世界が違えば常識も違う
朝か....
どうやら昨晩、リロロに襲われた俺は眠ってしまっていたらしい。
.....いや、気を失っていたが正しいのか?
普通、物語であれば、こういった日の朝は俺は目を覚まし、横で眠るリロロの寝顔を眺めながら、可愛いなぁと思いながらその髪をそっと撫でるような展開がお約束なのだろうが、現実は無情である。
当のリロロさんはすでに起きており俺の上から覆いかぶさるように首元に鼻を埋めて、スンスンと匂いを嗅ぎながらなにやらトリップしておられる。
しかし今、お互い裸でくっついているおかげで俺の胸元はとても暖かくて素敵な感触が広がっていて感動している。
昨夜はそんな感触を一切楽しむ余裕も無く、一方的に絞られていたのである....
「....おはよう。何をしておられるのかな?」
「っ!?えへへ~....おはようございます....」
ビクッと身体震わせて顔を素早く離すと、誤魔化すように笑いながら挨拶をしてきた。
挨拶を交わした俺達は自然と軽く触れるだけの口づけを交わす。
うむ、幸せだ。
....しかし、昨晩のリロロは凄かったな....
思い出すと少し背中が震えた。
ずっと待たせていたのだ、色々と溜まってたのが爆発した感じなんだろう...きっと...
まさか....アレが平常運転とかないよね?
アレがこっちの世界の女性の標準なんて事、ないよね?
だとしたら、腹上死に向けてまっしぐらな未来しか見えないんですけど...
そんな事を考えながら少し戦慄している俺の横でリロロはなにやらモソモソと動いている。
待って!リロロさんっ!?それは違うからっ!ただの朝の生理現象だからっ!男の子はみんなそうなるモノだからっ!
俺の叫びも虚しく、朝から1戦交わす事となった。
今まではよく漫画や小説などで美女や美少女に絞られ、ツヤツヤした彼女とゲッソリとした主人公のシーンを見ても大げさな....ぐらいにしか思ってなかったけどさ....
俺は今、その主人公の気持ちが痛い程分かる。いや、理解させられたのだ。
コレ....アカンやつや....っと。
俺は朝から自分の部屋に備え付けられたお風呂にリロロと共に入る。俺の部屋にはこういった時の為にお風呂もあるのだ。
今まで使った事はないけどさ....というよりもお風呂は自分達の仕事だといって大浴場しか使わせてもらえない。
軽く汚れを落とすと、しっぽぶんぶん丸でニッコニコなリロロと共に、メイドさん達が朝集まってるという部屋へ向かっている。
理由は簡単だ。他のメイドさん達にも俺の想いを伝えにいく為だ。
部屋に着き、リロロがノックをしてドアを開く。
開いたドアから、4人が楽しそうに雑談している姿が目に入ってきた。
きっと朝、こうやって集まって雑談するのは彼女達のルーティンなんだろう。
そんな彼女達は、リロロと共に俺が部屋へ入る姿を見ると、一瞬固まったかと思うと物凄い形相でこちらに詰めよってきた。
「なんでカズキ様とリロロからお互いの匂いがしておるんじゃ!?どうなっておる!?」
「.....いつもよりかなり強い匂い.....詳しく.....どうだった?.....」
「ほんとだっ!リロロから物凄くカズキ様の匂いがするっ!?」
「おおっす!これはアレっすか?そういう事でいいんすか?」
「えへへ~....」
モジモジと顔を赤くするリロロの横で、俺は自分の腕を鼻に近づけて匂いを確かめる。
ねぇ、君達....鼻良すぎない?
まぁ、今はそんな事は置いておこう。それよりも.....だ。
「昨日リロロには言ったんだけどさ、皆にも俺の気持ちを聞いて欲しいんだ。ミラーカ、フローラ、シャルミナ、ネル、ずっと待っていてくれてありがとう。それと待たせてごめん。こんな俺でも良かったら俺と結婚して欲しい。愛してる」
俺がそう言うと、彼女達から大歓声が上がった。
やはり嬉しさからか、泣き出してしまった彼女達を抱きしめようと俺は近づきながら少し腕を広げる。
その瞬間、ミラーカが俺の胸に飛び込んできた。
そして何故か、左右からシャルミナとフローラ、背後からはネルも抱き着いてきた。
....こういうのって普通、1人づつ胸で抱くようなもんじゃないの?
俺は困惑するが、4人に抱き着かれて全く動けないので落ち着くまで彼女達の自由にさせる。
すこし時間経ち、多少落ち着いた彼女達を見ながら俺は口を開く。
「なんか、こんなまとめて告白みたいな感じになってごめん。我ながら最低だとは思うけど、みんなへの気持ちは本当だから信じてほしい」
ポロポーズするのにまとめて言うとか、我ながら本当に最低の行為だと思う。
しかしそんな事を言われた彼女達は
「「「「「??」」」」」
訳が分からないよ。っと言わんばかりに揃って首を傾けていた。
「カズキ様、なんで謝ってるの?」
ミラーカがそう聞いてくる。その顔は本当に何に謝ってるのか分からないって顔だ。
「いや、普通プロポーズするのにまとめて言うとか最低だろ?」
「なんでじゃ?みんな揃っとるんじゃからまとめて言うた方が早かろう?」
「そうっすね。この場に居ないとかなら分かるっすけど」
「.....わざわざ別に言う必要.....ないと思う.....」
「私はその、嬉しかったですけど、昨日言われてなかったとしても、まとめてでいいと思いますよ?」
「うん。僕もそう思う。別々に言うなんて時間がもったいないだけだよ」
んんっ?
