70 空の旅
最後は魔王。ここに収められている魔王が、魔王の中でも最強と言われる魔王で、もし復活の場合はいの一番に駆けつけられるようにとここに村を作ったようだ。その魔王は魔術士タイプ、そのスキルの破壊力は超大。人間でも魔術タイプのスキルは威力が高め。人間の魔術師をそのまま超強力にした者、それがここの魔王だという。
「あとはこちらに任せてゆっくりしていてくれ。客人に働いてもらうわけにはいかないしな。十分迷惑はかけてしまったが」
苦笑いをして頭をかくワイサ。話が終わり、俺がしばらく過ごす建物へ。
「休暇だとでも思ってここで過ごしてくれ。自然がいっぱいで良い場所だぞ、ここは」
簡単に村を紹介してもらう。それから魚を釣ったり、子供と遊んだりして時を過ごす。食べ物も酒もうまい。ようやく客として扱ってもらえた、ちょっぴり涙が。
あれから10日。事態は簡単に収束した。
ショウロウはおとなしく王から身を引いた。家臣たちも現王はおかしいと積極的にこちらに協力していたようだった。次の王は血縁の貴族がなる予定。
シェムとその部下たちは数々の悪事を暴かれ罪人に。この村にも彼の被害を受けた人が結構居たようだ。神器使いではあるが、今後彼は牢獄で過ごしてもらうとのこと。もう彼の活躍の機会はなさそうだな。まあ無理に働かせて、逃げるために背中を切りつけられた、なんてことになったら目も当てられないしね。
「終わった。すまなかったな、手間を取らせて」
とんだ各国訪問になってしまったな。タラテメンでもろくなことがなかった。
おっと、そうだ。この後は修業をすることになるから良いところがないか聞いておこうかな。
「狩場か。この国なら「闘乱の森林」「天上の大地」かな。どちらも有名な狩場だ。情報屋のほうが詳しいと思う」
2日後、ニックヘッグに送ってもらい開放された。
リクに戻りミアたちを探す。街の様子は前とそんなに変わっていない。色々あったが街が荒らされなかったのは良かったな。
「あ、リクだ。探したよ」
ルモナに声をかけられる。すみません、今回も行方不明に。事情を説明、そうかそうかと納得、彼女たちも慣れたものだった。
彼女らと合流後、話し合って狩場探しをすることに。また皆と狩場でステ上げだ。
情報屋に聞いたところワイサから聞いた2箇所、更に詳しく聞き、天上の大地が今の俺達とあいそうなのがわかる。
それからタラテメンの狩場を聞く。2つほど強力な魔物が住む狩場があるようだった。
「どの狩場にしようか。場所はどこでも、海を渡って元の大陸に戻るのもありだ」
「話を総合すると天上の大地が良さそうだよね。魔物の数、質的に」
こうして話し合い、行き先は天上の大地に決まる。
長期間そこで滞在できるよう念入りに準備をする。5日ほど準備をし出発。その場所は観光地にもなっているようで、行くまでは非常に楽だった。
馬車で移動中、まだ距離はあるが遠くからでも天上の大地が見えてきた。見た目は断崖絶壁の山。いや山とはちょっと違うかな、三角形ではなく円柱のような大地が雲を貫き、その先を見ることは出来ない。
村の到着。一泊してから観光ガイド兼、情報屋を雇い現地へ。
「聞いてはいたけど凄いところね」
天上の大地。大地が異常に隆起しており、周りは崖。その底は目視では確認できないほど深い。
「本当に行くんだな?」
「ああ」
現地の観光ガイドの人が最終確認をしてきた。
ここへの侵入の仕方は豪快の一言。3日に1度長時間吹き荒れる上昇気流に乗って上まで登るという方法だ。聞いたときは冗談かと思ったくらいだ。
逆に帰りは簡単、上から激流ではあるが水が流れているのでそれに船を作るなり泳ぐなりでその水流に乗り降りるだけ。
「風が出てきたな」
凄まじい風が下から上に向かって吹いている。なるほど、これなら人間とその荷物くらいなら簡単に上に吹き飛ばしてしまうな。
「行こうか」
そこから飛び降りる。そして風が俺の体を包み上へと押し上げていった。何だか不思議な気分だ。笑い声が聞こえる、ミアたちは空の旅を楽しんでいるようだ。
イリスはこなれたものだった。そうだな、いつも空を飛んでいるからな。
大地の頂上が見えてきた。そこを飛び越える。かなり広い森と平原があるのがわかる。
そして降り方。最後は気合で。かなり鍛えてないとここへたどりつくことは困難とされる。その分美味しい狩場というのが情報屋からの評価だった。一般人では着陸時に即死だな。
4つのクレーターを形成し、天上の大地に到着。さあ、狩るぞ。




