ジンの親友のおじさんは王様
俺達は第1王子であるヒロキさんに案内されてある部屋に入る。
その部屋は意外と言っていいのか、日本のご家庭にあるリビングのような感じになっていた。
いや...広さは比べ物にならないぐらい広いんですけどね....
その部屋のソファーに腰掛ける人物は3人。
一人は黒髪黒目の男性。
この人が親父の友達のタカシ陛下なんだろう。
親父と同い年なら45歳のはずなんだが、どう見ても30歳前後にしか見えない。
その横に座ってる人は奥さんかな?
ピンク色の長い髪をしている綺麗な女性だ。
そしてなんと言っても、デカい.....そう、デカいのだ。
どこがとは言わないが、リロロにも負けてないのではないだろうか。
そんな俺の視線に気付いたのか、リロロとネルがスッと俺の前に出てきて無言で笑顔を向けてくる。
アッ、ハイ。スイマセンデシタ。
コホンっ!.....となるとその横の小さいソファーに座っているのは娘さんである王女様かな?
年齢的にもそれぐらいに見えるし、何よりタカシ陛下の横にいる女性に物凄く似ている。
髪の色や顔もなんだけど、大きい所とかも.....ね。
3人は2人のメイドさんにお茶を淹れてもらい、それを口に含んでいた。
壁際には、何やら豪華な鎧を着こんだ兵士さんが3人立っている。
俺がそんな風に少しキョロキョロとしていると
「父上!皆さまをお連れ致しました!」
ヒロキさんが声を上げると3人はこちらを振り向くと、俺とタカシ陛下の視線が合う。
その瞬間、タカシ陛下は立ち上がり、俺の方へと歩いてくる。
俺もタカシ陛下から目が離せないでいる。
タカシ陛下は俺の傍までくると、ガシッと俺の肩に両手を置いた。
「お前がカズキか。2人から話は聞いている。2人のおかげで色々と苦労しただろう?でも、安心しろ。何かあったら俺の所へ来い。いつでも相談に乗ってやる。お前はもう、1人じゃないんだ!俺の事は気軽におじさんと呼んでくれ!まぁ、実際伯父みたいなもんだしな!」
「陛下.....いや!おじさんっ!」
2人はガシッと熱く握手を交わす。
そう、2人はお互いに一目見た時から感じたのだ。
理由や理屈なんてものはない。だが、確実に2人は確信していた。
こいつと俺は同類だと.....
そんな魂の絆で結ばれたような感覚に陥り、2人は言葉は無くても分かり合ったのだ。
今ここに、強固な絆で結ばれた、『ジンとミリアの被害者の会』が結成された瞬間であった。
「おいっ!タカシ!そりゃ一体どういう意味だ?おぉん?」
「ええ~、詳しく聞きたいわ~。カズちゃん?少しママとお外でお話しましょうか?」
あ、やっべ、普通に2人の存在忘れてた.....
ガシッっとミリアに肩を掴まれ、ズルズルと後ろに引きずられていくカズキは焦る。
しかしすぐにカズキは気付いた。
自分には頼もしい味方が、同盟者が出来たばかりではないか!.....と。
必死に助けを求めるようにおじさんに視線を向ける.....が、その視線はスッと逸らされた。
おじさぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!?
被害者の会は早くも解散した瞬間であった。
こうしてズルズルと外に引きずられて行ったカズキはミリアと少し長いお話をする事になったのであった。
俺はおじさんに見捨てられ、少し長いお話を母さんと済ませて再び部屋へと戻る。
「父上っ!まだ自己紹介も済んでないのに失礼ですよっ!」
「まぁ、そう硬い事言うな。どうしてもカズキは他人には思えなくてな。それにジンの家族だぞ?これぐらい適当な感じで楽に接した方がいいんだよ。まぁ、改めて、田中隆だ。よろしくな!さっきも言ったが、おじさんと呼んでくれ!」
ヒロキさんに窘められたおじさんは、なぁ?と言うように俺に自己紹介してくる。
薄々感じてはいたが、やっぱ親父の友達だな。ノリとかその辺が似ている気がする。
「カズキです。よろしく、おじさん」
普通、王様にこんな口を開けば首がすぐに飛びそうなんだが、この人の場合そっちの方を嫌いそうだ。
親父の友達なら、そんな畏まった口調で話をしたら拗ねそうな気がする。
親父がそうだし.....
