おしおきですよ
「おぉ~、ネルの頬っぺたはモチモチスベスベで伸びるなぁ~」
俺は今、ネルの頬っぺたを両手で抓り、ビローンっと引っ張っている。
「い、いひゃいっふ。はんへいひへふっふ!」
涙目で許しを請うネルの言葉を無視し、俺は引っ張り続ける。
何故このような事をしているのかというと.....おしおきである。
一体何があったのか、説明しよう!
俺達はほぼ毎日、夜に愛し合っている。
俺はほぼ毎日なのだが、嫁さんズはローテーションで順番だ。
昨夜はネルの番だったので、当然ネルと愛し合っていた。
.....いや、ネルとリロロの場合、俺が一方的に喰われてるんだけどね。
この2人を相手にする場合、俺は決まって気絶してしまう。
一滴も残らず絞り取られてしまうのだ。
もう少し手加減して欲しいというのが本音だが、この2人は興奮してくると夜の狂戦士になるのだ。
.....獣人って皆、夜は豹変するのが普通なんですかね?
まぁ、昨夜の俺も、いつも通りに性も根も絞り取られて気が付いたら気絶してた訳ですよ。
いつもは起こされるまで、起きないんだが、今朝の俺は何故か起こされる前に目が覚めてしまったのだ。
俺は目が覚めたので、普通に挨拶しようと声を出しかけたのだが、なにやらネルがブツブツ言っていたのでその言葉を飲み込む。
そして聞いてしまったのだ。
『ふふっ、やっぱりミリア様に頼んで正解だったっす。なんならもっと、願いしてみるのもいいっすね。性欲強強のカズキ様に攻められるのも悪くないっすね.....ぐふふっ』
と言う、ネルの独り言を。
当然俺は詰め寄った。どういう事だと。
しばらくは白を切っていたのだが、しつこく問い詰めると観念したのか、白状したのだ。
母さんに頼んで、俺の性欲を強くしていたという事を。
.....いや、確かにおかしいとは思ってたんだよ。
日を追うごとに、明らかに性欲が増してるんだから。
そりゃ当然、自分でも気付くさ。
でも、俺はそれをいつも食べてる不思議食材の効果だと思ってたんだよ。
いくら母さんでも、本人に黙って勝手に人の身体を魔改造まではするまいと.....
物凄く裏切られた気分だよ.....
俺は当然、その後直ぐに母さんの元へ乗り込んだ。
何をやってくれてるんだと。
そして俺は言ってやったのだ。
「1週間、口を聞かないからなっ!」
っと.....
それを聞いた母さんの顔は真っ青になり、そのままショックで倒れてしまった。
今は寝込んだまま、うわ言で俺に謝り続けているらしい。
.....いや、まぁ、正直言うとそこまでは怒っていない。
性欲が強くなった事に関しては、まぁ、どちらかというと助かっている。
ただ、俺にナイショでコッソリとはないだろう。
その部分は怒っているので、少し可哀想だが罰はちゃんと受けてもらう。
ここで甘い顔をすると、すぐに調子に乗るのが俺の両親クオリティなのだ。
.....普通に考えたら、1週間口を聞かないってだけなので、罰とは言えないかもしれないが、俺の両親にはコレが思った以上に効くのだ。
そんな訳で、母さんに罰を与えた後、今こうしてネルに罰を与えている。
他の4人も共犯みたいなもんだが、提案したのはネルらしいからな。
「あ、あの、カズキ様.....そろそろネルお姉ちゃんの頬っぺたが.....」
おっと忘れていた。
俺はリロロの言葉を聞いて、ネルの頬っぺたから手を離す。
ネルは真っ赤になった頬っぺたを摩りながら、涙目のままで謝ってくる。
「ごめんなさいっす。反省したっす。もう2度としないので許してくださいっす」
「ダメです。キミ達全員に罰を与えます。首謀者のネルは2週間。共犯の4人は1週間夜は無しです!これはもう決定事項なので謹んで受け入れるように!」
俺がそう言うと、5人は顔の顔が青ざめる。
.....いや、少し大げさじゃない?
