やりたい事は冒険者?
お待たせしました。2章のスタートです。
「ダメです」
「だめだよっ」
「.....ダメ.....」
「ダメじゃ」
「ダメっす」
「だめよ~」
俺は目標と言うより、やりたい事が決まったので皆に相談したのだが敢え無く却下されてしまった。
前々からぼんやりとは考えていたのだが、この前母さんの言葉聞いて決心が付いたのだ。
俺はこの世界を色々と見て周りたい.....と。
冒険者として登録し、路銀を稼ぎながら世界を旅する。
その中で理不尽な目に合ってる人がいれば助けられるかもしれない。
まぁ、単純に物語の主人公みたいな冒険に憧れてるって部分もあるけど.....
こんな展開が好きな奴が、ワクワクしないはずがないっ!
ちなみに俺もこう言った話は大好きである。
それより.....
「いや、何で母さんまで反対してるんだよっ!この前めっちゃいい感じで『応援するわ』って言ってませんでしたっけ?」
「だって~、寂しいもの~」
相変わらず自分の感情に素直と言うかなんと言うか.....
思わず頭が痛くなってくる。
「それで?皆はなんで反対なの?」
「それは当然、危険っ.....危険.....危険なんすかね?」
オイッ!
「う~む.....妾達を傷付ける程の奴が下にいるとは思わんのぉ」
「.....多分余裕.....」
「そうだねっ!でも魔物とかでたまに危ない奴とかいるんじゃない?」
「それも平気じゃろ?そんな奴がおれば、今頃地上の国はいくつも滅びておるわ」
「皆さん!私達は平気でもカズキ様はか弱いんですよっ!やはり危険です!」
グフッ!!
リロロの言葉が俺の胸を抉る。
いや、これでも頑張ってはいるんですよ、頑張っては.....
「カズキ様が妾達に勝てぬ理由は強さとはまた別じゃろう?」
「そうだねっ。僕達の胸とかお尻とか足とかばっかり見てるからじゃない?」
「そうっすね。そっちばっかり見てるっすから、全然集中出来てないっすからね」
「.....特にリロロのおっぱいはガン見してる.....スケベ.....でも、女のわたしも気持ちは.....少し分かる.....」
「うむ、あれは凄いからのぉ.....」
「あ、あうぅぅぅぅ.....恥ずかしいです.....」
グサグサと言葉の刃が俺に突き刺さる。
お願いします、もう許してくださいっ!
俺は両手を付くように地面に崩れ落ちる。
そんな俺の肩に、親父が優しく手を乗せる。
「分かるぞカズキ.....男だもんな。その気持ち、俺にはよ~く理解できるぞ。安心しろ、お前は1人じゃない」
「お、親父っ.....」
俺は思わずガシッっと親父と熱い握手を交わす。
「はいはい~、男同士で馬鹿な事言ってないで~、話を戻すわよ~」
そんな母さんの言葉に俺は気を取り直す。
「それで?危険がないってんなら大丈夫じゃない?何がそんなに反対なんだ?」
「それはな.....カズキ様、妾らを置いていくつもりじゃったろう?」
「そうだよっ!そんなの僕は絶対認めないからねっ!」
「そうっす。それはダメっす」
「.....ダメ.....付いていく.....」
「私達はお留守番なんて絶対に反対です!」
うえっ!?バレてる!?
しかし、俺にも言い分はあるのだ。
「いやいや、地上に行くんだよ?その、言い難いけど、みんなその容姿とかで色々あったんじゃないの?付いてくれば嫌な思いとかもまたする事になるんだよ?そんな所に大事な嫁さん達を連れて行くなんて俺には認められません!」
シャルミナは気まぐれでここに来ただけだし、ネルも地上で活動していたからこの2人は多分平気だろう。
しかし、2人だけ連れて他はお留守番なんて事は出来ない。
「それに俺にも考えぐらいあるぞ?母さんに転移魔法を教えてもらえば毎日帰ってこれるから、そうしようと思ってたんだ」
自分でも旅とは?と思うんだが仕方ないんや.....
これぐらいしか思いつかなかったんだよ.....
「ん?見た目が問題なら平気だぞ?いい物がある.....ええっと.....あった!」
そんな俺達の会話を聞いていた親父が、マジックボックスに手を突っ込み、なにやらゴソゴソとしていたかと思えば指輪を5つ取り出した。
「なにそれ?」
「おう、コレはな、昔認識阻害系のアイテムを作ろうとした時の試作品だな。認識阻害は出来なくて見た目を変えるだけなんだが、見た目が人族に見えれば問題ないだろ?」
もう問題は解決しただろ?と親父はそういって指輪を渡してくる。
が、連れていけない理由はまだある。
俺としてはそっちの理由が最大の懸念なのだが.....
「いや、まだ連れていけない理由はあるぞ。じゃあ聞くけど、俺が暴言吐かれたり攻撃されたりしたらどうする?」
「当然、消し飛ばすしかないじゃろ?」
「ぶっ飛ばすよっ!」
「ぶっ殺すっす」
「.....殺す.....」
「殺します」
「ぶっ殺すわ~」
さも当然のように即答する5人。
いや、なんか1人追加されてるんですけど.....
可愛らしくシュッシュッとシャドーをしているが、あの拳に触れれば相手は死ぬ。
文字通り跡形もなく消し飛ぶだろう。
まぁ、今は母さんはスルーだ!スルー!
