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突然!異世界ライフ~とりあえずのんびり生きていこうと思います~  作者: おる・かん
第1章・ミーアゼルクの浮遊大陸
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神の力

『神の力』


神はそれぞれ自分を司る力を持っている。

慈愛、豊穣、戦.....その力は様々だが、基本的には1柱の神に付き1つなのが普通だ。


ちなみに柱と言うのは勝手に呼ばれている事のようで、本人達は普通に1人と呼ぶそうだ。


話を戻す。

そんな中で異色の神なのが我が母、ミリアである。

母ミリアが司るのは『創造』と『破壊』。

その片方でも神々の中では最高峰とも言える力らしいのだが、それを2つも抱えている。

他に居ないという事はないらしいのだが、それでも物凄く少なく数える程しかいないらしく、その者達は例外なく神格の高い者達みたいだ。

神々の中にはその権能の力に負け、自身の力に呑まれ、堕ち、他の神を力を狙い襲うようになる者が極稀にいるらしく、それを邪神と呼ぶらしい。

神々は他の神を滅した時に、その神の権能を取り込む事が出来るらしく、そのせいで邪神はその力を狙って襲ってくるみたいだ。

親父が召喚される切っ掛けとなった邪神は、母さんの力を取り込もうと襲ってきたらしい。

母さんは2つ持ってるのでその時の邪神から奪った物なのかと思ったが元々だそうだが、その時に襲ってきた邪神の権能は『破壊』であったらしく、母さんの『破壊』が強化されたんだそうだ。

権能が被ってるのは多々あるらしく、同じ権能の中でも神格で上下が決まるらしい。

その辺りは聞いてもいまいちピンとこなかったので、へぇ~....そうなんだ。ぐらいにしか思わなかった。

そしてそんな俺は、母さんの『破壊』の力を多く受け継いでいるらしい。

割合的には9:1なんだそうだ。


.....偏り過ぎじゃね?


なんでも、その邪神の力を取り込んだ時に『破壊』の力が強くなりすぎてしまい、母さんの身体が無意識にバランスを取る為に俺に多くその力が受け継がれてしまったのではないか....という事らしいのだが...

なんか廃棄物を押し付けられたみたいで嫌だな....


「はぁ...つまりあの黒くてモヤッとし感じるのはその『破壊』の力って事?」


俺も横になったまま、首だけを向けて問う。

あの後気を失った俺を連れ、休める場所まで移動してきているのである。

どこかの山の山頂なのか、見渡す景色は下に雲が広がっており、少し肌寒い。


「その通りだ。まぁ、自分でも気づいてると思うが、むやみに使おうとするなよ?呑まれて堕ちるぞ?」


親父は言う。

俺は親父の息子だ。つまり半分は人間な訳だ。

そのせいで普通の神に比べ、力に呑まれやすいのだそうだ。


「と言ってもコントロールはいずれ出来るようにはなるから心配するな。ただ、それは徐々にって感じだからな。間違っても自分で使おうとするなよ?まだまだ第1段階に入ったってぐらいだからな。もし、どうしてもって時は必ず母さんの傍でしろ。いいな?」

「大丈夫よ~。ママが必ず守ってみせるわ~」


俺としてはこんな力、使わないでいいなら使いたくはないんですけど....

どうやらそういう訳にもいかないらしい。


その時、少し離れた位置に突然、ドガンッ!と何かが物凄い勢いで着弾するような音が聞こえた。

音の方へ慌てて視線を向けると、そこにはアリアが立っていた。

何やら怒ってるみたいでその顔は少し険しい。


「あら~....もう結界から出てきたのね~....」


そんな母さんの呟く言葉に首を傾ける。

どーいう事?

アリアがこちらに向かい歩いてくる。

余程怒っているのか、アリアの周りの空間が歪んで見える気さえする。

なにこれ。めっちゃコワイんですけど.....

何で怒ってるのか分からないけど、物凄く怖い。


「さてミリア様....何か弁明があればお聞きしますよ.....」


そう言いながら近づいてくるアリア。


「ち、ちがうのよ~.....」


そう言いながら少し後ずさる母さん。

おおっ....なんか焦ってる母さんとか新鮮で珍しいな。

矛先が俺じゃない事に安堵し、呑気にそんな事を考える。


「これはカズちゃんに必要なことなのよ~?それにアリアちゃんは絶対に止めるでしょ~?それじゃあカズちゃんの為にならないわ~」

「それで私を閉じ込めたと?当然です!カズキ様に危険な事などさせられる筈などあり得ません!あぁ....カズキ様....こんなに消耗なされて....お可哀想に....」


そう言ってアリアは俺を抱きしめようとしてくる。

あっ、やべっ.....

俺はとっさに首を横に向ける。

ふっふっふ、そう何回も窒息させられそうになってたまるか!俺も成長しているのだよ、成長!

そう思っていると、アリアは俺を正面から胸の谷間に抱え込むように抱き直す。

なんでだよっ!!

俺、実は嫌われてたりしない?大丈夫だよね?殺意とか持たれてないよね?

