54 リベンジ?
Dブロック最終試合が終わり、2回戦がすべて終了。闘技場に勝ち残り組が呼び出された。
「参加者の皆、お疲れ様。これから5日間休みとする。勝ち残った者は後の戦いに備えゆっくり静養してくれ。それからこの後は闘技場で様々な催し物が行われる。客の皆、楽しんでいってくれ」
なかなかに長いお休み。これはわざとだそうで、開催期間がながければ長いほど儲かるからだという話を小耳に挟んだ。もっと伸ばせば儲かるのではと思ったがずっと働きづめになるため人間の限界を超えない程度に開催期間を設定しているという。ふむ、確かにお仕事している人たちに疲れが見える。大会開催前から人が押し寄せていたからな、当然か。
闘技場でショーが始まる。とりあえずミアたちと合流しようと闘技場から出たとき、見覚えのある人から声をかけられた。
「久しぶりだなサイゴ。俺だ、アマシカだ」
バトルタウンで戦ったアマシカか。久しぶりだな。彼はどうやら俺と勝負をしたいようだった。もちろん賭けで。
「ルールは前と同じでいい。とにかくあんたに勝ちたいんだ。1勝だけでいい。俺が勝つまで付き合ってもらえるかな」
んー、なんとも複雑怪奇なお話だ。リベンジ、とはまた違うかな。
しかし彼の目は至って真剣、恥も外聞もなく俺が勝つまでといい切るその覚悟はよし。案外俺も負けず嫌いだから気持ちはわかる。友達と対戦ゲームをやったときなんて俺が勝つまで! となることはしばしばあった。お互いにだけど。勝負しようかな。
サイコロ2つを3回投げその合計を競うルールだったな。あのルールは完全に運。数をこなせばいつかは負けるだろう。かといって当然手抜きはしない。わざと負けたのでは彼も納得しないだろう。まあ、運だから手抜きもなにもないけど。
2人で賭博場へ。テーブルを挟み、お互い向かい合う。勝負の開始だ。
1回目、俺の合計は36。アマシカは26。初っ端から飛ばしているな、俺の運。確かに鍛えたからステータスは上がっているんだけど、いきなりこれは自分が怖くなってしまうレベルだ。
「冗談きついぜ、あれから地獄のような修業を経てステータスを上げたのによ。まま、勝つまでやるが」
それから100戦。俺が100連勝中。アマシカに疲れが見え始めた。こんな勝負でも精神はすり減るもの。俺は気軽に構えていられるが彼は「勝つ」という意思のもと勝負を続けている。必然、俺よりも疲労しやすい。
500戦目。相変わらず俺が全勝。アマシカは手が震え、呼吸が乱れるようになってきた。
「……そろそろやめるか?」
「ま、まだだ。勝つまで!」
心配になり声をかけた。声が震えているがまだ目は死んでいない。俺はそんな彼のやる気をくみ、勝負を続けることにした。
そして遂にその時がやってきた。
632戦目。1投目から数字が低い。3投目を振り、全部の合計は15。今までで最低値だ。
アマシカがサイコロを振る。1投目8、2投目6。この時点で勝負が決まった。アマシカは満面の笑みをこぼす。俺もその笑みを快く受け止める。これから負けるっていうのに。こんなに清々しい負けは生まれて始めてかもしれい。
そして3投目、正にウイニングラン、これまでの苦労が報われる。アマシカ、アンタいい根性してたぜ。アンタの勝ちだ!
そのはずだった。
投げたサイコロの1つが、妙な跳ね方をし、サイコロゲームをしている場所、テーブルからどこかへ飛び去ってしまう。これってどうなるの?
「サイコロ転がしの失敗、当然俺の負けだ……」
アマシカはそのままテーブルの上に倒れ込み、意識を失う。これはきついね。勝ったと思ったらとんだアクシデントで負けてしまう。格闘ゲームではよくあったなぁ、ピヨった相手に攻撃ミスって逆に俺が死亡、とか。
アマシカを店の人に任せ俺は街へ。
リクに戻り、ミアたちと合流、イリスを慰めお酒を飲んでのんびりと過ごす。
そして3回戦当日。
玉取レースのスタート地点に俺は立つ。
「それでは試合開始!」
開始の合図とともにベヒモは走り出した。走ると全ての髪は浮き上がり、地上につかなくなった。なかなか幻想的な光景だ。
いやいや見ている場合ではないな。では予定通り、彼とかぶらない方向へ。地図を軽く確認して俺は走り出した。
(よし、いったな。これより隠れる。各員配置に付き俺を隠せ)
宝石20個を手にする。さてゴールへ。
もう少しでゴールといったところでベヒモが前方に現れた。
(よし、これだけ距離があるなら俺の勝ちだ!)
このままだと間に合わないので走る速度を上げる。街道を破壊しながらべヒモを追い抜きゴール。
危なかった、案外ギリギリだったな。
「良い勝負でした」
「あ、ああ、そうだね」