「だからだよっ!いちいちそのぐらいで相手を殺すような危険人物を連れて歩ける訳ないだろっ!?」
わざわざそれぐらいの理由で相手を殺していたら、辺りはあっと言う間に血の海だ。
そんな事をしていれば、面倒な事になるの目に見えているし敵もわんさかと増えるだろう。
そんなのは絶対に御免である。
「そう言うがの.....じゃあ逆に聞き返すんじゃが、もし妾達が暴言吐かれたり傷付けられそうになったらどうす――」
「ぶっ殺す!」
「じゃろうが?」
いや~、無理だわ。これは無理。
うちの可愛い嫁さん達をいじめるような奴は俺が拳で、めっ!ってしてやらないとな!滅っ!ってな!
ぐぬぬ.....しかし困ったぞ。
「まぁ、ほらアレだ!ここはお互いに頑張って我慢するようにしよう!ねっ?あっ、そうだ!この指輪ってどう見た目が変わるんだろ?気になるな~!」
「なんか露骨に誤魔化し始めたっすよ?」
「流石に強引じゃない?」
「.....白々しい.....」
「まぁ、そう言うてやるでない」
「あはは.....」
「まぁ、確かに効果は気になるっすからね」
そう言って5人はそろぞれ指輪を手に取り、自分の指に嵌める。
皆、当然のように左手の薬指なんだけど、こっちでも同じような意味があるんだろうか?
指輪を嵌めると見た目が人族のように変わる。
リロロとネルは耳としっぽが消え、人間の耳が顔の横にある。
シャルミナは角が消えただけだ。まぁ、羽は自在に消せるしね。
フローラは耳が短くなって人間サイズになっている。
ミラーカは、ミラーカは.....どこが変わってるんだろ?
元々ミラーカは、犬歯以外は見た目人間なんだよな.....
あっ、ちょっとだけ犬歯が短くなってるのか?牙という見た目からなんか八重歯って感じになってるな。
「って言うか容姿は全然変わってないのな?なんかそのまま人族になったような感じだな」
もっとこう、別人に見えるぐらいに変わるのかと思ってた。
「まぁ、見えなくなってはいても、実際にはあるからな?その辺りは注意しろよ?幻術の類だからな。あんまり人に触らせないようにしないとバレるぞ」
親父がそんな事を注意してくれる。
「何かいつの間にか旅してもいいみたいな話になってるけど、賛成してくれたって事でいいの?」
「うむ、妾達が付いていけるのであれば文句はないからの」
「そっすね。ウチ達が一緒ならカズキ様も守れるっすからね」
「でも常に6人で行動は多くないですか?」
「そこは3:3で別れて行動でもいいんじゃない?」
「.....順番に回せばいい.....」
「うむ、常にという訳にもいかんじゃろうが、単独行動はできるだけ控えるべきじゃな。余裕をかまして何かあってはいかんからの」
「じゃあカズキ様には常に2~3人付いて、僕達は残りのメンバーで行動って事だね?」
「それがいいと思うっす」
「.....分かった.....」
「分かりました!」
「うむ、それがいいじゃろうな」
何やら俺を置いて話がドンドン進んでいく。
というか俺の自由はない感じですか?
いかんっ.....なんとか話の流れを変えなくては。
「え~っと、とりあえず冒険者として登録しようと思うだけどそれでいいかな?まぁ、こんな時の定番っちゃ定番だしね」
「ならウチが案内するっすよ」
そんな会話をしているとふと思った。
「そういえば.....なんで冒険者って言うんだろう?」
その問いにシャルミナが答えてくれる。
「昔の名残じゃの。昔は文字通り冒険しておったからの」
「どういう意味?」
「昔は国々も少なく領土も狭かったんじゃ。そのせいで未開の地も沢山あっての。しかし国が増え、大きくなるにつれ土地を求める。そうなると未開の地を調べん訳にはいかぬからな。そんな地を調べる仕事をしていたのが冒険者達じゃ。未開の地にはどんな危険や魔物がいるかも分からんからの。冒険者には当然強さも求められた。しかし土地の捜査にも上限はある。徐々に調べ終わった土地が少なくなってくると冒険者達の仕事も減っていく訳じゃ。そうなると生活が苦しくなってくる。じゃから冒険者達は自分達の強さを生かす為に魔物退治を依頼とし始めた。そういった仕事を始めると、今度は商人達が目を付けたんじゃ。危険な魔物が出る道を旅するなら、魔物になれた冒険者を雇って護衛してもらおうとな。そのような事が積み重なって、今の何でも屋みたいな冒険者ギルドになったって訳じゃ。名前はその時からの名残が残ってるだけじゃな」
はぁ~、なるほどね。
昔は文字通り冒険がメインだったのね。
それが色々あって今のような感じになったと.....
俺がそんなシャルミナの説明に関心していると、親父が口を開いた。
「地上で旅するってんなら最初はラナード王国にしとけ。ここは俺のダチのタカシって奴が王様やっててな。文明もこの世界の中じゃ飛びぬけてるし、治安も他の国に比べるとかなりいいぞ。地上に行くなら紹介してやるよ。まぁ、タカシの奴からもいい加減にカズキを紹介しろって煩いからな。行くならいつでもいいぞ。向こうもそう言ってたからな」
おお、それはありがたいな。
権力者と面識が出来るってのはこちらとしてもありがたい。
まぁ、面倒な部分もあるんだろうが、まったく頼れる相手がいないよりはマシだ。
それが親父の友達で王様なんだ。こちらとしては相手に申し分ない。
「え~と、じゃあ1週間後で伝えといてくれる?皆もそれでいいかな?」
「わかった。伝えとく」
俺の言葉に親父が答え、他のみんなは大きく頷いた。
ラナード王国か.....楽しみだな。
誤字脱字報告ありがとうございます。
読んでくださっている方、応援してくださってる方、いつもありがとうございます。
今後も是非よろしくお願いします。




