姦しメイド会議
今回はリロロさんの視点でのお話です。
最初はメインヒロインにと考えていたんですけど、何か気が付いたら物凄く影が薄くなっちゃってました....
「んじゃ、第42回カズキ様の心を射止める乙女の会をはじめるっすよ~」
そんなネルお姉ちゃんの声に、他の3人も『いぇ~い!』と声を上げながらパチパチと小さく手を叩いて拍手をしてる。
私も同じように声を出し、手を叩く。
この会はカズキ様の情報を私達5人で共用する為に開いている会だ。
今日は珍しく、カズキ様のご家族だけで外出されているので私達は全員お休みを頂いたのだ。いつもは私達の誰かが必ず側に控えているから全員参加の会議は実はこれが初めてだ。
この会はカズキ様の好みやクセ、性的興奮ポイントなど小さな情報でも皆で共有する為の大事な会だ。
私は思わず、カズキ様に受けいれて頂いてる幸せな未来に思いを馳せる。
えへへ....
「....な~にだらしない顔でニヤニヤしておるんじゃ?」
シャルお姉ちゃんにそう言われ、ハッと現実に戻ってくる。
周りを見ると、シャルお姉ちゃんだけでなく皆もニヤニヤした顔で私を見ていた。
急に恥ずかしくなり、顔が熱くなっていくのを感じる。
きっと今の私の顔は真っ赤になっているだろう....
「....まぁよい。それで?今日はどうしたんじゃ?なにやら重大な話があると深刻そうに言うておったが....何があったんじゃ?」
シャルお姉ちゃんがそう聞くと、ネルお姉ちゃんはその言葉に深く頷き
「そうっす。というか、シャル姐の話になるっすけど落ち着いて聞いて欲しいっす」
「えっ!?あたしっ!?なん.....コホンッ!妾の話とはどういう事じゃ?」
「結論から言うっすけど、このままだとシャル姐だけがカズキ様からお手付きにされない可能性が非常に高いっす」
「な、なんでっ!?あたし、カズキ様に嫌われるような事、何かしちゃったっ!?」
シャルお姉ちゃんは目に涙を浮かべて焦っている。
普段は威厳を気にして少し尊大な口調で喋ってるけど今の口調の方が素だ。
尊厳なんか気にしないで普通に喋ってた方が可愛いと私を含めた全員が思っている。
でもそれを口に出す者はいない。
だって....シャルお姉ちゃんが自分の幼い容姿にコンプレックスを持っている事は、皆知っているから。
ここにいる誰よりも幼く見える容姿をお姉ちゃんは凄く気にしている。
年齢は誰よりも上だけど.....ソレを口にしてしまえば、どうなるのか想像しただけでも恐ろしいから、そんな事は口が裂けても言えないけど。
「だから落ち着くっす。別に嫌われたりとかって理由じゃないっよ。見た目が原因っす。あと...口調戻ってるっすよ」
「んぐっ!....妾の見た目が問題というのはどういう事じゃ?」
どういう事だろう?シャルお姉ちゃんは見た目は幼く見えるが顔立ちは物凄く整っていて可愛い。
一瞬、胸が小さいからかな?って思ったが、それならフローラちゃんも当てはまってもおかしくない....
なんて失礼な事を考えてしまった....いけないいけない....
皆も何が問題か分からないのか、見た目?と言って首を傾げている。
「そうっす。簡単に言うと....カズキ様はロリコンじゃないっす。いいっすか?大事な事なんでもう1回言うっすけど、カズキ様はロリコンではないっす」
「ぐぬっ....確かに妾の見た目は少し幼いかもしれぬが、それならフローラもではないかや?何で妾だけなんじゃ?」
「.....失礼....わたしは大人.....」
「妾だって大人じゃわいっ!!」
「まぁまぁ....でもそれは僕も気になる。なんでシャル姐だけなの?」
私と同じような事を皆も思ったのか、じっとネルお姉ちゃんの言葉の続きを待つ。
「まぁ、ここまで言っておいてアレなんすけど....あくまでウチの主観から見てって話っすからね?」
そう前置きしてネルお姉ちゃんが語りだす。
「まず、1つ目の根拠は視線っす」
視線?どういう事だろう?