本人達も悪いと思っているのか、その事については何も言ってこなかった。
しかし、ネルだけ2週間なのは少し酷いのではないか?4人から責められる。
「なら、全員でネルの分を肩代わりして、全員平等にするか?」
俺がそう言うとネルは期待を込めた瞳で4人を見つめる。
「妾達も共犯とは言え、首謀者が1番重い罰を受けるのは当然の摂理じゃな」
「.....反省するのに罰は必要.....」
「そうだね!僕達も反省するけどネルはもっと反省しないとね!」
「ネルお姉ちゃん、私達も耐えますので頑張ってください!」
っと、アッサリと手のひらを返し、ネルを見捨てていた。
そんな4人を、ネルはぐぬぬぬっと唸りながら睨んでいる。
.....君等、ちょっと性に貪欲すぎませんかね?
っとまぁ、こんな感じでおしおきも決まったので、俺達は今日の活動について話し合いをする。
ポルト達を助けた日からすでに2週間は経ち、その間にも俺達は依頼を受けている。
受ける仕事は主にネルが選んでくれているのだが、そろそろ俺達も慣れてきたという事で、今日からネル以外が選んで、その中の一つを受けよう。って事になった。
「依頼を選ぶ時ってどんな事を基準に考えて選んだらいいんだ?」
「そうっすね.....まず前提として、ランクに合った依頼ってのは分かるっすよね?その中から、自分が無理なく出来そうな依頼を選ぶのが最初は無難っすね。無理なくってのがポイントっす」
ふむ、安全マージンは取れって事かな?
「あと、依頼によっては長期間拘束される事になるっす。例えば護衛依頼とかっすね。長いと数か月ぐらいは拘束される事もあるっすから、仕事の期間を見るのも大事っす」
なるほど、確かに依頼を受けて、その仕事が数か月掛かりますよ~とか言われても、それは困るな。
「後は当然、報酬っすね。特にウチ等はパーティーで依頼を受けるっすから、下手をすると準備費用の方が報酬より高く付くって事もあり得るっす。まぁ、そう言った事を度外視して依頼を受ける冒険者もいるっすけどね」
「ネルお姉ちゃん、それはなんでなんですか?」
「ギルドの依頼は最低報酬銀貨1枚からっす。それに依頼を出すと手数料を取られるっす。でも、お金が無い、特に子供とかっすね。そういった人達の依頼も、実は受けているんすよ。そう言った依頼は、特殊依頼扱いで、報酬は少ないっすけど、実はギルドの査定ポイントが高かったりするんす。なのでランクを早く上げたい冒険者とかが、よく受けるっすね。まぁ、中には、そういった困ってる人達を助けるのが趣味みたいな変わり者の冒険者もいるっす」
「ふむ、しかしランク通りの依頼となると、ちと妾達には簡単過ぎんかや?」
「まぁ、それも経験っすよ?確かにウチ等の実力なら、もっと上の依頼を受けても問題ないっす。でも依頼者にとってはそれが1番困ってる問題っすからね。ランクが低い依頼でも、高い依頼でも、それは変わらないっすよ」
「そうだね!困ってる人を助ける事には変わらないよね!」
「.....流石経験者.....勉強になる.....」
「うむ.....そうじゃったな。妾がちと浅はかじゃった。すまぬ」
「まぁ、シャル姐の考えも普通っすからね。そこまで気落ちする必要はないっすよ」
「ネルお姉ちゃんに負けないように、私達も頑張りましょうね!」
っと、話が一段落したタイミングで俺は口を挟む。
「じゃあ、今日はそれを念頭に、各自で選んだ依頼の中から1つを選ぶって事でいいか?」
「はいっ!」
「うん!僕もそれでいいよ!」
「.....分かった.....良い依頼を選ぶ.....」
「妾もそれで構わんぞ」
「じゃあウチは、皆がどんな依頼を選ぶのか楽しみにしとくっす」
こうして今日の方針は決まり、俺達は朝食の後にギルドへと向かうのであった。
う~む、どんな依頼がいいのだろうか.....




