67 ポーション
「どうだ、捕まえたか?」
「ハッ! 特に暴れもせず捕らえることが出来ました!」
「ご苦労、下がっていいぞ」
「ハッ! 失礼します」
「どうやらうまくいったようですね」
「気に入らないアルベルのやつの犬をうまく捕まえたようだ。予定通りだな」
「悪人サイゴを作って悪さをさせ、その罪を本物に罪をかぶせる。すでに偽物は処分済みだから証拠は残っていない」
「くっくっく、俺のセリアを奪った罪、こんなものではないぞ、アルベルよ。これからもっと苛烈になっっていくのだ!」
俺は城にある牢屋に入れられることに。しかも一番奥のようだった。厳重だな。それにしても基本仮面で良かった。素顔だと色々面倒なことになっていただろうな。
は~、しばらくはおとなしくしているしかないか。まあ悪い事してないから、すぐに開放されるだろう。
しかしここにはなにもない。暇だな。そうだ、アイテムでも整頓しておくか。
テント99個、毒消し99個、ポーション87個。
ポーション87個!? そうか先程冒険者に使ったな。王との会見もそんなに時間がかかるわけではないからと買うのは後にしたんだっけ。
いやー、まさか牢屋に入れられて買いに行けなくなるとは思わなかったけど。
そう、牢屋だ。買いにはいけない。これはもう諦めて寝るしかないな。
は~、87個か。
一眠りしようと横になる。そんなに大したことではないと考えていたのですんなり眠ることが出来た。
しばらく寝て目が覚めた。目をこすりながら身体を起こす。どのくらい寝たのだろうか。ここは地下の牢屋、明かりはろうそくだけ、そのため時間がいまいちわからなかった。
と、多数の兵士たちが俺の牢の前で立っていたことに気がつく。そして牢の扉が開いている事に気がついた。
なるほどなるほど、これはあれだな、悪いことをしていない俺を逃がそうとしてくれてるってやつだな。
しかし様子がおかしい。扉がひしゃげている。無理矢理引き剥がしたように。そうか、そこまでしてもか。鍵が見つからなかったから無理矢理。正義の兵士さんだな。
おや? ちょっと怪我をしているじゃないか。はっは、扉を開けたときに無理をしたのかな。ここは87個のポーションお出番だ。99個でないのなら87から少し使っても同じさ!
アイテム袋に手を突っ込む。
「ポーション99個」
あれ? おかしいな。もう一度確認したが99個だった。
これは。牢屋に居ることは事実。となると寝る前に確認した数87が間違えていた? 寝ぼけていた、もしくはショックで数を間違えた。これだな!
俺が99個にしたくて、無意識のうちに牢屋の扉を破壊し、ここから抜け出してポーションを買いに行ったなんてあるわけないよな! 俺が犯人じゃないハズだ!
「サ、サイゴ! 牢を抜け出して貴様は一体どこへいってきたんだ!?」
犯人は俺だった!
お、落ち着け! とりあえず怪我人にポーションを渡して良い人のふりをするんだ! そしてそのまま何事もなかったように背を向けて寝てしまえ!
「ほら、ポーションだ。怪我しているだろ」
ポーションを怪我している兵士に3つ投げて渡す。兵士たちは顔を見合わせ驚く。いいぞ、予定通りだ。
「ま、まあ大人しくしていれば。そうだな拘束具を」
俺は彼らの言いなりに。拘束具をつけそのまま横になり眠る。ふふ、ポーション3つでごまかせた。安いものだ。ん? ポーション3つ? 現在手持ち96?
ここで俺の意識は途切れた。
次に目を覚ました時、先程と同じ様に牢の前には兵士が居るが、怯えきった様子でそこに立っていた。
そちらに顔を向けえると軽く悲鳴を上げ、手を震わせながら武器を持ち、こちらに向ける。
「き、貴様! 一体何のつもりだ!」
(拘束具、鉄製の手枷と足枷を軽く引きちぎって外へ行くなんて……)
やってしまった。まさか繰り返すことになるとは。
それから10日ほどはおとなしくしていた。扉は開きっぱなし、食事以外は誰も近づいてこなかった。何だか悪いことをした気分になる。
と、人の足音が。
「サ、サイゴ、スクア国からの使いが来ているぞ」
「どうもサイゴ様」
彼からの情報ではこの国は5日後に俺の死刑を決めてしまったそうだ。アルベル王にはそろそろ情報が伝わるくらいとの話。それはそうだ、距離があるからな。10日で届くならかなり速いくらいだ。空路等があるのかな。
そんな状態なのでアルベル王の力を使えない、そのため逃げるしかないという使いの人。そうかー、それしかないか。出来るだけトラブルを起こさず解決したかったがな、仕方ない。




