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突然!異世界ライフ~とりあえずのんびり生きていこうと思います~  作者: おる・かん
第1章・ミーアゼルクの浮遊大陸
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バトルカルタ・試合の結末

ミラーカとアリアはリングの上で静かに対峙している。


『立ったっ!立ち上がりましたっ!ミラーカ選手っ!凄まじい根性と執念であの激しい攻撃をまもとに受けたにも関わらず立ち上がってきたぁぁぁぁ!』

『ええ、あの攻撃で決まったかと思われましたが、まだまだ闘志は衰えていませんね。ここからどう挽回していくのか、非常に気になりますね』


実況と解説の人とは対照に、会場はその雰囲気に飲まれ、徐々に静かになっていく。

そんな中、ミラーカの応援団が声が限り声援を贈り続ける。


「姫さまーっ!ここからが勝負ですよーっ!」

「そうだ!まだまだ負けてないっ!ここからです!姫様~っ!」

「姫様の御力、我らは信じておりますっ!」

「姫様~っ!今度カズキ様に我が家秘伝の精力剤を贈っておきますぞ~っ!」


.....おいっ!爺は空気よめっ!!

いい加減、ぶん殴ってやろうかと思っていたら近くの応援団の人達に殴られて白目を向いて気絶していた。

グッジョブ!

これで静かになったと一息吐き、試合の行方に意識を戻す。


その瞬間、ミラーカが弾けたように飛び出した。

低く地を這う姿勢で矢のように急激に距離を詰めたかと思うと、凄まじい速度で拳を繰り出す。


『ミラーカ選手、急激に距離を詰めて接近戦を挑んだっ!!怒涛の凄まじい連撃を繰り返しています!さすがにこれにはカズキサマラブ仮面選手も反撃の隙が見当たらないのかっ!?』

『先程までの魔法戦で遠距離は不利と思って近接戦に切り替えたのでしょう。しかし、凄まじいラッシュですがカズキサマラブ仮面選手はまだまだ余裕のようですね。その証拠に、あの凄まじい連打を1発も浴びる事なく冷静にさばいていますからね』


その通りだ。ミラーカが押しているように見えるが、アリアはその攻撃を全て捌いている。

ダメージのせいか、ミラーカの動きはいつもより鈍く見える。

必至に拳を、蹴りを繰り出しているが無情にもアリアにその攻撃が届く事はない。

攻撃を繰り出す度に、ミラーカの身体から滴り落ちる血が飛び散り、アリアの身体を紅く染めていく。


「ふむ....何か手があるのかと思えば、まさか玉砕覚悟で突っ込んでくるだけとは....少々失望しました」


アリアから、そんな落胆するような声が聞こえた。

その瞬間、ミラーカは不適にニヤリと笑う。


「かかったね!ブラッディホールドっ!!」


真紅の双眸が強く輝いた瞬間、アリアの身体に付着していた血が縄のように変化しアリアを締め付けた。


「なっ...!?まさか血の遠隔操作!?前まではそこまで出来なかったはずです!?」


この試合、始めてアリアが動揺した。

動揺は一瞬だったのかもしれない....しかしミラーカはその隙を逃さずに渾身の力を放とうと構える。


「いっけぇぇぇぇぇ!ミラーカぁぁぁぁ!!」


俺は思わず叫んでいた。

俺の声が2人に届いたのか、2人は一瞬チラリと目を向ける。

ミラーカは一瞬驚いたような表情をした後、すぐに嬉しそうな笑顔を浮かべた。

アリアは驚き、俺の方を向いたまま、ガーンっ!と背景に効果音が付きそうな程ショックを浮かべて固まっている。

.....あれ?もしかして2人の勝負の邪魔をしてしまったか?

でもスマン、アリア....俺の中ではミラーカの方が圧倒的に優先順位が高い。

やらかしたかなぁ、と内心冷や汗をかく。


「今だっ!ブラッディランスッ!!」


ミラーカ渾身の一撃が反応の遅れたアリアを襲う。

アリアは攻撃をまともに受けてしまい、そのままリングの外、観客席の下の壁まで吹き飛ばされてしまった。


『決まったぁぁぁぁ!!ミラーカ選手の隠し玉が見事にカズキサマラブ仮面選手を捉え、場外まで吹き飛ばしたぁぁぁ!!これで1本目はミラーカ選手の先取だぁぁ!!』

『これは驚きましたね。今まで1本すら取られた事のないカズキサマラブ仮面選手から先取するなど、まさに快挙と言っていいでしょう!いやぁ~、未だに目の前の出来事が信じられませんね!』


興奮する実況席とは違い、会場内は不気味な程の静寂に包まれている。

皆、目の前の出来事が理解出来ずに茫然とし、そのあまりにも凄まじい光景に言葉が出ないのだろう。

僅かに耳に入ってくるのは、ミラーカの応援団の人達であろう嗚咽だけだ。


ミラーカは力の全てを出し尽くしたのか、その場にバタリと倒れ込むと、そのまま中央の札の浮かんだ場所までズリズリと這ったまま向かう。

震える腕を伸ばし、札を掴むとミラーカは小さく呟いた。


「...や、やったよ...みんな....ぼ、僕がチャンピオンから....いっぽん...とれた...よ...」


ミラーカはそのまま力尽き、気を失ってしまった。

その瞬間、ミラーカの傍にはいつの間にかアリアが現れており、力尽きたミラーカをそっと優しく抱きしめた。


「よく頑張りました....貴女がここまで成長しているとは思ってもいませんでした。立派になりましたね...貴女を誇りに思います」


気を失っているミラーカの頬をそっと優しく撫で、回復魔法で傷を癒すとそのままミラーカを抱えて歩きだした。


『な、なんとミラーカ選手!1本先取したものの力尽きてしまったぁぁぁ!!これでミラーカ選手はリタイアで不戦敗となってしまいました!しかし、恥じる事は何もないでしょうっ!まさに歴史に残る素晴らしい試合だったという事を皆さん感じている事でしょうっ!!』