「いや、普通はちゃんと1人1人と向き合って伝えるんじゃないの?その、誠意を示すって意味とかでもさ....」
「そうなの?僕はそんな話聞いた事ないけど?」
「私もないです」
「.....お互い愛し合ってれば.....問題ない.....」
「そっすね。それだけで問題ないと思うっすよ」
「ふむ、これはアレじゃな。カズキ様の元いた世界とこっちでは、色恋の常識が違うというやつじゃな」
なるほど、そういうもんか。
そうだよな....複数人と結婚しようとしてる時点で日本の誠意とか倫理観とか今更無いわな。
日本では、お付き合いや結婚は1人だけ、それ以上の人に手を出すの悪!って感じが強かったからな、俺もそうだと思い込んでた部分が残ってたんだろうな。
よく、漫画や小説なんかだと1人に拘ってる主人公がいるけど俺にはそいつの気持ちが理解できない。
地球でも一夫多妻や多夫一妻の国はまだあるし、日本でも重婚が認められていないから籍は入れずに複数人とって人もいるのだ。
特に問題もないのだから、愛してるのであればハーレムでも問題はないと思う。
もちろん責任は取らなくてはいけないのだが。
まぁ、その辺りは人それぞれだから、他人の考えに文句を言う気はない。
そういった主人公は、1人に拘る事になんか美学を持っているのかもしれないしな。
理解出来ない。ただそれだけだ。
「なるほどね....それでさ、結婚とかするのに何かする事とかあるの?」
「特別な事はないの。ただ結婚しますっていう書類を提出するぐらいかや?」
へぇ、婚姻届けみたいな物はあるのか。
「まぁ、それもここやラナード王国、ミリアーナ神聖国だけっすけどね」
なんか不穏な国の名前が聞こえたきがするぞ....
これはもしかしなくても、母さんを崇めてる国って事だよな?
....よしっ!俺はその国には近寄らないぞっ!近づかないったら近づかないっ!
「それ以外はどうするんだ?」
「.....別に何もしない.....お互いが合意すればそれで夫婦.....」
マジか。
「結婚式を挙げたりとか、教会とかに誓いをお祈りにいくって事とかは?」
「ん~。特にないかな?地位の高い人とかが少し豪華なパーティーを開くぐらいかな?僕も小さい頃に何度か参加した事あるよ。多分、ジン様とミリア様なら大きいパーティー開いてくれるんじゃないかな?」
「うむ、王族や貴族、大商会の子息などはお披露目のパーティーはするが、それぐらいじゃな。妾も何度か参加した事はあるのぉ。ジン様とミリア様は張り切るじゃろうな」
ミラーカは名家のお嬢様でシャルミナは元魔王様、そういった経験はあるのか。
「私、そういったパーティーとかで着れるような服は持ってないんですけど、大丈夫なんでしょうか?」
リロロが不安気に、耳をペタンと伏せる。
「なに、心配はいらぬ。そういった事が好きな連中がこの屋敷には沢山おるでな。嬉々として用意してくれるじゃろうて。それよりも今はもっと深刻な問題が残っておる.....」
なんだろう?こっちの世界じゃ結婚するのに何かあるんだろうか?
まさか....試練みたいなのがあって、それを乗り越えろ!みたいなんじゃないよね?
俺はシャルミナの言葉に身構える。
緊張のせいか少し口が乾いてきたのでリロロが淹れてくれたお茶で口を湿らせる。
「問題っすか?」
「そうじゃ!それはな.....今日からの夜伽の順番じゃっ!」
ブフォッ!!....ゴホッ!ゴホンッ!
お茶が器官に入り、吹き出してしまった。
苦しむ俺の背をリロロは優しく撫でてくれる。マジ天使。
「リロロは既に済ませておるが、問題は今日からの順番じゃ!」
「別にその日の当番の人って事でいいんじゃないっすか?」
「.....そうなると.....今日はミラーカ.....?」
「嫌じゃっ!そうなるとミラーカ、ネル、フローラ、妾になってしまうではないかやっ!そんな長い時間、妾は我慢できんぞっ!」
「.....それは同意.....わたしも早く抱いて欲しい.....」
「え~.....なら今日の当番変わろうか?僕は別にいつでもいいし」
「ウチもっすね。数日待つなんて今更っす。じゃあ、今日と明日は2人のどちらかでその次にミラーカ、ウチの順でいいっすか?」
「うん、僕はそれでいいよ?」
「2人共、恩に着るっ!ならばフローラよ。順番は公平にじゃんけんで決めようぞ。表へ出いっ!勝負じゃ!」
「.....望む所.....負けない.....」
そんな会話をしながら部屋から出て行く2人の背中を茫然と見つめる。
なんでじゃんけんで外へ?っと思ったが、この人達のじゃんけんは俺の知ってるじゃんけんじゃなかったと思い出す。
しばらくすると、重く何かが響くような音と小さい揺れが屋敷に伝わってくる。
ねぇ....本当にじゃんけんだよね?
音と振動に不安と恐怖を抱きながら、俺は2人が戻ってくるまでしばらく待つのであった。
何かイマイチな感じだったのでアレコレと修正していたら何がなんだか分からなくなってきて諦めました....
自分の未熟さを痛感させられておりますが、挫けず頑張って参ります。
読んでくださってる方が徐々に増えてきているみたいで物凄く嬉しいです。ありがとうございます。
これからもどうぞよろしくお願いしたします。




