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66 神器使い

 弱い、あまりにも弱い。おかしい、フリか? 何かを隠しているのか。森の中に気配がある。それが本命か?


「ヒ、ヒィ! ライズ様が子供扱いだって!? に、逃げ」


 男たちが逃げ出す。捕まえるため動こうとしたところで森から数人飛び出し、男たちを制圧、あっという間にライズ以外を倒してしまった。

 その身のこなしからして只者ではないことがわかる。


 そして1人、巨躯な男が。俺の身長の1.5倍はあるだろうか、全身巨大な筋肉に覆われており奇妙な服を着ている。レオタードのような服を。よく見たら全員そうだった。しかも全員男です。


「強いのね、あなた達。悪いとは思ったけどちょっと様子見させてもらったわ」

「あなたは?」

「ピトロカよ。こう見えて神器使いなの」


 王様の言葉を思い出す。そうか、確かに個性的だね。


「リク、これを」


 イリスは先ほど弾き飛ばした剣を持ってきた。叩いた部分が変形している。やっちまったか、と思ったがいくらなんでも柔らかすぎる。イリスも本気を出してはいなかったし。


「うーん、やっぱり。怪しいと思っていたけれど、ライズちゃんこれ、偽物よね?」

「むぐっ」


 そうか、偽物か。それならあの弱さは説明がつく。ピトロカは困った顔をして語りだす。本来は彼を説得して立派な神器使いにする予定だったとのこと。どうやら王様からの要請だったようだ。


 そして神器の偽物を持ち出すのは重罪にあたる。一応試し切りなどで強さを示してはいるが、それが全て仕組まれていたものである可能性が出てきたようだ。彼を猛烈に押す人間が多数いたそう。どうやら捕まる人間はまだまだ増えそうだな。


「どうするライズちゃん。このままでは死罪は免れないわね。だけど私達の仲間になればなんとかしてあげるわ。ただ、新しい世界に行くことになるけれども」


 ライズは力なくうなずく。死ぬよりはといったところか。

 新しい世界か、とても危険な香りがする。ピトロカ以外の男も彼と似たような風貌、雰囲気だ。


「お騒がせしたわね、ご協力ありがとう。うふ、リクって言ったっけ。今度また遊びましょ」


 背中に流れる冷たい汗。俺の身体が危険を知らせる。彼らは悪党どもを持ち上げ飛び去っていった。

 俺は大量に汗をかき、その場で膝をつく。


「どうしたリク、お前ほどの男が。ピトロカって男はそこまで凄いやつなのか」


 イリスが心配そうに俺の顔を覗き込む。

 正直魔王より怖かった。


 たくさんある鍛冶屋を見学しに鍛冶区画へ。

 他の街、国よりも数があり、規模も大きそうだった。亜人たちもたくさんいる。一見普通の人だが凄まじい力、巨人族らしき人たちもいた。

 見たこともない形の建物もあった。どうやら鍛冶に特化した作りになっているようだった。


 次の国へ。セサミー国の王都、ニックホッグへ向かう。俺たちは問題なく国境を超えセサミー国へと入った。

 途中寄った街で魔術士たちを多数見かけた。ここセサミー国の始祖は強力な魔術士だったらしく、魔術士には非常に暮らしやすい国だという話を聞く。


 こうして旅を続け、王都ニックホッグにはいる寸前くらいのところで、怪我をした冒険者達を見かけた。馬車を止め手持ちのポーションを冒険者達に分け与える。俺以外の客もポーションを与えていたようだ。


 結構な数のポーションを使用。手持ちだけでは足りないため無限アイテム袋からポーションを取り出しけが人たちにわけ与えた。「ありがとう」と礼を言う冒険者。


 王都の衛兵さんたちがこちらへ。後は彼らに任せた。色々あったが王都ニックホッグに到着。やはり魔術士が多いな。魔術士系の亜人も多数いる。「サイゴ!? くーー!」と、どこからか俺の名前を呼ぶ人が。はっは、チャンピオンファイト優勝しちゃってるから有名になっているのかな!


 いつものようにサイゴに変装し城へ向かう。「王に会いたくここへ来た」と門の前の兵士に話しかける。同時に勲章も見せた。

 

 すると慌てて城の中に入っていった。流石に慌て過ぎだろう。んまあ有名人を前に緊張して行動がちょっとおかしくなるってことあるよね!

 城の中から多数の兵士が。そこまでして俺を歓迎しなくても。


「サイゴ! 数々の悪逆非道、許すわけにはいかない。おとなしく捕まるがよい!」

「えぇー!?」


 どうやら俺は悪人だったらしい。いやいや、何かの間違いだろう。そういえば途中聞いた声も賛美の声じゃなく怒りちらした感じではあったな。


 んー、どうする。暴れて逃げるのは簡単だが事態をややこしくする可能性が高いか。ここはおとなしく捕まるとしよう。

 もしもの場合はアルベル王に助けてもらおうか。最悪の場合は自力脱出するけど。

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