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68 処刑執行

 脱走するか。3回目だけども。

 すぐに脱走すると使いの人の入れ知恵と思われる可能性があるためもう少し居て、執行される前ギリギリで逃げることにした。


 それから2日後、この国の偉い人っぽい人が俺の前に。


「3日後、貴様の処刑が決まった。しかし喜ぶがよい。最後くらいは戦士として死なせてやろう。我が国最強の戦士がお前を処刑してくれるだろう」


 戦って死ね、か。まあ俺には関係のない話だ、もうすぐ脱走するからな。いや、まてよ? そのときに逃げるのが1番良いのでは? 

 それなら、使いの人に被害が及ぶこともないだろう。決まりだな。


 彼の言葉に頷く。こうしてこの国最強の戦士に俺の処刑が委ねられることになった。

 処刑の日、当日。大きな闘技場へ連れてこられた。そして闘技場の真ん中に立たされる。


「かの大陸で最強との話ですが、人として超えてはいけない一線を超えてしまった罪人です。こんな者が我が大陸へ。皆さんもかなりの被害を受けたでしょう。しかし安心してください、もう大丈夫。神器使いにして、我が国最強の男、究極至極のシェムが鉄槌を下してくれます。彼の魔法「金属魔法」の妙技、ぜひご覧ください」


 司会の人が熱弁を振るう。何もしていないのに散々な言われようだ。泣きたくなってきた。観客席から俺も私もと偽物に悪いことされたと言う声が聞こえる。俺の偽物さんはかなり悪さをしたようだな。


 神器使いか、油断できないな。相手は変わった魔法を使うようだ。金属魔法、聞いたことがない。

 それにしても豪華な通り名がついているな。それほど強いのだろうか。今回ばかりは負けたら死んでしまうので慎重に。危険を感じたらすぐに逃げないとな。


 シェムがこちらへ。金属魔法という名の通り、魔術師のようだ。神器は杖かな? 7色に輝いている。伝説の剣と同じで知力がちょっと上がるようなタイプかな。聞いても教えてくれそうにないけど。

 防具も高価で頑丈そうなローブだ。それに地面が金属でできている。魔法の名前からしてこの地面にある金属を使うのだろうか。


 一方俺は、麻のシャツにズボン、杖は木の棒。更には足枷がついており、鎖で大きな金属球に繋がっていた。全部黒鋼製だな。ある意味至れり尽くせりだ。いつでも破壊できるから問題はないけど。


(どんなに強かろうがローブがそこまでの安物なら防御が効かないだろう。麻製なぞすぐにちぎれ飛ぶ。そして黒鋼製の金属球に繋がれているから避けることは出来ない。しぶといようであれば地下の弓兵が奴に矢の雨を。俺の計画は完璧だ。こうして奴に勝ち、世界最強となるのだ!)

「頼むぞシェムよ。大罪人を裁くのだ」


 ここの国の王だろうか。王座から立ち上がってシェムに激励を。王に向かって片膝をつくシェム。


「開始!」


 試合が始まる。同時にシェムがスキルを発動。地面の金属が球状に形を変え俺を襲う。これは鉄かな? なら避けるまでもないか。

 金属の球が俺に当たり金属音が。ふむ、このくらいではダメージはないな。ぶつかってくる金属球を立ったまま弾き返した。


(な、なんだ!? 目の錯覚か。奴に当たって弾かれたように見えた。魔術師がそんなに頑丈なはずがない。くそ、これならどうだ!)


 彼がスキルを。今度は鉄球が増えた。それから黒鋼も混じっているな。まあそれもダメージは無いかな。

 多数の金属球が俺に向かって飛んできた。更に砂煙が起こったかと思うと、地下から多数の弓兵が現れた。そして矢の雨が俺に注がれる。


 が効かない。ステータスが高いからね、ほぼ裸のこの状態でもダメージはない。ああでも、股間と仮面だけは守らないと。服は破れてしまうからね。

 それにしても弱い。これで神器使いなのか? 弓兵を含めたとしてもミアたちのほうがずっと強い。もしかしてまた偽物じゃないだろうな。

 砂煙が落ち着く前に弓兵たちはまた地下へ。


(終わったか。な、なんだ!? 全く効いていないだと!?)


 なんとか仮面とパンツだけは守った。さてここからどうするか。アルベル王の応援はないだろう。1人でなんとかするしかないな。ミアたちが動かないように願うくらいか。そこは日頃から最悪サイゴは捨てるといっているから大丈夫だとは思うけど。

 そうだな、適当に暴れてどさくさに紛れ逃げ出すとしよう。

 俺は金属球に近づいた。


「なんだ? まさか鎖をちぎるのか!?」


 球に思いっきり抱きつく。金属球が水風船のように破裂した。


「ひっ、ば、化け物……」


 シェムが腰を抜かし這いずるように逃げ始めた。ちょっとやりすぎたかな。

 観客席から数体の影がこちらに飛び込んできた。むむ、増援か?

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