4 ステータスアップ
ギルドの隣りにある訓練場へ。空いている木製の人形を見つけ、杖を振るう。これをスキルを覚えるまで続けることにした。
休憩を挟みつつ、半日叩いたくらいで頭にメッセージが。
『ショックスタンを覚えました』
『ムーブスロウを覚えました』
ショックスタン、相手を一時的に身動きがとれない状態にするするスキル。ムーブスロウは相手の動きを遅くするスキル。この2つを覚えたということは、俺は「デバフ」が得意な魔術士か。
スキルやアイテムを使うことで指定した相手、敵にゲーム中で不利な状態が発生する。このような効果を「デバフ」と呼ぶ。
しかし、よりにもよってデバフの魔術士か。……とりあえず報告しておこう。
ギルドに戻ってツルギさんに報告。
「なに、デバッファーだって? ちょっと待ってろ」
渋い表情を浮かべツルギさんはギルドの奥へ。ちなみにデバッファーとはデバフを使う魔術士の通称。
ツルギさんは間もなく戻ってきた。
「もうじき飯だ。食ったら前に行った奥の部屋へ行ってくれ」
言われた通り、食後にまたギルドへ。奥の部屋で待っているとギマさんが部屋に入ってきた。
「またせたな。さて本題だ、非常に言いにくいことなんだがデバッファーは不遇職でな」
ギマさんの話によると、デバッファーは弱い。弱いから誘われず、ほぼ成長できないとのこと。ギマさんですら鍛えられたデバッファーは見たこと、聞いたことがないらしい。
やはりそうか。ゲームでも非常に弱かった、運が悪いな。
「ということで、デバッファーと判明した時点でほとんどの者は引退している。中にはそのまま続ける者もいたが、途中で皆挫折してしまった。取り敢えず今日はじっくり考えてみてくれ」
「はい」
「冒険者だけが人生じゃないからな、リク」
ギマさん、辞めさせる方向か、わかるけど。席を立ち部屋から出てギルドの休憩所へ。運がないなと
ツルギさんが慰めてくれた。
「デバッファーだってよ」
「かわいそうに……」
はやくも周りで俺の話題が。みんな同情してくれているようだ。ツルギさんに挨拶をしてからギルドから出て、一旦宿屋へ。
どうしたものか、そうだなステータスだけは上げておくか。そして魔術士だけど全体的に上げてしまおう。ある程度高ければ、逃げたり、即死を免れたりと生き延びることが出来る場合もあるかもしれない。
まずはギマさんのステータスを再確認。その後俺のステータスを携帯計測器で確認。魔術士だから比べるところは知力かな。見比べるとステータスの差が30あった。
クリアしたときは高いステでも100いかないくらいだったかな。そう考えるとギマさんはゲーム中盤くらいの強さだろうか。
お次はステータスアップアイテムの能力アップ量を調べる。袋から知力が上がる「インテリナッツ」を取り出し食す。無味無臭、お腹も膨れない。食後ステータスを確認、数字の隣にプラス1と表示されている。知力が1増えたってことでいいかな。
ギマさんを参考にしてインテリナッツを29食べておくか。いや、少しくらい弱いほうが良いかな。では27個で。それから他のステータスアップアイテムも食しておこう、全部同じ量を。
ナッツ全種を袋から取り出した。さー食べるぞー!
すべてを食べ終えた俺はステータスを確認。
「知力は。あれ、100超えて、って、ええー!」
ギマさんのステータスの数倍、高すぎる。なんでなんで!?
考えられるのは増えた数値が1より多いってことか。計算してみる、平均して約5。試しにもう1つインテリナッツを食べる。プラス8上がった。そうか、1つだけ食べて1しか上がらないと勘違いしていた。増える量はランダムだったか。
大失敗だ。知力以外も確認、だいたい同じくらいの数字。HPとSPは更にとんでもない数字に。これもう別ゲーのステータスだよ……。
そうか、そうだよな。日頃は使わないアイテムだからね。使い慣れていないといいますか。ふふ、上げ過ぎちゃった。いやいや、放心していても始まらない。どの程度なのか調べてみよう。
それに弱くてすぐに死ぬよりはいいじゃないか、そう心に言い聞かせながら宿屋から出る。街の外へ行こうと、街の入口に向かうと衛兵さんに呼び止められた。
「リクか。どうした?」
「ちょっと外の空気を吸いに」
「デバッファーだったんだってな。気にすんなってのは俺は言えないがよ、自暴自棄にはなるなよ」
もう衛兵さんにまで情報が。小さい町だから広まるのが早いのかな。日本の田舎もこのくらいはやいけど。
街から出てどこか良い場所はないかと周りを見渡しながらあてもなく歩く。道中、大きな岩がある場所を発見。
ここなら人目につかないかな。丁度木々で俺の体を隠せそうだ。ここで力試しをしてみるか。
大岩の前まで移動。あたりを見回し人がいないことを確認。よし、誰もいないな。