「なっ!?ずるいではないか!何故父上だけそんな砕けた口調で、私はそうではないのだ!?」
おっと、こっちが拗ねてきたぞ.....
しかし、ねぇ~.....
「いえ、何と言えばいいのか.....ヒロキさんの場合、王族のオーラと言うか、なんか雰囲気がと言うか.....逆におじさんは、何か近所のおじさんって感じしかしないんですよね」
「分かる、分かるぞ。まさに王族って感じだよな!」
ワハハハハッと楽しそうに笑うおじさん。
いや、王様のおじさんがそれ言うの?
俺が内心、少し呆れていると、凛とした声が響いた。
「あなた。まだ私たちの紹介も済んでいないのに、随分と楽しそうですね?」
「そうですっ!お父様だけずるいですわっ!」
その声のおじさんはビクッと反応し、気を付けの姿勢になる。
.....この人も奥さんには頭が上がらないのね.....
「す、スマンスマン。カズキ、こっちに座っているのが俺の妻の1人のエリーゼだ。それでそっちに座ってるのが俺達の娘のリリーナだ」
おじさんに紹介され、2人がスッと立ち上がる。
「ご紹介に預かりました、タカシの妻である、エリーゼ・タナカ・ラナードと申します。一応、公式の場などでは正妻の立場を取らせて頂いております。どうぞよろしくお願い致します」
「同じく、お父様とお母様の娘で第8王女の、リリーナ・タナカ・ラナードと申しますわ。今後も是非、仲良くしてくださいまし」
そう言って2人はお辞儀をしてくる。
「ご丁寧な挨拶ありがとうございます。私はカズキ・カミシロと申します。こちらこそどうかよろしくお願いいたします」
俺は2人にそう返し、後ろの嫁さんズを紹介していく。
「おお、シャルミナとネルは久しぶりだな。他のお嬢さん達は初めましてかな?気軽にタカシって呼んでくれていいぞ?カズキの嫁って事は俺には姪も同然だしな」
その言葉を受けて、リロロとミラーカとフローラは少し困っていた。
まぁ、そうだよね。普通は.....
というか.....
「おじさんはシャルミナとネルは知り合いなの?」
「ん?おう!シャルミナは昔から付き合いがあったし、ネルはこの国で冒険者として活動してたからな。結構有名でな、その縁で何度か会った事はあるぞ」
へぇ~、シャルミナは何となく分かるけど、ネルって有名だったんだ。
「しかし、いきなり5人も嫁にするとか、やるな!この際リリーナもどうだ?」
いや、どうだ?と言われても.....それに自分の娘をついでみたいに言うなよ.....
「いや、その話はさっきヒロキさんからもされたけど、お断りします」
「なんでだ?親の俺が言うのもなんだが、顔もスタイルも良いし、性格も優しくて尽くすぞ?それになんと言っても強いぞ?」
だからその強さアピールはなんなの?
「いや、申し訳ないけどこれ以上俺は増やす気はないよ?それにリリーナ様ならもっといい相手なんていくらでもいるんじゃない?」
「そうか?カズキ以上の男がそうそういるとは思えんが?それに5人もいるなら1人ぐらい増えてもどうって事ないだろ?」
やけに食い下がってくるおじさん。
どうって事あるんだよ.....夜の意味で。
「お父様っ!」
そんな話をおじさんとしているとリリーナ様が大声を出す。
それはそうだろう、目の前で勝手にこんな話をされては怒るのは当然である。
「お父様。あまり無理強いをしてはカズキ様も困惑なされますわ。こういった事はお焦らずに徐々に距離を詰めていくものです。カズキ様、そ、その.....私は容姿などは分かりませんが、胸には少し自信がありますわ。もちろん、そちらのリロロ様には及びませんが.....それと強さにも自信がありますわ!こう見えても騎士団長よりも強いですのよ?」
なんで乗り気なんだよ.....
あと、この国では女性の異性へのアピールに強さが必須にでもなってるの?
