62 炎の宿命、砕き割る者
リクに戻り、ミアたちと合流。これからニドウに行くことを伝えた。皆一緒に行くとのこと。
「そこなら途中私の実家近くを通るわね。日程的に余裕もあるようだし寄ってく?」
皆賛成、寄っていくことに。
1泊してからセブンエデンを出発。ここからニドウの王都まではかなりの距離がある。長旅になりそうだ。
馬車に揺られ、途中観光もしつつ、ミアが住んでいた村に到着。奥の方に火山が見える。なかなかすごいところに住んでいるな。
「ここよ。久しぶりだなー」
一軒の家に入っていくミア。俺たちは彼女の後をついていく。
家には男性が。ミアを見るなり持っていた道具袋をその場に落とし、独り言をつぶやく。
「ミア。……そうか、ついにこの日が来てしまったか」
どうやらミアの父親らしいが、ミアが帰ってくるも、挨拶もせずにその言葉だけを残してどこかへ立ち去ってしまった。
奥から母親らしき人が出てきて、家の中へ。その際ミアが母親に話しかけるが「今は何も言えない」の一点張りで会話ができない。一体何が起こっているんだ。ゴメンネと俺達に謝るミア。彼女も困惑している様子だった。
しばらくするとこの村の長老らしき人がこの家に。
「ミアよ。お前には定められた宿命がある。まずそれを受け入れてもらわねばな。お前の家族には伝えてあったが、ミアには初めて言うことになるな。お前は神器にならねばならぬ」
戦闘に特化した不死鳥人族の者が生まれた場合、試練を攻略できるだけの力をつけさせ、その者を神器にせよ、とこの村には隠れたしきたりがあったとのこと。元々ヒーラー向きの種族と言っていたな。そうか、「彼女だけ」戦闘に特化した者、ミアが神器になると。
この運命からは逃れられない。試練を超え神器となるのだ、神器は人類の希望。これなくしては魔王、魔神に対抗できない、と語る長老。
ミアが神器となると「人語を話す」神器となるらしい。これは特殊な神器で、特に重宝されるとか。普通の神器は話すことはない。人から生まれるわけでもない。人形態があるがそれは仮初の姿で、神器となると肉体を捨てなくてはいけないようだ。ガトラといた神器も話をしていたな。そして人形のときもあった。
泣き崩れるミアの親。世界を守るためとは言え、自分の娘がそんな事になっては。
ミアは真面目だ。このままでは神器の話を受け入れてしまうだろう。
そして俺は。
「選択はミアに任せるよ。しかし、俺はミアが神器になる必要はないと思っている」
「馬鹿な、なんて無責任なことを言っとるんだ貴様は! 1人や2人、村1つの話ではないのだ! 全世界が必要としているものなんだ!」
大きな声で怒鳴りつける長老さん。彼の怒りも当然だな。そこはわかる。だがミアが神器になるのを黙って見ている気はさらさらない。
そうだな、ここは俺が悪役となるところか。
「これは何だと思う?」
道具袋から柄だけになった武器を取り出す。長老は不思議そうな顔をするが、少しして気がついたようだ。
「そうだ、これは伝説の剣。壊しちゃった」
「な、なんちゅーことを!! グペペ」
泡を吹き倒れる長老。そうだよね、人類の希望が柄だけになっているんだからね。それが当然の反応だろう。
長老以外もすごい反応だ。そうだった、誰にも言ってないんだった。一応伝説の剣より強い武器持っているからとフォローをいれた。
あれから色々考え、試した所、神器より俺が持ち込んだ武器のほうが強い可能性が出てきた。これだけ強くなったけどまだ装備できない。伝説の剣は装備できるのに。まだ装備できないから強いのではという予想ではあるけれど。
まあ、最強の剣! 最強の鎧! との触れ込みの武器防具より強い物があるってのはよくある話だ。そのへんのダンジョンからもっと強い武器がとか、雑魚からもっと強い防具がとか。
「どうする?」
「私は生きたい。神器にはならない」
決まりだな。と、ここには長居できないな。不本意ではあれ長老を失神KOしてしまったしな。ミアの親に、もっと良いものを持っていると長老に伝えてくれと話した。彼らは娘をよろしくおねがいしますと俺たちにお辞儀を。
そのまま逃げるように村から出た。暗くなってきたため途中小さな宿場町に寄り、宿を取るため歩いて探しているとミアが俺に飛びついてきた。
「ありがとう、リク」
彼女の頭を軽く撫で返す。
「だけどもう少し常識ってものを……」
「仕方ないな、起きてしまったことは」
伝説の剣を取り出し見せびらかす。皆珍妙な顔をしていたが、その剣を見て笑い出す。
「そうね、リクらしくていいかも」




