宝樹祭デー.....いや、もうデート概念すら無いのだが?・シャルミナ編
「おはよう~」
朝起きて、俺は食堂に入りながら朝の挨拶をする。
「「おはようございます」」
リロロとピコさんは相変わらず早起きして食事の準備をしてくれている。
「.....おはよう.....」
「おはようっす」
「うむ、おはようなのじゃ」
フローラとネルが朝に居るのは普通なのだが、何故か今日はシャルミナが俺より早く起きており、俺にそう返事をくれる。
ちなみにミラーカはまだ夢の中だ。
久しぶりにバトルカルタが出来て嬉しかったのか、昨日は終始テンションの高かったミラーカは、夜の相手もそこそこにいつもより早く寝てしまったのだ。
おかげで俺も平和な夜が過ごせてとても助かったのだ。
.....いや、それでもちゃんと相手はしたんだけどね。
「シャルミナが起きてるなんて珍しいな?」
「妾だってたまには早く目が覚める事もあるのじゃ。まぁ、たまたまじゃな、たまたま」
「って言ってるっすけど、本当は今日のカズキ様とのデートが楽しみであんまり寝れなかったみたいっすよ?」
「.....早起きなんじゃなくて.....あんまり寝てない.....らしい.....」
「ち、違うもんっ!た、たまたまだもんっ!本当にたまたま早く目が覚めただけだもんっ!」
俺がシャルミナに尋ねるとシャルミナはたまたまだと言うが、直にネルとフローラかツッコまれて顔を真っ赤にして否定している。
いや、別に楽しみで眠れなくてもいいんじゃないか?
割と聞く話だし.....そこまで恥ずかしがらなくてもいいんじゃない?
俺はそんな事を思うのだが、シャルミナにとっては楽しみで眠れなかったって事は凄く恥ずかしい事なのかもしれない。
確かに幼い見た目がコンプレックスみたいな所もあるからなぁ~.....
その行動が子供っぽくて恥ずかしいのかもしれないな。
「ところで、シャルミナは今日やりたい事とか決めてるのか?」
俺は話題を逸らす為に、シャルミナにそう尋ねてみた。
「本当だもん.....え?コホンッ.....うむ、妾は既に決めてあるのじゃ!」
「へぇ~、それで?何をするつもりなんだ?」
「それはじゃな.....武道大会じゃ!」
「.....ナンテ?」
「じゃ~か~ら~っ、武道大会に行きたいと言っておるのじゃ!」
「あ~、え~っと.....武道って武道の事か?葡萄とかじゃなくて?」
「うむ、戦う方の武道じゃな」
「いや、何で祭りでそんな大会があるのさ?」
バトルカルタも何でっ?って思ったけど、余興としてはありなのか?って何とか納得したけどさ.....
「それはね、元々酔っぱらって喧嘩したりする人も多かったし、なら武道大会みたいな感じにして思いっきり暴れちゃおうぜっ!って事で始めたのさ」
俺が首を傾げていると、シロさんが横からそう言って教えてくれる。
「まぁ.....別にシャルミナが行きたいって言うなら俺は構わないんだが.....どうするんだ?まさか出場とかするのか?それは流石にじゃないか?シャルミナの相手になるような人とか絶対に居ないだろ?」
「別に出場する事が目的ではないんじゃが?」
「うん?どういう事だ?」
シャルミナは何がしたいのだろうか?俺には目的がサッパリ分からない。
「まぁ、その、なんじゃ?最近はこう、人に何かを教えるって事が減ってきておるからの....,そういう場に行けば、向上心溢れる者も多いのではないかと思ったんじゃが.....駄目かの?」
シャルミナは指をモジモジと身体の前で絡ませながら、少し恥ずかしそうにそう言う。
本当に人に何かを教えるのが好きなんだな.....
俺にはその気持ちは理解する事は出来ないが、人の趣味にケチをつけるような小さい男にはなりたくない。なので当然OKなのだが.....
でも、何もわざわざデートの日にしようと思わなくてもいいんじゃね?っと思わなくもないが、シャルミナがそれを望むのならば俺は何も言うまい。
妻のリクエストにしっかりと応えて夫としての役目を全うしようではないかっ!
