が出来れば、その触れられた人は再び円の外に出られるようになるからな!ただ逃げるだけじゃなくて、仲間を助ける事も考えると逃げる側は勝ちやすくなるんじゃないか?

捕まえる側も、捕まえた人を逃がさないようにする為にも、全員で追いかけるんじゃなくて、円の中にいる人を見張る人も必要になってくるな!それに助けにくる相手を狙うってのも手だっ!」


俺の説明に、子供達は興味深々といった様子だ。

俺はコレを、訓練ではなく新しい遊びだと言ってある。

それに勝ったチームにはご褒美があるとも伝えているので、目の前の人参効果も発揮されており、子供達のやる気は高い。


「相手を攻撃したり、魔法を使うのは禁止なっ!ただ、回復魔法と身体強化を5分だけ使うのは許可するから、考えて使うんだぞ?」


当然、相手に怪我をさせるような行為は厳禁だ。

ただ、今回は学院にある裏山を舞台にしているので、怪我の再は回復魔法を使える子は使ってよいとしている。

身体強化を5分だけ使用できるのは『リングゲット』のルールを意識してだ。

その5分をいかに上手く、効率よく、タイミング良く使えるようにする為の練習だ。

この5分は、実際にリングゲットをする時に装備する腕輪によって制限されている。

普段、生徒達も授業の一環としてこの球技をする事もあるとの事だったので、腕輪は学院に備品として生徒分管理されていた。

まぁ、無かったら無かったで普通に身体強化無しでやるだけなんだが.....


「じゃあまずは『リングゲットチーム』が逃げて、『ボールシュートチーム』が捕まえる側だ!

それが終わったら、休憩と反省会みたいなもんを兼ねて、20分休憩なっ!その後、逃げる側と捕まえる側を交替して、またスタートだっ!勝った方のチームにはご褒美があるからな?気合い入れて頑張れよ~?」


俺はニヤリと笑いながらそう言うと、子供達は大盛り上がりだ。

.....まぁ、今日は勝っても負けても、両方にちゃんと渡す予定なんだけどね。

ちなみに、昨日の帰りにプリンを買ったのだが、結構お菓子の種類があったのでソレも買っておいた。

そして、甘い物が苦手な子がいるかもしれないので、『モーウー牛』と言う、こちらの世界の高級な牛の肉を使用した串肉も買ってある。


「よ~しっ!じゃあまずは『リングゲットチーム』は逃げろっ!5分経ったら開始して、捕まえにいくからなっ!じゃあ、逃げてこいっ!」


俺がそう言うと、バスケチームの子供達が一斉に逃げ始めた。


そして5分後.....