「そうっすね....分かりやすく言うと、リロロ。カズキ様はよくリロロの胸をチラチラ見てるっすよね?」
「はい。カズキ様は頻繁に私の胸に視線を向けてますね」
昔はジロジロと見られて嫌だったけど、カズキ様はこの胸に性的興奮を覚えてくれてるんだと思うと、この大きく育った胸を褒めてやりたい。
片手で胸をむにょんと持ち上げ、えへへ....とだらしなく顔をにやけさせる。
カズキはチラっと盗み見してるだけのつもりなのだが男の視線なぞ、見られてる女性からすればモロバレなのである。
「ウチやミラーカもよく胸を見られてるっす。フローラにもそういう視線は向けてるっす」
「うん、訓練の時とか足を出す格好とかしてると太ももとか足もよくチラチラ見られるよ?」
「.....わたしもよく.....下着とか.....広がった胸元を見られてる.....」
そんな話を聞き、シャルお姉ちゃんの方を向くと
「な、なんでっ!?.....あたしはそんな目で見られた事ないよっ!?.....もしかして.....カズキ様の好みじゃないのかな.....?」
と、顔面を蒼白にし愕然としていた。
「これは推測っすけど、カズキ様って若返ってるっすよね?そのせいで思考や好みも幼くなってるってミリア様は言ってたっすけど、それでも元々の趣向が影響されてるんじゃないかって思ってるっす。多分、元のままの趣向ならフローラもアウトっす。今でギリギリ性的興奮を覚える範囲に入ってるんじゃないっすかね?」
私も背が低くて顔は幼いから危なかったのだろうか....胸は大きいけど....
そう思うと背中が冷たくなる.....
でもなんでネルお姉ちゃんはそんな事を思ったんだろう?
視線の話を聞いて確かにとは思ったけど、何か確信するような事でもあったのかな?
「ねぇ、ネル。僕も今話を聞いて、なるほどって少し思ったけどさ、それってまだネルの推測でしょ?そんな確証の無い話とかしてもシャル姐が辛いだけだし.....可哀想だよ.....」
ミラーカちゃんはポロポロと涙を流しながら、ただ茫然と立ち尽くしているシャルお姉ちゃんを抱きしめながらそう言う。
「シャル姐の為に先に言っておくっすけど、すでに解決策は見つけてるっす。だから安心して大丈夫っすよ。それで、二つ目の根拠なんすけど.....匂いっす」
匂い?思わず首を傾げる。
「カズキ様を朝迎えに行った時に皆気付いてると思うっすけど、カズキ様はよく自分で処理してるっすよね?」
確かにしている。私は皆よりも鼻がいいから特に強く感じちゃうんだよね....
でも、男の人はそういった事には物凄くデリケートだから、気付かない振りをしてあげないといけないって、前にシャルお姉ちゃんが言っていた。
カズキの部屋は夜の22時から朝の7時まで立ち入り禁止である。
これはカズキがプライベートを確保する為に決めた事なのだが、そうなると男としては当然ある行動を取る。
カズキはバレないように色々と工夫して誤魔化してるつもりなのだが、彼女達は普通の人間より鼻がいい。
なのでカズキが致してる事は彼女達にはバレバレなのである。
「その時に、明らかにシャル姐が当番の次の日に匂いがする事が少ないんすよ」
も、もしかしてカズキ様は私の事を想像して....その.....えへへ....でも....なんで....
カズキが自分をそういう対象として見てくれている喜び、しかしまだ、自分に直接手を出してくれない悲しみ、自分でするぐらいなら私にその性をぶつけてくれたらいいのという怒りがリロロの中で吹き荒れる。
複雑な乙女心を宥めるように、彼女は自分に言い聞かせる。
カズキ様との距離は前よりずっと近くなってる.....きっともうすぐ受け入れていただける.....
