もう一つの町からの招待状
誤字脱字報告ありがとうございます。
大変助かっております。
投稿前に見返してはいるんですけど見逃しが多いですね.....精進します。
働いていた頃は休みが欲しいだの、ニートになりたいだのと色々思っていたが、実際に仕事から解放された今、物凄く何か仕事がしたくなってくる。
いや、最初は訓練でいっぱいいっぱいでそんな事考える余裕もなかったんだけどさ.....
最近は落ち着いてきたのか、そんな事を考えるようになっていた。
余裕が出てきてからも、最初の頃は楽しんでいたんだけど、段々と罪悪感が芽生えてきて、今は何でもいいからとにかく仕事が欲しいと思うようになってしまった。
そんな事を嫁さんズに相談したら、総出で却下されてしまった。
曰く、『仕事を始めたら自分達との時間がますます減るから』だそうだ。
ねぇ.....それってただの種馬扱いじゃないよね?
俺達は数日前に書類をちゃんと提出し、晴れて夫婦となったのだが、お披露目のパーティーはまだ準備が掛かるみたいなのでもう少し先だ。
俺はこれを期に、口調や俺の呼び方など、もう少し砕けてもいいのではないかと提案してみたのだが、やんわりと拒否されてしまった。
本人達がそれでいいのなら、無理強いするつもりはない。
彼女達からは、結婚してもこのまま俺の傍でメイドとして仕えさせて欲しいと懇願された。
俺としては少し寂しい気持ちになったのだが.....
彼女達が俺に仕えるという意味は、俺が思ってる以上に彼女達の中では何か思う所があるのかもしれない。
.....その割には色々拒否されたりしているような気がしないでもないが、あまり考えないようにしよう。
後、変わった事と言えば、彼女達の過ごし方だ。
前までは担当の1人がその日を一緒に過ごし、外へ出る時は2人という体制だったのだが、流石にそれは寂しいと俺は猛抗議したのだ。
そのおかげで、その日に別の仕事や用事の無いメンバーは、一緒に過ごすようになった。
もちろん夜はローテーションのままだ.....俺の平和の為に。
でも最近、なんか余裕が出てきてるんだよな.....
アレか?某サ〇ヤ人みたく、瀕死から回復したらパワーアップみたいな感じで慣れてきたのか?
ふむ.....余裕がありそうだったら休む日の間隔をもう少し空けてもいいかもな。
そんな訳で俺は今、彼女達とのんびり部屋で過ごしている。
といっても全員いる訳ではなく、フローラとシャルミナとネルの3人だ。
リロロは別の仕事で、ミラーカはアリアから新しい技を教えてもらうのだそうだ。
『新しい技を覚えて、次は絶対にチャンピオンに勝つんだ』とミラーカは意気込んでいたのだが....
それ....多分通じないと思うよ?その技を教えてくれてるのがチャンピオンだよ?
そんな理由で今日、この2人は留守なのだ。
俺達は4人は今、揃って読書をしている。
うちの屋敷には図書館並の書庫があり、こちらの世界の本はもちろん、地球の本も揃っている。
俺は何故かこちらの世界の文字を読めるのだが、そこはもう気にしない事にしている。
理由なんて言われなくても分かるし.....俺の脳裏には1人の人物が浮かんでいる。
フローラはこちらの世界のなにやら難しそうな魔導書みたいなものをペラペラとめくっている。
「なんか難しそうなの読んでるね?」
「.....詠唱による威力の増減についての検証.....研究レポートみたいなもの.....詠唱の有無で威力が変わらない人は結構いる.....だから詠唱にどうにかして力を込めたら.....威力が上がるんじゃないかと.....この本を書いた人は思ったらしい.....」
「へぇ~、それんな事が出来るんだ?それで?威力が上がったりするの?」
「.....難しい.....この作者も成功はしなかったみたい.....でも.....過程は凄く興味深い.....」
なるほどね~。まぁ、こういう実験とかは積み重ねが物を言うしね。
いつかそれを達成出来る人も現れるかもしれない。
俺はそう思いながら、今度はネルの方に視線を向ける。
ネルは地球のサバイバル関係らしき本を片手に、なにやらメモをせっせと書き写していた。
「何書いてるの?」
「地球とこっちじゃ環境が全然違うっすからね。使えそうな事とか便利そうな事はメモして、後で情報収集班のみんなに渡すっす。ウチらはどうしても魔法に頼り切りになるっすからね」
「情報収集班の皆って、そんな過酷な環境で働いてるの!?」
「全員じゃないっすよ?でも冒険者として活動してる人がほとんどっすからね。こういう野外生活の知識はあった方がいいっす」