「シャルミナがそうしたいんだろ?なら全然構わないさ」
「.....本当によいのか?全然デートとはかけ離れた行動じゃと思うんじゃが.....」
「勿論だ。シャルミナがやりたい事をしてくれる方が俺は嬉しいよ」
「カズキ様.....ありがとうなのじゃ!」
うんうん。ってかデートっぽくいないって一応は理解してたのね。
俺はこれまでのデートを振り返ってみる。
リロロとは色々な物を食べ歩きして楽しめたと思う。これはデートでいいだろう。
ネルは、途中で暴走して俺が貪り食われるだけの日となった。デートではないな.....
リリーナは買い物デートって捉え方も出来るが、実際は俺が放置に近かったのでコレも何か違う気がする.....
ミラーカに至っては俺はただの応援してた身内って感じで、確実にデートではない。
そして今回のシャルミナである。
.....全然デートらしい事してなくね?
本当にこれでいいのか?ちゃんと言ってデートした方がいいのでは?
そんな葛藤を振り払うかのように、俺はシャルミナと出かけて行くのであった。
☆☆☆
「アハハハハッ!いいぜっ!その調子でドンドンかかってこいよッ!!」
「カイエン様っ!素敵ですっ!頑張ってくださいっ!!」
姿を見ないと思ったら.....もしかしてずっとここに入り浸ってたのか?
武道大会の行われている場所までやって来た俺だが、1番最初に目映ったのは初日に挨拶をした後、全く姿を見かけなかったカイエン夫婦がそこに居た。
カイエンは嬉しそうに戦い、エンカさんは戦うカイエンの姿にウットリしながら声援を送っている。
.....いや、やや戦闘狂のカイエンだし、ここに居座ってるのに違和感は無いんだけどさ。
よしっ!見なかった事にしよう!
俺はそう決めて、隣のシャルミナに話しかけた。
「それで?とりあえず会場まで来たのはいいんだけどさ、これからどうするんだ?まさかそこら辺の人に適当に声を掛けるって訳じゃないよな?」
「うむ。そこはちゃんと考えておる。まずは負けて悔しがってる者や、落ち込んでいる者を探して声を掛けるのじゃ!」
シャルミナはそう言うと、辺りをキョロキョロと見渡す。
「むっ!?あそこに居る者などどうじゃ?」
シャルミナの視線の先には、ベンチに座りながら俯いている男性の姿があった。
シャルミナはその男性の元まで近づくと、その男性に声をかける。
「そこの者!負けた悔しさをバネにもっと上を目指してみぬか?お主が望むのならば、妾が手を貸してやるのじゃ!」
シャルミナにそう声を掛けられた男性は、ゆっくりと頭を上げてシャルミナを見る。
「ハハッ、お嬢ちゃんが力を貸してくれるのかい?それは頼もしいね。でもね、これは大人の問題だから、お嬢ちゃんには少し早いかな?」
男性はそう言うと立ち上がり、背を向けてどこかへ歩き出す。
「なっ!?待つのじゃ!別に妾は遊びで言うておる訳ではないのじゃ!」
シャルミナがそう叫ぶが、男性は振り返る事なく立ち去ってしまった。
「ぐぬぬっ.....カズキ様、次じゃ!もっとこう、根性のあるやる気に満ち溢れておる者を探すのじゃ!」
シャルミナはそう言うと、鼻息荒く次の者を探し始めた。
その後もシャルミナは、色々な人に声を掛けていくのだが、シャルミナが望むような返事はもらえない。
笑って流す者、馬鹿にしてるのかと怒る者、何も言わずに立ち去る者等、色々な人がいた。
「な、何でじゃ.....何で誰も妾の指導を受けてくれぬのじゃ.....」
シャルミナはズーンっと四つん這いになりながらそう言う。
.....まぁ、シャルミナは見た目はまんま子供だしな.....ゴツイ大人の男が多いこういった場では、まともに相手をしてもらる事の方が少ないのではないだろうか?
結局この後もシャルミナはまともに相手をされる事はなく、その日は落ち込むシャルミナを必死で慰める事で終わるのであった。
.....後はフローラか.....いい加減、まともなデートがしてぇなぁ.....