どこぞの、力こそが正義!って国ですか?
「いえ、リリーナ様。申し訳ないのですが、私はこれ以上妻を増やすつもりはないんです。私自身が今の人数でいっぱいいっぱいで余裕がありませんので.....」
こんな可愛い人にこんな事を言わなければいけないのは心が痛むが、ここはハッキリと断らないといけない場面だ。
それに余裕がないのも事実だ。
「あ、あの.....カズキ様は私の容姿などは好みではない.....という事でしょうか?」
ウルウルと瞳に涙を浮かべ、泣きそうな顔でそう言ってくるリリーナ様。
くっ....ず、ずるいぞっ!
そんな事言われて、お前の顔は好みじゃない!なんて失礼な事、言える訳ね~じゃね~かっ!
「い、いえ.....好みかどうか聞かれれば、その、正直物凄く好みなんですが.....でもです――」
「まぁ!それでしたら時間を掛けてゆっくりとお互いを知っていけばよいのですわ!それでどうしても駄目なのであれば、その時にまた仰ってくださいませ!」
パァァァァっと顔を輝かせそんな事を言ってくるリリーナ様。
いや、話聞いてくれてます?俺、ハッキリと断ったよね?
なんでそんなに負けないゾッ!みたいな感じで気合い入れてるんですかね?
「リリーナ。その調子でカズキを落とせよ!そして上手く嫁いで俺の後を継がせてくれ!」
おじさんが割って入る。
「おいっ待てっ!おかしいだろうがっ!そもそもおじさんには跡取は沢山いるんじゃないのか?ってかそこのヒロキさんが跡取だろ~がっ!」
俺は思わずそう叫ぶ。
「いや、私は喜んで辞退するよ。カズキになら安心して任せられるね。」
「とっ、まぁコイツも見ての通りに乗り気じゃない。俺の息子は他に12人いるが、どいつもこいつもやる気無くてなぁ~。兄弟で結託して、ヒロキに押し付けてるってのが現状なんだよ。だからコイツも仕方なくやってるだけで、やる気はあんまりないんだよ」
「そんなもん俺だって無いわっ!王様なんて俺に出来るかっ!ってかそもそも全員やる気が無いってどういう事だよっ!普通そんな事ありるかっ!?」
「まぁ、聞け。確かに普通なら考えられない事だ。それはよ~く理解している。だがな、実際そうなってるんだよ.....主にカズキの横に座ってる馬鹿2人のせいで.....」
おじさんは俺を嗜めるように言い、俺の横に視線を向ける。
そこには呑気に兵士の人と話す親父と、のんびりとエリーゼ様と会話をしている母さんの姿があった。
あっ.....帰りたくなってきたぞ.....
これ、聞かなきゃダメ?.....ダメですか?.....ダメですよねぇ~.....
俺は思わず頭を抱えたくなる。
くっそ~.....今度は一体何をやらかしやがった!
俺はのほほんとする2人の姿に、避難をたっぷりと込めた視線を送ったのであった。
~キャラ設定メモ⑬~
本名:リリーナ・タナカ・ラナード
種族:人族
性別:女
身長・体重:164cm・50kg
年齢:17歳
好きな食べ物:アップルパイ、ショートケーキ
嫌いな食べ物:納豆、茄子
戦闘スタイル:細剣を得意とした前衛タイプ
容姿:茶色い瞳とピンク色の髪、胸はリロロには及ばないが大きい(リロロ>リリーナ>ネル)
性格・その他:ヒロインになるかどうかは不明。諦めが悪く、めげない性格。
上に兄13人、姉7人、下に弟2人と妹1人がいるタカシの娘で第8王女。
兄弟の中では群を抜いて才を持ち、実はタカシを除いては国内最強。その才能はリロロにも劣らない。
やや、人の話を聞かない傾向はあるが、根は優しく国民からも愛されている。
ちなみに胸の大きさランキングは
リロロ>>ネル>>ミラーカ>>>>>フローラ>>>>>>>>シャルミナ
みたいな感じです。
誤字脱字報告ありがとうございます。
いつも読んでくださり、ありがとうございます。