やっぱあるんだな...冒険者。
「それで?どんな知識が役に立ちそうなの?」
「主に水の確保の方法っすね。こっちじゃ魔法や魔道具を使ってるっすけど、魔法が使えなくなったり魔道具が壊れたりとか十分あり得るっす。いや~、色々な方法があってビックリっすね」
滅多にある事ではないが、万が一そのような状況に追い込まれた時、知識があるのと無いのとでは確かに違うな。
ネルは俺の質問に答えると、再びペンを走らせ始めた。
俺はこの部屋にいる最後の1人に目を向ける。
シャルミナは日本でも超有名ゲームを題材とした、勇者が主人公の漫画を読んでなにやら1人興奮している。
「むほぉ~、カッコええのぉ~、妾も言うてみたいもんじゃのぉ~......今のはインフェルノではない。フレイムじゃ」
どうやらその漫画に出てくる某大魔王様の有名な台詞がシャルミナの琴線に触れたらしい。
「随分と楽しそうだね」
「うむ、面白いの。台詞とかもカッコいいのじゃが、魔法の形を自分のオリジナルに変えるのも斬新じゃのぉ。この漫画じゃと呪文じゃったか?それと、主人公の傍におる魔法使いの坊主。こやつの成長具合も読んでいて楽しくなってくるわい」
どうやら彼女は〇ップがお気に入りらしい。
まぁ、彼は下手すると主人公より人気のあるキャラだしな。
「最初は、なんじゃこの腑抜けは!と思っておったが、震えながら歯を食いしばり、逃げ出しても周りに諭され最後には立ち向かう。うむうむ、若者の成長はいつ見ておってもよいものじゃ。漫画でなければ妾が直接指導してやりたいぐらいじゃ」
どうやら彼女の育成者としての琴線にも触れたらしい。
そんな彼女達の横で、俺もソファーに腰掛けながらのんびりと本を読み始める。
俺?俺は普通に日本の漫画だ。
地球では有名な、腕が伸びたりする海賊が主人公の漫画だ。
たま~に最初から読み返したくなったりするんだよね.....
その時、部屋にノックの音が響く。
その音で本を読んでいた全員の首が上がる。
扉から1番近い位置にいたネルが、素早く立ち上がり対応してくれると俺に声をかけてくる。
「カズキ様、メイド長っす。何かカズキ様宛の手紙みたいっす」
メイド長はうさ耳の生えた眼鏡のクールビューティーである。
この屋敷ではアリアと共にメイド達をまとめている女傑だ。
ちなみに使用人達をまとめているうさ耳の生えたハードボイルドな男性は彼女の旦那さんだ。
それにしても...手紙?俺に手紙なんてだしてくれる人とかいるのか?
.....少し悲しくなってきた。
思い浮かぶのはカイエンぐらいか?でもカイエンなら手紙を書くとか面倒な事はせず、直接自分でくると思うんだよなぁ....
俺は首を傾けながらメイド長の入室に許可を出す。
「それで、手紙って誰から?」
「いえ、手紙というよりか、どちらかといえば嘆願書のような物でしょうか」
ますます訳がわからんぞ?
俺はメイド長からその手紙を受け取り、目を通す。
なるほど.....
それはビークンの町からの手紙だった。
要約すると.....
サラディとファンタスの町だけずるい。
自分達の町にも是非。
いつ来られても大丈夫なんでお待ちしてます。
みたいな内容だった。
いやいや、サラディの町にもまだ1回しか行った事ないし、ファンタスもただ買い物に行っただけで偉い人なんかには会ってないぞ?
まぁ、確かに町に行った事は行ったけどさ....
「あぁ~、そういえばまだビークンには行った事なかったっけ。俺も行ってみたいとは思ってたし、行くか。いつがいいかな?出来るだけ早い方がいいよね?」
「それでしたら今日でよろしいのでは?」
「いやいや、流石にそれは急過ぎるでしょ?向こうに迷惑じゃない?」
「先触れを出しておきますので問題はないかと」
「あるから!問題大ありだよ!」
招待したら偉い人がその日に突然やって来た。
俺が迎える立場なら、血反吐吐きそうな程の胃痛になる自信があるぞ...
「とりあえず今度の休みの日に向かうから!くれぐれも無理や無茶は言わないようにねっ!」
「畏まりました。ではそのように手配しておきます」
そう言うと、メイド長は静かに退室していった。
次の休みの日に、俺のビークンの町行きが決まったのである。
有り難い事に徐々にPVやユニークが増えてきており、大変嬉しく思っています。
いつも読んでくれている方々、ありがとうございますありがとうございます。
最近急に冷え込んできたせいか、風邪を引いてしまい若干頭がボーっとしておりますが、皆さまは風邪等引かぬように気を付けてくださいね。




