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55 Aブロック決勝

 試合後、他の試合の結果を確認するため闘技場へ。今日はAからDの全3回戦の試合がおこなわれた。


「嘘だろ?」

「優勝候補が……」


 街の中がざわついていた。何かあったのかな。

 どうやら波乱が起こったようだ。覇炎リラオガ敗退。聞いた話では相手は棒を武器に戦い、彼の攻撃がかすったところで勝負がついた、とのことだった。何が起きたのかは誰もわからないようだ。


 そして雷神カイネが敗退。こちらは全身に魔法陣の人が勝ったようだった。その勝ち方はなんと手持ちのメイスを振り回し、その肉体の強靭さ、速さで勝ったとの話だった。つまりはステータスが高いということだろう。まるで俺と同じだ、まさか俺と同じ異世界人ってわけではないよな?


 シードも負けたようだ。相手は魔術師だったという。勝負は一瞬、開始と同時にシードがその場に倒れたそうだ。聞いて回ったが結局彼が何をしたのか誰もわからなかった。


 残念だがミアとルモナが負けた。2人ともいい勝負だったようだ。明日はお休み、リクに戻り2人を慰めるとしよう。


 翌々日、Aブロック決勝。覇炎リラオガを倒した男と向かい合う。棒を地面に突き立てこちらを向いて立っている。別段変わった様子もない。一体どうやって勝ったのだろうか。謎は深まるばかりだ。


「サイゴ対シンクロー。開始!」


 馬車が見えなくなってから試合開始。


「では始めるか」

「おう」


 返事を聞いた瞬間後ろから気配が。振り返ると彼の棒が地中の中からこちらに向かって高速で伸びてきている。俺はこれを杖で弾きながらかわした。なるほど、これがリラオガに勝った戦術か。しかし、このくらいなら――


(嘘だろ。絶対当たるってくらいの距離から不意打ちしたってのに弾かれるなんてな。しかし、ふー。弾いてもらえてよかった。あの身体能力ならかわすことも出来たろう、だが念の為に武器を使い身体を安全に逃した、その慎重さが命取りになったわけだ)


 いや、違う。棒の不意打ちではないな。

 今急激に身体が重くなった。まるで力を吸い取られたかのように。こちらが彼の真の力か。


「パワースティール。アンタの力を頂いた。アンタが装着しているものを通して吸わせてもらった」

「理解した」

(リラオガという男は真の武人だな。この俺のスキルの秘密を皆に言ってしまえば簡単にサイゴに対策され勝負にすらならなかっただろう。戦場で会えば知らなくて当然、その状況で勝ってこそ、とか言っちまってよ。ふっ、甘いな。だが嫌いじゃねえ。アンタの心意気は受け取らせてもらう。そしてこのまま優勝だ!)


 俺の力を奪った、か。そうか、リラオガは知力を奪われたのかもしれない。観客がリラオガの魔法が妙に弱まっているって言っていた。なるほど、それなら合点がいく。


 シンクローが杖の先端を地面に叩きつけた。地面は破裂しえぐれたようにぽっかり穴が空いた。


(それにしてもこのサイゴってやつはなんつーパワーをもっていやがるんだ。杖で地面を軽く小突いただけで穴が空くほどの威力を出せるとか。無敵なはずだぜ。だが、その力が今俺にある。勝てるぜ!)


 棒を握りしめこちらに向かって走ってくるシンクロー。この場合対策は1つ。

 走って逃げる。そのうちスキルの効果が切れるだろう。


 シンクローはかなりの速さを誇る。この世界で見てきたなかで1番はやいだろう。だが、ナッツを食べ修行した俺はイカれたステータスを持っている。うん、済まない。ステが高すぎるんだ。順調に逃げる俺。必死に追いすがってくるが彼の攻撃は俺には届かなかった。


 が。ここで1つ興味が湧く。俺の攻撃力は果たしてどんなものだろうと。もし彼がスキル攻撃も上乗せして攻撃してくるのなら大ダメージを食らっていただろうが、どうにも攻撃スキルは持っていなさそうではあった。ただの棒の叩きつけでどんなものかと興味が湧いた。


 このまま走って逃げれば勝てるのに。まあこのような特殊なスキル持ちと対戦する機会が増えるかもしれない。自分の力を見るのはいいこと、と自分を納得させ、逃げるのをやめた。彼の攻撃を受け止めるため、賢剛合金の杖を取り出す。


「ハァハァ、ゼェゼェ。よ、ようやく観念したか。オラァ!」


 気合一閃、俺に向かって棒を叩きつけてきた。杖で攻撃を受ける。そして発生する衝撃波。が、彼の持つ棒はその攻撃力に耐えきれず一瞬で粉々に。それでも衝撃波は発生しており、その衝撃波によって彼は吹き飛ばされ、大ダメージを負い戦闘不能に。つまり自爆だ。


 そうか、俺の攻撃力を奪っても他は元のステータスなわけか。軽い衝撃波でも戦闘不能に。特殊な武器だから硬さはそんなでもなかったんだな。むしろ柔らかい部類か。武器が柔らかくてよかったかもしれない。これが硬いやつだったら。少々怖くなる。

 そして俺はダメージ0だった。

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