49 超人、奇人、変人、大集合
「少々お待ち下さい」
街道を歩いていると、十字路で通行止めをしていている兵士たちを見かける。その先の地面には赤い絨毯、その上には人の頭髪らしき物体が。それが少しづつ城に向かって進んでいた。気になりその先を見に行くと1人の男性が髪を引きずり歩いていた。
その頭髪の長さは陸上競技場トラックの3分の1位あるだろうか。長い、とにかく長い。そして周りの人が非常に大変そうだ。少し歩いたら絨毯を敷き髪の毛が地面につかないよう保護。そして珍しがって毛を触らないように兵士たちが毛を守っている。進行の際はこのように通行止めを。
「長頭髪人族の長の人ね」
ミアの話ではエニスの国の周りには亜人の国がいくつかあり、チャンピオンファイトに特別枠を設けて、戦闘好きな国をエニス側が招待している、長頭髪人族はそんな戦闘好きな種族の1つだという。当然イエタルも参加すると胸を張って言うイリス。そうだろうな、戦闘好きだもんな。
彼の髪は人の毛と違い軽く、この長さでもロング程度の重さしかないとか。しっかしこんな状態で戦えるのか。
奇妙な出来事はこれだけではなかった。街の外にいつもは見ない霧が発生しており、中には入らないようにと兵士たちが常に監視をしていた。聞くと、どうやら霧は参加者が発生させている霧だということがわかった。
その帰り道、混み合っている街道ですれ違いがうまくいかず、ある人と肩がぶつかってしまった。
「失礼」
全身を覆う服を着ており、その服にはいくつもの魔法陣が描かれていた。まるで自分の力を封印しているような見た目である。
彼はスクア前、キマイラクラスたちが集まっていたあの戦場でも見かけたな。その時もこの服装だった。どんな力を持っているかはわからない。イリスの話では最後までその服装だったそうだ。
うーん、謎だらけな人物だ。
街を歩いていると見た顔もちらほら。大体がバトルタウンで見た顔だな。もうあれから2年も経つのか。はやいものだ。
血の気が多い奴らが集まってきているのだろう、あちこちで喧嘩が勃発。ちょっとしたバトルタウンのような状態になっていた。
「どっちに賭ける!」
賭けまで始まっている。流石にまずいよなと思っていたが、どうやら仕切っているのは国の関係者の人たちのようだ。動きが早いな。
面白そうだといくつかの喧嘩を眺めていると、観客の中に1人変わった人物を発見。
顔を上に向けていて、口からは剣の柄が生えている。なんとも奇妙な状態の人物だった。彼はそのまま歩いてどこかへ去っていってしまった。ミアたちにも何者かはわからないという。
「キャア!」
女性の悲鳴が。周りを見ると数人の男女がその場に倒れていた。興奮した荒くれ者の犯行か、と状況を探るも、殴った切った等の外傷はなく、とにかく顔色が悪いくらいだった。
全身をローブで覆っている人物がその場から離れていくのを目撃、怪しいと感じ、これを追うことにした。ただ、その人物は凄まじい速度で逃げていく。ミアたちは途中で脱落、俺だけが追えていた。しばらく追うと1台の馬車が止まっているところに。それから馬車にいる人、見たことがあるな。
そうだ、モリバニさんだ。となると国の関係者か? モリバニさんは落ち着かない様子でそのローブの人物に話しかけた。
「困りますよ、勝手に動かれては」
「よいではないか」
女の子の声が聞こえた。モリバニさんの対応を見るに要人だろうか。2人は馬車に乗り城の方へ。うーん。大した被害もないし、今度モリバニさんに会ったときにでも聞いてみようかな。
俺はその場を去った。
「イーダ様、なにか悪さはしてないでしょうね」
「し、してない!」
(あ、これ悪い事したな。大したことはしないと思うけど)
「それよりも面白い男をみつけたぞ。この儂の速度についてくるやつがこの世界にいるとはのぉ」
「ほぉ、そんな人間が」
「むふふ、チャンピオンファイト、楽しみになってきた」
皆と合流。
宿に行く途中、馬車をいくつか連結させた珍しい乗り物をみかける。なんだろうと見ているとその上に髪が乗っていた。コーナーが非常に難しそうだった。
徒歩よりは良いかもしれないな。
開催10日前、俺は皆と別れサイゴに変装、チャンピオンファイト受付へと向かう。
「サイゴ様ですね。それではチャンピオンファイトの説明を」
基本はトーナメント方式。戦闘方法は各々に任せる、通常の戦闘以外の場合は前日までにこちらへ報告すること。アマシカ戦のように賭け事でも良いってわけだ。各自最高でも1日1回までの戦闘とするように組み合わせる。