リロロがそんな事を思う中、シャルミナが落ち着いてきたのか口を開く。
「妾は....その....カズキ様には異性として見られておらなんだという事なんじゃろうか.....」
酷く気落ちした声に、ネルはあっけらかんと答える。
「そんな事はないっすよ。カズキ様はシャル姐の想いを嬉しく思って必至に受け入れようとしてくれているっす。そうすね.....気持ちはシャル姐に惹かれてるけど身体は反応をしない、そんなチグハグな状態っすね。このままこの状態が続くと、カズキ様の性格上、間違いなく自分を責め始めるっすね。だからそんな事になる前にこの話をしたっす。シャル姐には辛い話で申し訳ないとは思ったっすけど.....」
「よい.....カズキ様の事を考えるなら当然じゃ」
ネルお姉ちゃんやシャルお姉ちゃんだけでなく、カズキ様が最優先なのは私も同じだ。ミラーカちゃんやフローラちゃんも同じだろう。
「話は分かったけどさ、解決方法があるって....どうするの?」
「.....気になる.....」
ミラーカちゃんとフローラちゃんも気になるのか、ネルお姉ちゃんに聞いている。
「特別な事は何もしないっすよ?ミリア様にお願いするだけっすから」
と軽く答えるネルにリロロは安堵する。
ミリア様にお願いすれば間違いないし、これで安心だね。
彼女達の中で、ミリアは絶対的に信頼が置ける存在として認識されているのだが、カズキからしてみれば爆弾魔に爆発処理を頼みに行くようなものである.....
「それで?具体的に何をお願いするの?」
「.....詳細求める.....」
「うむ、妾も気になるのぉ」
「私も気になります。ネルお姉ちゃん、どんな事をお願いするの?」
「簡単っすよ。カズキ様がシャル姐の身体でも性的興奮できるようにしてもらだけっす。性的対象の年齢を引き下げるだけだとただのロリコンになってしまってカズキ様も困惑するし、ミリア様が何かしたって気づくかもしれないっすからね。あくまでもシャル姐だけにするっす。そうすれば、シャル姐の想いに影響されただけだって事でカズキ様も受け入れやすいっすからね」
さすがはネルお姉ちゃんだ。そこまで考えていたとは。
私も負けないように、もっとカズキ様に尽くせるように頑張らないとっ!
リロロはムンッと気合いを入れるように、小さく両手を胸の位置まで上げ握る拳に小さく力を籠める。
「それは素晴らしい考えじゃな!早速ミリア様にお願いしてくるのじゃっ!」
そう言ってシャルお姉ちゃんは部屋を飛び出そうとするけど、すぐにミラーカちゃんに捕まっていた。
「はいはい。落ち着いて。ミリア様はまだ戻られてないから」
少し興奮気味のシャルお姉ちゃんを、ミラーカちゃんが宥める。
「......それにしても.....なんでそれだけの情報で気付けたの.....?」
「うんうん。僕は全然気が付かなかったよ~」
「妾もじゃ....じゃがおかげで助かった.....ネル、ありがとう」
「いいっすよ。それに元々、こういう情報とか扱うのがウチの本業っすからね」
そうだった。ネルお姉ちゃんは元々地上でお仕事してて、こういう情報を集めたりとか分析したりする事がとても得意だったんだった。
「やっぱりネルお姉ちゃんは凄いね!」
「ふっふーん。そうっす。ネルお姉ちゃんは凄いんすよ?もっと褒めてくれていいっすよ?」
私がネルお姉ちゃんはそう褒めると、自慢げに、嬉しそうに胸を逸らした。
「じゃあ話もまとまった所で次の情報の話っす。次はカズキ様の好きな下着の色や形とかっすね」
「.....むっ.....詳しく.....」
「はいは~い!僕も気になる!」
「妾は体型で少し不利じゃからな.....こういったポイントでなんとかせねば.....」
「私も気になります!どんな色や形なんですか?」
「ふっふっふっ。焦るな焦るなっす。まずはっすね....―――」
こうして私達の情報交換会というカズキ様の心を射止める会の会議の話は進んでいく。
もっともっと魅力的になって、精一杯お仕えできるように頑張らなくちゃ!
私はそう強く決意し、皆との話し合いに参加するのであった。
ちなみにカズキがこの会話を聞いていたなら、大声で叫びながら外へ飛び出し、走り回った挙句、数日は部屋で引きこもるのは確実であるが、本人はまったく気が付いていないので平和そのものである.....
次回は今回のメイドさん達の会議の裏でカズキが何をしていたかのお話です。
いつもお読み頂き、本当に感謝しております。




