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翌日、眠気眼をこすりながら宿屋の食堂へ。食べ終えると部屋に戻り着替えを。ギルドに行く前にアイテムの確認をする。クリア前にポーション何個持っていたかな?
ポーション99個、ですよね。HP回復アイテムを上限いっぱいまで買うのは嗜みみたいなものだ。しかし、99個買った記憶はない。無意識のうちに買い揃えていたのだろう。ちょっとしたホラーだな。こちらは緊急用ってことでいいか。昨日買ったポーションを普通の道具袋にいれギルドへ。
ツルギさんがいた。挨拶をする。ツルギさんなら知っているかな? 早速気になっていたことを聞いてみる。
「ツルギさん、この世界にはステータスが上がるアイテムって存在します?」
「長年冒険者をやっているがそんなアイテムは聞いたこと無いな。装備品ならステータスが上がる物がある。高級品だがな」
やはりなさそうだな。あのゲームと色々と違うところがあるようだ。それからステアップする武器防具はあると、ふむふむ。
「あー、俺朝弱いんだわ」
「しっかりしてよね」
若者のグループがギルドに入ってきた。
「おう、新人悪ガキ共。コイツが昨日話した新人のリクだ」
「リクです、よろしくおねがいします」
「よろしくー。っておいおい兄さん、敬語はよしてくれよ」
「よかったら面倒見てやってくれや」
どうやらツルギさんが俺の入るパーティの準備までしてくれてあったようだった。冗談を言いながら手を回してくれていたんだな。なんとも面倒見の良い人だろう。
円滑に話が進み彼らとパーティを組むことに。陽気で歯に着せぬ物言いの若者たち。不思議と嫌悪感は沸かない。THE冒険者って感じだ。
皆で依頼書掲示板の前へ、コレでいいかと指を差すリーダー、うなずく我々。リーダーが依頼書を掲示板から引き剥がし、受付へ。
受付が依頼を受理。
「さあ行こうぜ」
街から出発。しばらく歩き、魔物が住む沼地に到着。
「ここで討伐依頼の魔物、『ダストイーター』を退治する」
「おー」
到着してから少しして、大きなネズミのような生物が現れた。こちらを威嚇している、見るからに凶暴そうだ。
コイツは確かゲームにも登場したな。名前に聞き覚えがある。最弱の魔物だったかな。
「弱いけど油断すんなよ。おめーら、囲め」
周りを取り囲んで袋叩き。
彼の言う通りこの魔物は非常に弱かった。終始こちらのペース、なんの被害も出すことなく倒すことが出来た。リーダーが倒した魔物の耳をそいで道具袋へ。証拠品だそうだ。
昼食を間にはさみ、夕刻まで魔物を狩り続けた。
「今日はこんなとこで。おつっしたー! どうよ、スキルは覚えた? 覚えたとき脳内にスキル名が浮かぶはずだけど」
「いや、駄目みたいだ」
「そっかー。まあ、1日戦ったんだ、もうすぐだと思うけど。明日は訓練場で木製人形でも叩くといいんじゃねーかな、安全だし」
狩りを終えギルドへ戻る。リーダーが受付にダストイーターの耳を提出。それを受け取った受付の子は個数を数えた後、報酬をリ-ダーに。それをパーティで分けた。
人と魔物の殺し合いである。だけど、不謹慎ではあるかもしれないが正直楽しかった。これならやっていけそうだ。
それとステアップアイテムを使わなくても大丈夫ではないか、そんな考えが頭をよぎる。正直もったいないと思っていたんだよね。この世界にはない、手持ちだけ。そんなアイテムを使ってしまって良いのだろうか、レアアイテムだよ!
道具袋に手を当てながら1人葛藤していると、ギルドに一人の男が駆け込んできた。
「おーい、見つかったぞ。駄目だったが」
「アイツがなー……」
周りがざわめき始めた。一体何が?
ギマさんがツルギさんと深刻そうな話をしている。
「そうだな、いい機会かもしれない」
「新人共、ちょっと帰るのは待ってくれ。お前らに見せたいものがある」
なんだろう? 新人たちを集めるとツルギさんは俺たちを訓練場へと連れて行った。
「とある冒険者の遺体だ。魔物にやられたそうだ。俺たちはいつこうなってもおかしくはない。肝に銘じておけ」
そう言って毛布をはぐとそこには凄惨な死体が。新人全員が吐き出した。コイツは強烈だ。その日は晩御飯が食べられず、宿屋で悪夢にうなされながら眠る。翌日、最悪の寝起き、体がだるい。
……ああならないようにステアップアイテムを使おう、うん。スキルだけは先に覚えてから。
おぼつかない足取りでギルドへ。
「悪かったな、少々刺激が強すぎたか。悪ガキの新人共、リーダーのやつ以外みんな辞めちまった。田舎に帰るそうだ」
「強烈でしたからね」
仕方がない、あんな事が自分の身に起こると思うと。
しかし引退か。もう会うことがないのなら装備品は回収しておくべきだったか。いやいや、何を考えているんだ俺。途中離脱のゲームキャラとは違うんだぞ。そもそも俺がアイテムを渡したわけでもなし。まったく、まだゲーム感覚が抜けないな。
「お前はどうする?」
「冒険者を続けますよ。では訓練場へ」
「そうか。頑張ってこい」
俺の場合は帰る田舎が冒険を続けた先にあるかもしれないからな。