『ええ、とても素晴らしい試合でした。これは来年のミラーカ選手の活躍がますます楽しみですね!』

『私もこのような素晴らしい試合の実況をさせてもらう事で出来て、とても誇らしい気分です!さて、皆さま、これで本日の試合は終了です!また次回、お会いしましょう!』


会場はスターディングオベーションで割れんばかりの歓声と拍手だ。

シャルミナとネルも、顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしながら笑顔で拍手している。

試合後、俺達はミラーカのお見舞いに医務室を訪れた。

アリアの姿はなく、ミラーカが医者らしき人と話していた。

部屋に入ると、医者らしき人はペコリとお辞儀をし、部屋から出て行った。


「ミラーカ、身体は大丈夫か?」

「あっ、カズキ様!皆っ!うん、魔力を使い過ぎただけで身体は全然平気だよ!少し休めばすぐ元気になるって」


ミラーカは少し恥ずかしそうに答える。


「せっかく皆が応援に来てくれたのに勝てなかったよ....ごめんね...」

「なにを言う!お主は立派じゃったぞ!妾はとても誇らしかったわ!」

「そうっす。ミラーカは凄かったっす。ウチは感動したっすよ?」

「おうっ!あんな戦いを見せられちゃ、文句のつけようもないぜ!」


勝てなかった事を謝るミラーカを、シャルミナ、ネル、カイエンが揃って励ます。


「....それでも....勝ちたかったな.....」


そう言ってミラーカは悲しそうに俯く。

少し一人にしてあげよう。皆と無言で視線を交わし頷き、外に出ようとすると、ミラーカの手が俺の袖を掴んだ。

皆が部屋の外に出た直後、ミラーカはバッと俺の胸に飛び込み静かに嗚咽を漏らし始めた。


「うっ....うっ....勝ちたかったよっ....悔しいよっ.....」


俺は彼女をそっと抱きしめ、優しく髪をなでる。


「....カズキ様に...僕のカッコいい所...見てほしかったのに...負けちゃったよ....」

「そんな事ないよ....ミラーカの戦う姿は眩しいぐらいとても恰好良かったさ....」


俺はそう言うと、ミラーカを抱きしめる腕に少し力を入れた。

その言葉が切っ掛けか、ミラーカは大声で泣きじゃくる....

しばらくすると泣いてスッキリしたのか、ミラーカは俺から離れ


「次は絶対に勝ってみせるよっ!期待しててね!!」


笑顔で俺にそう誓う彼女の顔は、とても眩しく俺の目には映った。




元気になったミラーカを連れて外に出ると、俺達は帰路に着いた。

あまり大勢で押しかけても気を遣わせて迷惑だろうと、お祝いの品はカイエンがまとめて手渡してくれる事となり、カイエンはそのまま帰っていった。

俺達は屋敷に戻ると、いつの間にか戻っていたアリアが出迎えてくれた。

ミラーカから今日の試合の結果を聞き、何喰わぬ顔で


「よく頑張りましたね」


と褒めているアリアの姿を見て、何とも言えない気持ちになる。

その時、俺に少し恨みがましい視線を向けてきていたが、俺は気付かずにスルーする事にした。


俺は両親にお土産を手渡すと、案の定テンション爆上がりの母さんからの抱擁でまた窒息しかけるという場面もあったが、なんとか無事救出されて事なきを得た。

お願いだからもう少し落ちついて欲しい....

無謀な願いだと理解しつつも、そう願わずにはいられない...

色々な事があったが、ミラーカの新たな一面を知る事が出来た今日という日が幕を閉じ、また俺の新たなる日常は幕を開けていくのであった。

~キャラ設定メモ⑪~

本名:フローラ

種族:エルフ族

性別:女

身長・体重:146cm・40kg

年齢:324歳

好きな食べ物:生野菜・果物

嫌いな食べ物:辛い物

先頭スタイル:後衛魔法職(風属性が得意)

容姿:緑の長い髪を後ろで1本に纏めている。瞳の色は青。

性格・その他:ヒロインの1人。口数が少なく大人しい性格。

口数は少ないが、感情が表情に出やすい為、割と百面相していて分かりやすい。

住んでいた里を人間に襲われれ、その際に母親の転移魔法で飛ばされた先でジンに助けられる。

里はジンの友人でもある人物に助けられており、母親も無事。母親はその友人の国で今は働いており、娘を探している最中である。ジンとその友人の報連相不足の為、お互いの事を知らない。

自分の身体の肉の薄さを自覚しており、カズキの気を引く為にチラリズムを利用するなど、割としたたかな一面もある。


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