50 開催! チャンピオンファイト
人によって戦闘をする場所が変わる。例えば俺なら闘技場が破壊され、観客に被害が及ぶ可能性があるため、広範囲の草原を立ち入り禁止にしてそこで戦うようにするという。無観客試合だそうだ。1部お偉いさんや腕に自身のある人間は入ることを許されるようだが自己責任とのこと。
各場所に宿泊できる施設がすでに出来ているという。始まる前に確認だけしておこうかな。
「以上です。組み合わせはチャンピオンファイト開催日に発表となります」
施設を確認、まだ10日と日があるなと思い、またリクに戻りミアたちと合流。彼女たちも受付を済ませ、とりあえず観光といったところだった。
ルモナから今回はサマトリ王子が主催であることを聞く。通常なら国王が仕切るのだが、現国王カヤロは病に冒されており食事すら困難、そのためサマトリ王子が動くことになったとか。ちなみにアルベル王とその仲間たちも参加するとの話。
久しぶりに賭け屋さんへ。
次代の王を決める賭けをしているところへ、やけくそ気味に「サマトリ王子万歳!」と掲示板に書かれていた。アルベルはもうスクアの王だからな。ここの王になる確率は限りなく0に近い。一応第3王子もいるが、国側から「海を渡った」とこの大陸からいなくなったことを公式発表している。サマトリ王子で決まりだろう。
「ルモナは海を渡ったことになっていたんだよな」
「そうみたいだね。私も知らなかった」
そうだ、と何かを思い出したかのように道具袋から地図を取り出すルモナ。地図を広げ俺たちに見せる。このあたりの地図? いや、違うな。
おお、これは世界地図か。この大陸は見覚えがあるぞ。俺達がいるところだな。
地図の南側に大きな大陸、俺達がいる大陸があり、地図の北西に1つ北東に1つ、ここより小さな大陸がある。
「それぞれ2つの国がある。そして地図の真ん中、この小さい島に魔神の像が収められている」
ルモナの話では他の大陸へはニドウからしか行けないとの話を聞いた。ふむ、俺たちは3方を山に囲まれているからな。この国からの海路はないわけだ。スクアは一応海路があるが直接他の大陸にはいけないらしい。
世界地図を見ていると父さんの言葉を思い出す。「100年で大陸が変わってしまうゲームがあってだな」。……まあそのあたりを突っ込むのは野暮ってものだ。
それから10日後、遂にチャンピオンファイト開催日に。
サイゴに変装して闘技場へ。控室で待っていると係員に呼び出され、順番に、呼び出されたら闘技場内へ行くことを告げられる。選手入場ってやつだ。
「皆さんおまたせしました! 10年に1度の戦いの祭典、チャンピオンファイト、いよいよ開幕です!」
観客席からは歓声というよりも怒号が。その声で闘技場が振動している。俺の心臓はもうバックバクです。
「まず1人目! 皆さんご存知エニスの盾、チナンメンだー!」
チナンメンの名が叫ばれ、ファンファーレが鳴り響く中、彼は腕を上げながら闘技場へと入っていった。凄まじい歓声が彼を迎えていた。
こういう時派手なパフォーマンスをしたくなったりするけど、滑ったときのことを考えると怖いのでここはやはり地味に。レベルが上がりましたネタをやっても誰もわからないだろうからな。片腕上がるくらいにしておこう。んぐっ、緊張してきた。
その後何人か呼ばれた後、遂に俺の番が。
「国を救った仮面の魔術師! 仮面の英雄サイゴだー!!」
片腕を上げ闘技場内に。歓声で吹き飛ばされそうになったが、そこは何とかこらえた。
ふむ、それにしても「仮面の英雄」か。ふふ、なかなか良い通り名がついたものだ。俺はそのままニヤつきながら闘技場の中へ。
人数がかなりいる。今日の予定は選手紹介と開会式挨拶、組み合わせ発表で終わりだったな。
その後も選手の入場が続く。そして最後の選手の入場が終わると、サマトリ王子が王座から立ち上がり、人々に挨拶を。
「世界の各地よりよく来てくれた。現王の代理として、このサマトリがチャンピオンファイトの開催をここに宣言をする」
サマトリ王子の宣言とともに、観客たちは最高潮を迎える。耳をつんざくような歓声、耳栓買ってくるべきだった。それにしても堂々とした立ち回り、すっきり通る声。これだけでも王の風格を感じさせる。良い王になりそうだ。
次に対戦組み合わせの発表。AからDブロックに分けられている。サマトリ王子がAブロック第1試合から読み上げる。ふむふむ、俺はAブロック第2試合、場所は草原、と。それから俺の相手は誰だ。
さっき司会進行の人が戦闘商人と通り名を言っていた人だ。商人? どんな戦い方をするんだろう。




