53 他の試合
試合後、水上闘技場はまだ終わっていないことを聞きそちらへ向かう。
現場に到着、破壊された闘技台を交換している最中だった。昨日カイネが大暴れをして闘技場を半壊させてしまったから修理に時間がかかっているという。
しばらくして闘技台の修復、交換が終了、試合が始まる。
リラオガ対水棲系亜人の人。足が魚、まるで人魚だ。その亜人が闘技台の周りにある水に飛び込もうと移動している間にリラオガがスキルを使い、周りの水を干上がらせてしまった。
ゲーム的にも現実でも、炎は水に弱いと思うがなるほど、干上がらせてしまうほどの熱量を持っているのなら大して意味はないか。人魚の亜人はリラオガに向き直り、「参った」負けを宣言。圧勝、強いな。
草原闘技場へ帰ろうとした所、1人の男に声をかけられた。
「探しましたよサイゴさん。ここにいたんですね」
長頭髪人族、長の使いというその男は、長が俺に戦闘方法の提案をしたい、こちらに来てもらえないか、との話を持ってきた。これを了解、使いの人についていく。街の中に入り、高価そうな飲食店の中へ。
店の中には前に見た長髪の男が。そしてその男の髪が広い飲食店を占拠している。相変わらず長い。
「私は長頭髪人族長、ベヒモ。呼び出して済まなかったな。本来ならこちらから向かうのが筋なのだが、なにせこんななりだ。理解してもらえると助かる」
「はい」
丁寧な応対、しっかりしている人だな。
「それでだ。戦闘方法の提案を。これなんだが」
彼は球を指定数集めてからゴールする、というゲームを提案してきた。
街の地図らしきものをこちらに渡し説明を始める。球はベヒモが用意した高価な宝石を使う。不正の防止のためだそうだ。地図にはスタート地点、ゴール地点、宝石の置き場所が書かれていた。
街に置かれるのは60個の宝石。それを20個集めてくる。60個のうち赤い宝石が10個あり、それを必ず3つ手に入れること。
「まだ置いていないが試合当日はあの台の上に宝石が置かれる」
指差した先には豪華な宝飾を施した台が。まあこのくらいのほうが目立っていいけれど。
1度宝石を取ったところには当然だが宝石はない。速さに自身があるならこれを利用して邪魔をしたり、相手の動きを読んで取りそうな宝石を先に取ってしまったりと、戦略性もあるゲームのようだ。なかなか面白いかも。
「どうだい? 受けてもらえるかな。正直な話戦闘では当然のように負けるだろうと考えてね。一応私は速さに自慢があるんだが、それでも私の負けは確実だろうと思ってね。なら大会を盛り上げる方向でといろいろ考えてこんな対戦方法を思いついたんだ」
大会のことまで考えているとは。立派な人だ、長の名は伊達ではないな。俺は笑顔で快く承諾した。使いの人は大会運営の人でもあったのでそのままこの戦闘方法は受理された。
その後は食事を振る舞ってくれた。他、気になっていたところも色々聞いてみる。彼の仲間も皆髪が長いと聞いたときは目を丸くして驚いた。食後、挨拶をして料理屋から出る。そのまま地図を片手に当日レースをする場所を調査。
んー、作戦は色々立てられるけど、取り合いは正直したくないな。となるとベヒモが向かった先以外のところに寄るようにしようかな。大きく分けて3ルートくらいに別れるな。よしよし。当日は相手の動きを見て。
「と、サイゴさんは考えているかと」
「お人好しだったな。それに国を救った英雄だ、そもそもセコイ事は考えないだろう」
「ではベヒモ様、予定通りに?」
「ああ、スタート近くに隠れ奴が戻ってきたらその鼻先に立ってゴール。これで」
「かしこまりました」
「はっは、私はセコいこと好きだがね!」
翌日からは試合観戦。いくつか動きがあった。まずイリスが敗退、非常に残念だ。相手はアルベル王のお仲間さん。かなりの接戦だったんだがいま一歩届かなかった。
Bブロックの霧の人。霧の中に魔物の死骸を入れ、しばらくして取り出す、というパフォーマンスをしていた。死霧の渓谷で見たような。まあ、似たようなものはあるだろう。
死骸は嫌な匂いを放ちながら溶けていっている。それでも対戦者は気にせず戦いを申し出る。
試合は一瞬で終了した。対戦者が風を起こし、霧を吹き飛ばしてしまった。霧を生成しようとするも、一気には作れないようでその隙きに武器を突きつけられそのまま降参。
それからCブロックのアルベル王が負けた。相手は雷神カイネ。高攻撃力の雷を連発。かなり耐えたが、相手は動きも非常に速くつかまえられない。彼をもってしても一方的な試合だった。
「兄さんでもそこまで戦闘力に差があるとは」
「いやー、強かった。捕らえてしまえばなんとかなるかなと思ったがそれすらもさせてもらえなかったな」




