57 残り4人
お互いダメージはないようだ。金属を徐々に大きくしていったが、なかなか勝負は決まらなかった。
「おーい、サイゴ。手伝ってくれ」
シードから仕事のお誘いが。面白そうだ、手を貸すことにした。
スイカくらいの金属球を手に持ち、チナンメン向かって投げた。球は轟音を発しながらチナンメンに衝突。盾でうまく防いだが、チナンメンの身体は大きく吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。そこそこのダメージが入ったかな。それでもすぐに立ち上がるチナンメン。金属球は3分の1ほど凹んでいた。
同じくらいの力でガトラに向かって金属球を投げる。
先程までほぼ動きを見せなかったガトラが、活発に動き出す。素早くローブを脱ぎ、後ろから大量の尻尾を伸ばし球をガードした。
「参った。俺の負けだ」
まだ動けそうだったが早めに見切って終わりにしたのかな。たしかに今のをノーダメージで防ぐとなると勝負はついたように感じる。
それにしてもガトラ。聞いた通り尻尾が8本。結局それ以上のことはわからなかった。
んー、みんな謎だらけじゃないの。
全試合が終わり、草原闘技場宿泊施設前に派手な馬車が何台か並んでいた。
「A~Dの各勝者様、この馬車に乗って闘技場まで行っていただきます」
えー、これに乗って闘技場まで?
恥ずかしいな。仮面があってよかった。
「うおー! サイゴー!」
「コクウ様ー!」
自分の名前を呼んだ人の方に軽く向き手をふる。運営の国としてはこうやって行事を盛り上げるのも当然の行為であろう。儲けに直結するしね。協力してやるか。
悪い気はしないしな。
馬車はそのまま闘技場の中へ入っていく。
「皆さん! ここまで勝ち上がった4人の戦士たちを盛大に迎えてください!」
盛り上がる会場。ふふ、こんなときのために耳栓を買っておいたのだよ。両耳に耳栓を突っ込んだ。
ブロック代表を乗せた馬車4台が闘技場中心部に整列。
「それでは決戦に残った選手を紹介します! Aブロック代表「仮面の英雄」サイゴ選手。現在優勝最有力候補と言っても差し支えないでしょう! 最弱のはずのデバッファーだが魔法が何故か効く。デバッファーの星。そして強い! 国も救ったぞ! なんでもありだ!」
盛りに盛っているな。そう言えば自分がデバッファーと宣告されても少し頑張るデバッファーたちが増えたとは聞いたな。すぐに諦めて里に戻ったりするらしいけど。そうなんだよね、結局ステータス高いから有効なだけだから実際は弱いんだよね。こればかりはどうしようもない。
「続きましてBブロック代表瞬殺のコクウ! なんとここまで対戦者全てを瞬殺、あのシードでさえも! そしてその甘いマスクは婦女子たちに大人気だー!」
「キャー! コクウ様!」
「Cブロック代表暴れ戦棍ラプノマ! 仮面の戦士はサイゴだけじゃない! 雷神カイネをメイス1本で倒した超実力者だ! しかもまだ底は見えない今大会屈指のダークホース!」
次の対戦相手コクウ。さて、どう戦うか。
Cブロックのラプノマ。結局ここまで正体不明だったな。
「Dブロック代表八尾竜人族のガトラ! かわいい女の子にしか見えないがその正体は8本の尻尾を持つ竜人! 優勝候補チナンメンを破ってここまで来た! 彼女も実力をまだまだ見せていないぞ、ダークホース! 以上の4人です!」
俺も含めて全員実力がはっきりしていないな。
サマトリ王子が俺たちに賞賛の言葉を。それから組み合わせ発表。サイゴ対コクウ。ラプノマ対ガトラ。いずれも草原闘技場で。3日後に。
時間があるからリクに戻る。ミアたちと合流する。
明日サマトリ王子から晩餐会に招待されている、リクはどうする? とルモナから夕食のお誘いが。
「まだ大会途中だから無理強いはしないようにって兄さんから言われた。私達はみんな行くけど。もちろん人目を忍んでだから大々的にはやらないけど」
時間的に余裕があるから彼女に「行く」と伝えた。
そして翌日、迎えの馬車に乗り城へ。小さいが豪華な飾りが施された部屋へ通された。
「よく来てくれた。4人とも好成績だな。この国の王族として鼻が高い」
サマトリ王子、アルベル王、さらにセリア王妃がいた。
「あらルモナちゃんかわいい。やっぱり女の子ねぇ」
「はは、やだなぁ姉さん」
「ささ、ルモナ頑張った会、じゃなかった前途ある冒険者たちの活躍を祝して乾杯といこう」
サマトリ王子。本音が出たな。まあ、肉親なら気になるものだからな。




