51 商人
ミアたちはAにはいないな。おお、きれいに別れている。
周りをちらりと見る。ほぼ知らない顔だな。10年の期間があればそうなるか。
全員で特別枠も入れて61名。権利を持っている人すべてが参加したわけだはないようだ。受付の話では様々な理由で来ない場合があり、中にはすっかり忘れてしまっていたという人もいるそうだ。
「これにて開会式を終了する。戦いは明後日からだ。皆万全の状態で挑んでもらいたい。では」
音楽とともに参加者たちが去っていく。
やれやれ、こういった場はなかなか慣れないな。そういった意味でもサマトリ王子は度胸があるなと1人うなずく俺がいた。
闘技場控室に戻った俺たち参加者。
「皆さん開会式お疲れさまでした。ここに対戦表を張り出しておきます。戦う場所、日にちを間違えないようお願いします」
俺は明後日、草原闘技場の第1試合だな。人数がかなりいるから1回戦はブロックごと、4日に分けて行われるようだ。
草原にある建物に入る。なかなかに豪華な内装、食事もうまい。
こうして翌々日までのんびり過ごし、いよいよ当日、1戦目。
草原闘技場で対戦者と向かい合う。対戦者を見る。でかい。一昨日見たときは小太りで中年のおじさんだった。それが今パワードスーツみたいなやつかな? それのおかげか俺の身長の倍位高さ大きさ。そしてこのパワードスーツ、金属でできているためかロボットのようになっている。カッコイイ。
「さあ! 記念ずべき草原闘技場第1試合目は「仮面の英雄」サイゴ対「戦闘商人」コドウだ! とっても実況したいのですがここに居ると危険ということで、私は避難させていただきます。お客さんもいませんしね! では、私達が見えなくなったら試合を開始してください!」
そう言うと進行役の人は待たせてあった馬車に乗り、大急ぎでこの場から去っていった。草原闘技場と言っても人払いをしただけの普通の草原なんだよね。これはこれで観客がいないから寂しいかも。んーむ、俺って結構わがままだったんだな。
何人か観客が居ることがわかる。アルベル王、サマトリ王子とその隣には女の子、誰だろう。彼らの前には魔術師がいて魔法で防御壁を作っているようだった。
「実際にサイゴの戦闘を見た事がないから楽しみだ」
「兄さんが買っているほどの人物だからね。俺も気になるよ」
司会者を載せた馬車が見えなくなった。
「はじめようか」
『ボッ』
両腕を上げ拳を頭上で合わせ、合成音声のような声を発し了解したコドウ。
と、すぐさま口から高熱の熱線を発射。俺はこれをかわした。熱線にあたった地面は焦げ煙を発している。なかなかに威力がありそうだ。
今度は俺が身をかわした方向に向かって握った拳を発射。これを杖で叩き落とす。更にコドウの攻撃は続く。拳を有線で引張、回収しながら俺に向けて胸部から矢を発射。
おー、この攻撃力、速度。こいつはアルティメットキマイラより強いな。
(俺は安全な場所からソイツを動かしているわけだが。くくく、それにしても苦戦しているようだな。当然だ、ソイツはキマイラより強い。このまま勝たせてもらおう)
握った剣でこちらを斬りつける。身体をうつ伏せにしたと思ったら背中に備え付けてあった槍が飛んでくる。なんとも多彩な攻めだ。
(商売を極めた俺が次に目標としたのが戦力の保持。そう、この世界を支配できるほどの。そして俺はたどり着いた。究極の破壊人形というものに。魔術師たちの力を一まとめに出来るスキルを持つ者を発見、それから研究、遂には完成。実戦では余裕でキマイラを倒した。そしてすでに10体の破壊人形が完成している。これ以上作るのは金銭的に、スキル所持者的に無理だがな)
攻撃方法がループするようになってきた、大体こんなところかな。様子見はここまでにするか。そろそろ。
(このまま優勝して世界征服宣言をこの国に叩きつけてやるのだ。そうだ! この俺が世界の王となるのだ!)
胸元に杖を叩きつける。コドウの身体は高速で回転、金属部品を撒き散らしながら遠くへ吹っ飛んでいった。
地面に体を叩きつけながら転がり続け、少し穴になっているところに足が突き刺さり止まった。
コドウは動かない。身体のあちこちから煙が吹き出している。後ろから馬車の音が聞こえ、それがこちらに近づいてきた。
『ボ、ボゴォ……』
「勝負あり! 勝者サイゴ!」
(お、俺の夢が……)
進行役さん、大変そうだ。
俺もあれから強くなった。成長分プラス、ステータスアップナッツ分だから今の俺はかなり強いんでないかな。
「想像以上だ。相手もかなりの強さだったのだが」
「ほっほ、強いの~」




