39 潜伏ミッション
人目のつかない森の中、遠くにある城を見ながら地図を取り出し現在地を確認。王都フイナル、ここで間違いないだろう。
夜になってから移動、王都フイナルに入る。そのまま城へと向かった。
城の周りは当然の如く厳重な警備が。だが、潜入するなら今だろう。昼間では丸見え、警備の数が更に多いだろうからな。
ひとっ飛びで城の屋根まで。よし、誰にも見られていないな。内部に潜入。慎重に移動、王座の間に到着。警備は手薄、今のうちに忍び込んでおける場所を探しておこう。天井に人ひとり隠れられそうな場所を見つける。
他の場所も探索。ここは寝室かな? 数人の警護と共に歩いてくる人物が。
「警備ご苦労」
「ハッ、おやすみなさいませ、エツノ様」
奴がエツノか。なかなかに厳重だな。戦中ってのもあるだろうが。エツノが部屋の中へ。中にも警備の人間が多数いるようだ。さて、騒ぎになっていないところをみるとまだナキはここへ来て事を起こしてはいないかな。この後もエツノの近くにいてナキが現れるのを待つとしよう。
その後、一通り城内を見て回り、隠れやすそうなところを、なければ隠れるところ作ったりと慎重に動いた。そして、エツノの寝室に侵入することにも成功。これでナキが現れて動きがあればすぐわかる。その日はそこで少し寝た。
それから3日ほどエツノについてまわり、彼の動きを観察。王座、食堂、寝室、だいたいこの3箇所くらいかな。ナキはまだ来ていない。警備は厳重だったから時間がかかるかもしれないな。
それにしても緊張感があるな。ステルスゲームなら見つかってもエリアチェンジしたり、気絶させれば忘れてくれるんだけどね。今それをやったら一生追いかけられそうだ。
大樹で食べるつもりだった食料をつまむ。ふぁー、エツノはうまそうな料理を食べているな。とはいえここで料理に手を出して見つかったりしたら面倒だ。我慢我慢。
エツノが王座に移動。ローブを羽織り、フードを深々とかぶった男がエツノと対面した。そして彼を連れ移動、いつもとは違うところへ歩いていく。ある部屋の前にくると、警備を外し2人だけでその部屋へ。その部屋へ秘密の通路を作っておいた俺はすかさず部屋に入る。
部屋の中、何もない壁の前に立つエツノ。壁の一箇所を押すことで、隠し扉が開かれた。そこへ入っていくエツノたち。俺も入りたかったが流石に潜入がバレてしまいそうだったのでここは諦めた。
その日の夜、そこへ入ろうと隠し部屋のスイッチを探す。あった、それを押すと隠し部屋が。人目のつかない場所だからしばらくこのままでも大丈夫かな。それでも急ぎ気味に中へ。
通路は短め、すぐに部屋が見えてきた。中はかなり広く高さもある。
奥には1つの像が。なんとも禍々しい姿、そして嫌な気配を感じる。これが一体何なのか、その正体はわからないが、感覚的に考えても良いものではなさそうだ。確かあのお客はまだ帰っていなかったな。どこかで話が聞けるかも。
2日経過、その日の夜、何者かが城に潜入しようとしているところを目撃。ナキだ。彼は1人でいた兵士を当身で眠らせ、鎧を身に着け変わり身を。
後をつけていくと、エツノの前に数十人と兵士が並んでいた。その隣にはローブの客。ナキはその兵士たちの中に紛れ込んだ。
少しして1人の兵士が前に出てエツノに報告を。
「エツノ様、戦況はかんばしくない状況です。要塞2つが落とされ、残るはこの城のみです」
「そうか、想像以上に厳しいな。わかった、下がれ。それから今日皆を呼び集めたのはこれまで戦ってきてくれたお前たちに良いものをやろうと思ってな」
兵士に労いの言葉をかけ、ついてこいと王座から移動、隠し部屋がある部屋へと向かっていった。1番うしろを歩いていた兵士を気絶させ鎧を拝借、兵たちの中に。
全員隠し部屋へ。あの像、いつ見ても気味が悪いな。
「少々窮屈かもしれないが、皆この円の中に入ってもらえるか。それから目を瞑って」
言われた通り地面に書かれた円の中に入る兵たち。俺とナキも中に。俺は半目で様子を伺う。鉄仮面をかぶっているからわからないさ。
兵が皆入るのを確認したエツノは、像の前にある小さな魔法陣の近くに移動。ナイフを取り出し、腕を浅く切って自分の血を魔法陣に垂らす。すると、兵たちが居る円が薄黒く光りだした。
危険を察知し、俺とナキは円から逃げる。
「おや? 招かれざる客がいたようだ。まあいい、どちらにせよ貴様らはお終いだ」
「エツノ様、何かございましたか? ……ぐっ、ぐぅ。これは!? ガァーー!!」
兵たちが黒い炎のようなものにまとわりつかれ燃えだした。
「エツノ様、これは!?」
「うむ、お前たちを生贄にと思ってな。もう用済みだから」
「エ、エツノ、貴様ーー!!」
怒号も虚しく兵たちは炎にまかれ燃え尽きた。それにしてもコイツ、これだけの数の人を涼しい顔で殺せるとは。根っからの悪党だな。




