宝樹祭デート。いや、ただの応援団だよね?・ミラーカ編
『決まったぁぁぁぁっ!飛び入り参加のミラーカ選手の鮮やかなフレアドライヴが炸裂し、カーマセ選手から見事にストレート勝ちをもぎ取りましたぁぁぁぁッ!!』
そんな実況の人の言葉に、観客は多いに沸き、ミラーカはその声援に応えるように腕を振る。
今日はミラーカとデートの日なのだが、ミラーカに何がしたいか聞いた結果、ユグフォレシアでもバトルカルタが開催されてると聞いて、ミラーカが見学したがったので足を運んだのだ。
最初は大人しく見学していたミラーカだったが、その内段々と疼いてきたのか、飛び入りで出場する事になったのだ。
公式な試合って訳でもなく、お祭りの余興みたいな感じだったので、ミラーカの飛び入り参加は喜んで迎え入れられた。
最早デートって何?って聞きたくなるのだが、ミラーカが楽しそうなので良しとしておく。
デート、これはデートだ。
俺は必至に自分にそう言い聞かす。
まぁ、別にミラーカが活躍している姿を見るのは、俺としても誇らしいし嬉しい。
ただ、今の俺に1つ不満があるのならば.....
『いやぁ~、流石聖地と言われる本場、浮遊大陸のランカー選手なだけはありますね』
『えぇ、彼女は上でも指折りの実力者です。私が過去に1本を許したのは彼女が初めてです』
『な、なんとっ!?このバトルカルタ始まって以来、トップに君臨し続ける生きた伝説とも言われるカズキサマラブ仮面選手から1本を取れるとはっ!!これはもしや、彼女が今1番カズキサマラブ仮面選手に近いと言っても過言ではないのではっ!?』
『えぇ、その通りだと思います。私もウカウカとはしていられませんね』
『なるほど~。では観客の皆様!改めてご紹介しましょう!本日は特別解説として、あのバトルカルタの本場、浮遊大陸でトップに君臨し続ける生きた伝説、カズキサマラブ仮面選手にお越しいただきました!どうぞよろしくお願いします』
『こちらこそよろしくお願いします』
.....ねぇ?何やってんの?
『さて、早速ですがカズキサマラブ仮面選手から見て、我がユグフォレシアの選手はどのように映ったのでしょうか?』
『そうですね.....やはりまだまだバトルカルタを始めて歴史が浅いせいか、やや実力不足に感じます。ですが、素質を持った選手も多いので、必ず近い内に上の選手をも脅かす選手も出てくるでしょう。このまま切磋琢磨して良い選手が現れる事を確信しております』
『なるほど!カズキサマラブ仮面選手からそのような言葉を頂いて、皆必死で上を目指してくれる事でしょう!ところで、カズキサマラブ仮面選手には一押しの選手とかはいるのでしょうか?』
『勿論です』
『その選手のお名前はっ?教えて頂いてもいいでしょうか?』
『カズキ様です』
『カズキ様?もしや、そのお方はカズキサマラブ仮面選手のお名前に使われているお方なのでしょうか?一体どんな選手なのでしょうか?』
おいっ!そこの変態っ!人を勝手に選手にするんじゃないっ!!
俺はバトルカルタなんてやった事ないだろうがっ!!
『カズキ様は、今試合をしていたミラーカ選手の旦那様でもあり、そしてこのバトルカルタの産みの親でもあるジン様と、この世界の女神でも在らせられるミリア様、ミリアーナ様のご子息でもあります』
『な、なんとっ!?これは思わぬ大物が出てきました!そしてミラーカ選手が結婚している事を知って、観客からは悲鳴と怨嗟の声が上がってますね。ミラーカ選手は初出場ながら、その美貌で既に多くの方がファンになってたみたいですね!まぁ、それも当然でしょう!私も妻が居なければ、きっとミラーカ選手の虜になっていたと思います!』
うんうん、ミラーカは美人だからな。この実況の人、分かってるじゃないか。
観客の皆には悪いが、君達にミラーカはやらん!
「ううっ、褒められるのは嬉しいけど、ちょっと恥ずかしいよ.....」
試合を終え、戻ってきたミラーカは恥ずかしそうに頬を染めながらそう言う。
「お疲れ、ミラーカ。カッコよかったぞ?」
「本当っ!?えへへ、頑張って良かったなっ!」
「あぁ、本当だよ。ただ、ミラーカと相手選手との実力が離れ過ぎてて、少し相手が可哀想だっけどな」
「カズキ様、それは違うよっ?どんな選手にも隠し玉や思いもよらない技があるかも知れないから油断なんて出来ないよっ!」
「スマン.....確かにミラーカの言う通りだな」
俺はアホか!どんな選手相手でも油断して良い訳ないじゃないかっ!
どんな競技でも相手は必至で喰らい付いてくる。
大金星とか、大番狂わせとかが起こる事は珍しい事ではない。
しかし、それは選手たちが諦めずに必死で戦い抜くから起こる事だ。
それを俺は.....少し見ただけで実力差が離れてるから余裕だろうなんて.....戦ってる選手になんて失礼な事を.....
くっ、さっきの発言をした俺をぶん殴りたい気分だ。
俺はミラーカの言葉に深く反省をする。
「今回は、相手のそういった隠し玉を封じるように心がけて動いてみたんだっ。上手くいって良かったよっ!それに、カズキ様やあの人が見ている前でカッコ悪い試合はみせられないしねっ!」
「いや、ミラーカはいつもカッコいいぞ?」
「えへへ、ありがとうっ!この前、アリア様に教えてもらった技を温存出来たのは大きいねっ!今チャンピオンに見せちゃうと対策されちゃうからねっ!出来れば今度戦うときにいきなり見せて驚かせたいなっ!」
.....いや、既に知ってるんじゃないかな?
ってかその技教えたの、そのチャンピオン本人だし.....
俺とミラーカがそんな会話をしている中、試合はドンドンと進められているのだが
『っと言う訳でカズキ様はとても素晴らしいのです』
『な、なるほど、と、所で、今行われている試合に関してはどうでしょうか?』
『あぁ.....カッコよくて可愛らしくて、まさに至高の存在.....完璧とは、まさにカズキ様の為にあるような言葉なのでしょう。それとカズキ様はとても照れ屋な方でもあります。私がいつも甘やかそうとしても照れて素直になれない所も可愛いんですよ?それに――』
『あ、あの~?試合.....』
違うわっ!!普通にアリアに引いてるんだよっ!!
ってか、何で試合の解説をせずに俺の解説を延々としてるんだよっ!!
ちゃんと試合の解説しろよっ!!
見ろっ!実況の人も引いちゃってるじゃないかっ!!
俺が解説席で何やら妄想を垂れ流しているアリアに心の中でツッコみを入れてると、係員の方がミラーカを呼びに来た。
「ミラーカ選手、そろそろ次の試合の準備をお願いします」
「分かりましたっ!カズキ様、僕はそろそろ行ってくるねっ!」
「分かった、次の試合も楽しみにしとくよ。でも.....怪我や無茶はあんまりしないでくれよ?」
「うんっ!大丈夫だよっ!そこで僕の活躍を見ててねっ!」
ミラーカはそう言うと、次の試合に向けて元気よく控室の方へと向かって行った。
こうしてこの日はミラーカの活躍を見ているだけの日となったのだが、ミラーカ本人はとても楽しんで嬉しそうだったので、コレはコレでデートの形としてありなのか?っと少し思ってしまうのだった。
ちなみにミラーカは見事にその日の大会で優勝し、輝くような笑顔を俺に見せてくれたのであった。




