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41 死の匂い

 像から感じていた禍々しい気配はなくなった。ただの黒い像が眼前に転がっている。街は半壊、レーザーを3発ほど撃たれてしまった。住民地区の方には飛んでなくて良かった。

 服はほぼ吹き飛び、杖が壊れてしまった。今回は全力、はやくに片付けたかったから仕方がないか。パトマに言ってまた杖を作ってもらわないと。

 遠くにナキが見える。ん? どうにも様子がおかしい。刃物を逆さに持って、いけない!

 土煙を上げながら走ってナキのもとへ。近づき持っていた刃物を蹴りで弾き飛ばした。


「バカヤロウ!」

「放っておいてもらえますか。血を流しすぎました。関係のない人たちを手にかけました。私はここで自決しようと思います」

「リリに頼まれてここまで来たんだ。勝手に死なれては困るな。それに罪を犯したのなら法に、国に、お偉いさんに従うべきだ。そう思わないか?」

「リリに、しかし」


 リリから話は聞いているが、そもそもそこまで彼について詳しいわけでもなく仲が良いわけでもない。言葉でつなぎとめるのは正直無理だ。だが、つまらないことをさせる気はない。ならば熱意と強さのある心で説得するのみ。俺は彼の目を見て本音を言い放った。


「人生を弄ばれ、最後は自殺なんてそれは俺が許さない。力ずくでも止めるからな!」

「……ふふ、あなたにそう言われてしまっては止めるしかないですね。もう力は行使されてますけど」


 そうだった、先程蹴り飛ばしたな。緊急事態だったから仕方がないさ。

 街を見渡して苦笑いするナキ。コレ、俺が破壊したわけではないからね!

 思いとどまってくれたようだ、よかった。王女を救ったりと、情状酌量の余地はあるだろう。国の名裁きに期待だな。


「なあナキ。わからないことだらけなんだ、色々教えてもらえるかな」

「わかりました。と言ってもあまり知らないんですがね。とりあえずこの像を誰にも見えないところに移動させましょう。このあたりに埋めますか。それとこの場を立ち入り禁止に」


 像を埋め、ロープなどを張ってここを立ち入り禁止にした後、ナキから話を聞いた。

 ナキが知っているのは国が魔物を生産、操ることも出来る、ということだけだという。生産の仕方、操り方、ローブの男、この像の正体はわからないとのこと。


 それよりも問題は国が俺をどう対処するか。国家機密に触れてしまった、それもかなり重要度が高い機密に。このため国に与するか、一生牢獄かの2択になってしまうのではと言うナキ。

 そいつは困った。国についたら当然自由はなくなるだろう、今後冒険できないではないか、却下。では、一生牢獄? もちろん却下。

 逃げるか? これも駄目だな。サイゴが動いたというのは国が本気になって痕跡等を調べれば分かる可能性がある。そうなると「サイゴ」は使えなくなる。


 ……いや、そこまで問題でもないか。よくよく考えてみればチャンピオンファイトの挑戦権だけ。また変装して取ってしまえばいい。となると「時間」だけだな。変装して取りに行くとなると時間がかかる。だからとりあえずサイゴで行動、与するか牢獄の2択だけなら名を捨てる。

 ふむ、これでいこう。


 訪れる一般市民や兵士を追い払いながら3日が過ぎた頃、反エツノ派の部隊が王都フイナルに到着。

 彼らの代表と会い話を。ナキが国家機密に関してしまうと話し、一旦中断。後日エニス国からの使者たちがこちらへ。像のこともあってこの場を離れずにここで今まであったことを彼らに話す。


 兵士たちが来て像を確保、それから俺たちも高そうな宿屋に移動。しばらく動かないでくれと言われここで過ごす。ナキの言う通りになりそうか。

 5日経ち、国の使者が。


「サイゴさんお話があります。これからの、アナタの進退についてのお話です」


 街にある料理屋に連れていかれる。料理屋の奥へ、更に隠し扉を通り隠し部屋へ。部屋にはエニス国第1王子アルベルが座って待っていた。なるほど、厳重にするわけだ。そこにはナキも居た。

 それにしても大物が来たな。さて、向こうはどう動くか。王子は座るように言う、俺は椅子に。


「まずは礼を言わせてもらおう。2人共、ありがとう。君たちがいなければこの国、エニス、王女がどうなっていたか」

「いえ、当然のことをしたまでです。ところでこの国はこれからどうなっていってしまうのでしょうか」


 今後のこの国の行く末が気になり王子に質問をした。王や王妃が死んでしまっている。王子が2人いるがいずれも若くまだ王にははやいだろう。

 そのことなら問題ない。強引にこの国の養子になって王女と結婚し私が王になる、と言うアルベル王子。スクアの王子が育ったら引退してのんびり暮らす、と。しっかり考えているな。


「養子縁組はすでに済ませてあると?」

「言ったろ? 強引にと」


 笑ってそう答えるアルベル王子。なるほどわかった、結果が後から沸いてくるわけだ。この王子、ちょっと怖い。

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