59 優勝
「ついに決勝! サイゴ対ガトラ、この戦いで大陸1が決まります!」
ガトラは俺の前に立つ。そしてその隣にもう1人。顔を上に向け、剣が口から刺さっている人が。街の乱闘騒ぎのときに見たな。
「彼は神器です。デイザー、武器化してください」
「あいよ」
伝説の剣と同じ神器、彼がその神器? どういうことだ。
デイザーの身体に変化が起きる。淡く光ったかと思うと徐々に小さくなっていった。そして最終的に、鞘と剣がそこに残る。
ガトラがそれを身につける。鞘から剣を抜き出す。見た目は剣というよりも鞭に近く、鞭のように柔らかく流動し、おまけに先端が8本に分かれていた。
「この状態でも話せるぜい」
デイザーがこちらに話しかけてきた。変わった神器だな。
神器か、どうせなら俺も使ってみよう。伝説の剣を袋から取り出す。そして装備。前も感じたが何か違和感を感じた。携帯ステ確認機を取り出し自分のステを確認。力が少し上がっていた。これが伝説の剣の能力だろうか。
「一体どこから? そんなことよりも変わった剣ですね。剣というよりも棍棒に近いか」
変わったということなら似たりよったりではあるが、そこはあえて突っ込まない。
馬車が見えなくなった。戦闘開始。
8本の尾に、実質8本の剣。この攻撃は凄まじいものがあるが、凌いではいる。まだ余裕はあるな、ステ差はまだ結構あるようだ。
「そんな大きな棍棒でこの攻撃を防げるなんて、アナタは一体」
とは言えまだ勝ちではない。彼女のスキルを知らないからだ。前回と同じ様に力を出される前に倒すか? と考えていると彼女がスキルを使った。
「セルインクリィス」
スキルを使うと彼女は分裂を始めた。そして最終的には8人に。この数でこの武器で。手数が多すぎる。危険と判断し逃げながら戦闘を。戦闘力は落ちていないようだ。つまり8人のガトラが俺に襲いかかってきている。
これにはたまらず、俺も手当り次第スキルを放つ。ショックスタン、ムーブスロー、ポイズンブラッド、ミストアイを使い4人を叩き気絶させ、他3人も叩き伏せ、残りは1人とした。
倒れたガトラは皆消滅。ダメージは全くないように見える。
「メタルボディ、ギガンティックコンディション、スペリオルスピード」
一気にスキルを発動。ガトラの身体が金属化した。もしかしたらこれでラプノマを倒したのかな。そして巨大化。その状態でこちらに接近。速い。スペリオルスピードってのが速度アップかな。
8人のときよりも攻撃が激しい。それでも攻撃を全て受けきった。
(強すぎる……!)
8本剣の攻撃と8本の尾をかわし、伝説の剣をガトラに叩きつけた。
激しい金属音とともに弾けるように後方に飛んでいくガトラ。小さくなりながら身につけていた金属が少しづつ剥がれていく。
地面に身体を打ちつけ、彼女は動かなくなった。
馬車がこちらへ、司会の人が馬車から降りてきて俺の腕を掴み上に上げた。
「勝者サイゴ! チャンピオンファイト優勝者は「仮面の英雄」サイゴだーー!」
勝負がつき優勝した俺は特別な馬車に乗ることに。ブロック優勝したときよりも更に派手にデコレーションされた馬車が。
「これに乗って闘技場まで願いします」
係員の人と一緒に馬車に乗る。アピールのために立っていてくれと言われた。
「サイゴー!」
「キャー!」
「さあ、手を降って! 観客にこたえて!」
なかなかに忙しい。
馬車が街の中に入り、もう少しで闘技場というところで異変が起こる。
闘技場方面から悲鳴や叫び声が聞こえだした。
「どうしたんだ?」
遠くに見える闘技場から1人空を飛んでこちらに向かってくる人物が。コイツがなにか知っているのか、犯人なのか。
俺の近くまで来るとその人物は俺に向かって何かを飛ばしてきた。矢だ。それを掴み止めると矢に紙がくくりつけてあるのがわかった。矢文か。その紙を広げ、確認する。
「草原闘技場で待つ」
とだけ書かれていた。そちらへ行こうかと迷ったがもう闘技場が近い、とりあえず状況を把握しておきたかったため闘技場へ行くことに。
闘技場では凄惨な状況が。観客たち全員がその場で倒れていた。
そしてサマトリ王子も。彼はどうやら意識があるようだった。何が起きたか聞く。
「イーダ様が、乱心を……」
「イーダとは一体?」
「サイゴも見ているはず。草原闘技場で我々と一緒に試合を見ていた、見た目が女の子のあの人だ」
「彼女がこんな力を持って?」
「あの方は魔王なんだ。魔精王イーダ、それが彼女の正体だ」