そんないつものやり取りをしつつ、なんとか解放された俺は2人の口論を眺める。

母さんは多少危険でも俺の為には必要な事だと言う。

アリアはそれでも俺に危険な事はさせられないと言う。


「アリア....心配してくれてありがとう。その気持ちは凄く嬉しいけど、やっぱ母さんの言う通りだと思う。俺自身の力なら、ちゃんとコントロールできるようにならないとな。それにほら、俺が伸び悩んでるっての知ってるだろ?なんか親父が言うには、今回の事で殻が破れるみたいな事も言ってたしさ、そんなに怒らないでよ?ねっ?」

「し、しかしっ....いえ...カズキ様がそこまでおっしゃるならもう何も言いません。ですが!もしっ!次に同じような事をなさる場合は、必ず私をお連れください!」

「あぁ~...うん、出来るだけ善処します」


そんな政治家みたいな返答を返す。

母さんは過保護だが、厳しい時や叱るべき所はちゃんとしている。

しかしアリアにはそれがない。過保護一辺倒なのだ。

たぶん、そこら辺が理由で置いて行かれたんじゃないかと思う。

だから次回があったとしても、また置いていかれるんじゃないかなぁ~とは思うがそこは何とか口に出さずに堪えた。


「そういえば、俺って何か変わったの?特になにも感じたりはしないんだけど?」


俺は話を誤魔化すようにそう言って身体を起こす。

どうやら回復したみたいだ。


「ああ、それは実際に体感してみた方が早いかな....軽くアリアと模擬戦してみるか?」


親父がそんな提案を出す。

アリアはパァァァァァっと嬉しそうに顔を輝かせているが、俺は顔を歪ませた....

だって....嬉々として自分から攻撃を受けに来て、攻撃が当たる度に顔をだらしなくさせて身体をもじもじさせる変態の相手なんて嫌だよ.....

とは言っても親父相手だと俺が一方的にボコボコにされるだけだし、母さんは論外。模擬戦にすらならない。

となると残りは.....なんだけど、気がのらねぇ....


ハッ!?マッシュっ!そうだっ!マッシュがいるではないかっ!

手加減も絶妙でアドバイスも適格で分りやすい、パーフェクト指導者マッシュが俺にはいるっ!


俺は砂漠で遭難している時にオアシスを見つけたような気持ちになり、期待を込めた視線をマッシュに向ける。

しかし、その視線にアリアは気付いたのか、物凄い殺気をマッシュにぶつけ出した。


『う、うむ....我は少し調子が悪いので、若様の相手は残念ですがまた今度にしましょう』


マッシュぅぅぅぅ~!!


こうして俺の心のオアシスは蜃気楼のように消え、変態と模擬戦という名のプレイを行う事が決まってしまった。


「まぁ、軽く模擬戦っつてもカズキはまだそこまで回復してないだろうからな。お互い当てるのは無しにしとけ。カズキは見に集中するようにしとけよ?」


お、親父ぃ~.....俺の救世主はここにいたのかっ!

おいっ!ソコっ!非常に残念ですってガッカリした顔するなっ!

....いや、まてよ?そもそも親父が言い出さなかったらこんな事にはなってないんじゃ....

ぐぬぬ、やはり親父許すまじっ...


お互い向き合い、親父の合図と共に動き出す。

んっ?なんだ....なんかいつもよりアリアの動きがよく分かるぞ?

いつもは何かよく分からない内に近づかれて、いつの間にか攻撃されてるってぐらいしか分からなかったのに....


「驚いたか?力を解放して、やっとその眼の力も発揮され始めたって訳だ。まぁ、まだまだだが、それでも今までよりは動きが追えるだろ?もっとも、見えるだけで身体の反応は追いついてないみたいだけどな」


親父の言う通りだ。確かになんとか動きは追えるようになったけど身体が追い付いてくれない、なんか物凄く違和感があるが、これは慣れていくしかないだろう....

...アリアさん?これ、寸止めですよ?言ってみれば型稽古みたいなものですよ?分かってます?

なんかさりげなく当たりにきてませんかね?

見えてるから何とか止めたいが、身体が反応してくれずに止められない。

それを利用して、アリアは何発か当たりにきてはご満悦な表情をしている。

内心ゲンナリしながら少しの間、模擬戦は続いた。



「よ~し!そこまでっ!慣れるまでは戸惑うだろうが時期に慣れる。後はいつも通り訓練を重ねて徐々にって感じだな。神力のコントロールは母さん主体で教えていくから焦るなよ?今日は初解放だったから少々危険な事もあったが、1回解放しとけば後はそこまで心配しなくてもいい。何度も言うが、焦るな。ゆっくりでいいからな」

「ママが立派に使いこなせるように鍛えてみせるわ~」

「んじゃ帰るかっ!帰ってもしばらくは安静にしてゆっくり休んでおけよ。まぁ、2~3日ってところか?」


そうして俺達はマッシュの背に乗りまた空の散歩を楽しみながら帰宅する。

母さんの転移魔法で帰れば一瞬なんじゃ?とも思ったが、この絶景をもう少し眺めていたいので、ソレを口にする事はなかった。



あと、出来ればアリアとはもう模擬戦はしたくない....

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