俺は開始の合図でもある笛を大きく吹いた。


「よしっ!じゃあ行って来いっ!」


俺の言葉に、サッカーチームの子供達が一斉に走り出した。

範囲は裏山全域。

そこまで大きい山ではないが、そこそこ広いので子供達40人が走り周るには十分だ。

当然、安全面の対策もバッチリだ。

フローラとフローリアさんに、精霊魔法を使ってもらっている。

フローラは風の精霊シルフを、フローリアさんは木の精霊ドリアードをそれぞれ呼んでもらい、裏山全体を監視してもらっている。

この2体には、子供達が大怪我しそうな場合は躊躇なく割り込むようにお願いしてある。

あとは、捕まえた、捕まってない等で揉めた時には審判の役も兼ねている。


「.....本当にこれで上手くいくのか?」


子供達を見送った後、セシリアさんが俺に不安そうに尋ねてきた。


「上手く行くかは分かりませんけど、意図はありますよ」


俺はセシリアさんに説明をしていく。


「まず1つ、単純に体力作りが目的です。子供達が訓練として走り続けるのは辛いだけですが、遊びになると別です。走り回っても元気ですからね」


これは俺の学生時代の頃の経験だ。

部活の体力作りでよく走らされてたけど、面白くもないしキツイしで辛いだけなのだ。

だが、不思議と友達と遊びで走り回っても、疲れはするのだがそこまで苦には感じた事はない。


「それに裏山が舞台ですからね。逃げるにしても追いかけるにしても、全身の筋肉を使うんで、全身を鍛えるのにも使えるでしょう」


山なだけに坂道は多い。おまけに木もあれば少し低い崖のような場所もある。


「で、2つ目です。自分達で考える事に慣れさせる為ですね。最初はただ走って逃げるか追いかけるだけでしょうが、その内そのままでは逃げきれない、捕まえられないって場面が出てきます。その時にどう考えて逃げる、あるいは捕まえるか考えるので、いい訓練になると思いませんか?」

「ふむ.....確かに一理あるな.....要は、状況を見て考える力を鍛えるって事かい?」

「ええ、大体そんな感じです。

それで3つ目。今回のルールだと、逃げる側が圧倒的に有利なんですよ。1人でも逃げ切れば勝ちですからね。だから逃げる側は、自分を囮にして仲間を逃がしたり仲間が逃げた方とは逆に逃げたりと、チームワークも鍛えられるかなと。

捕まえる側は尚更ですね。捕まえる側は、捕まえた人を助けにくる人も警戒しないといけません。せっかく捕まえたのに、助けられたらその努力が無駄になりますからね。だから捕まえる側と見張る側に別れる必要があるんですが、これが単純に10:10で別ければいいってもんじゃない。捕まえる側が少なければ、その分相手を捕まえ難くなりますし、捕まえた人が少ししかいないのに、見張りをそんなに多く残してても無駄でしょう?だからそこも臨機応変に対応しないといけなくなるんですよ」

「なるほど.....そんな意図があったんだね」

「まぁ、さっきも言いましたけど、上手くいくかはまだ分かりませんよ?ただ、子供達が、周りを見て、自分と仲間達の状況を把握し、どうすれば勝てるか考えるのには、この遊びはうってつけだと思うんですよ。それに身体強化も『リングゲット』と同じ条件の5分使えるんです。使いどころのを覚えるのにはいい練習になるかなぁと思いましてね」

「カズキ殿は凄いな.....アタイはそんな事、思い付きもしなかったよ.....」

「.....カズキ様は.....凄い.....」


少ししょんぼりするセシリアさんに、ムフーッ!っとフローラがドヤ顔で答える。

恥ずかしいから止めなさい.....


「いや、俺が思いついた訳じゃないですよ。たまたま知っていたので、それを応用出来ないかなって思っただけですよ」


本当に凄いのは、この遊びを思いついた子だろう。

いつの時代も子供達は色々な遊びを思いつく事が出来るのだ。


「謙遜しなくていいさ。こうやって子供達の為になるようにと考えてくれたのはカズキ殿だ」


セシリアさんは、俺を真っすぐに見つめ、そう言ってくれる。


「.....ありがとうございます。っとまぁ、俺が考えてたのはこんな感じだったんですけど、大丈夫ですかね?」

「ええ、十分よ。それにしても、訓練じゃなくて遊びにするって所が感心したわ」

「そうだな。アタイが走らせても、子供達は嫌々で仕方なくって感じが滲み出てたからな。だが、今の子供達は楽しそうに走り回っている。これだけでも十分に凄いと思うぞ?」


フローリアさんは、ハァーっと感心するように言い、セシリアさんは子供達を見てとても眩しそうな顔をしている。


「当然、本来の球技も練習しないといけませんからね。ただ、これから毎日練習前に、このゲームをしてから練習するようにしましょう」


本来の出場する球技の練習時間は減ってしまうが、今の子供達にはこれが最善だと思う。


「分かった」

「分かったわ」

「.....分かった.....」


俺達はそう言って話を切ると、楽しそうに走り回る子供達を眺めるのであった。


完全な思い付きだが、なんとかなるといいなぁ.....

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