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38 再会

 前方奥は山、街道が1つあり、そこを塞ぐように魔物たちが。

 イナルーツの街でもそうだったが、魔物がまるでその場所を守るような行動をしているのは、不自然な気はしていた。魔物はもっと自由気ままなはずだが。そのことをラファンさんに尋ねてみる。


「わからないな。俺も変だなとは思っていた。ただ、これまでの経緯を考えれば、奴らは魔物を操っているとみていいだろう」


 魔物を操る。そんなクラス、種族は存在しなかったが、ゲームとは違うから無いとは言い切れないか。少しして仕切っている人が前に出て激励をした後、戦闘が始まった。


 まずは大量にいる魔物の分断。特にキマイラクラスは同時に相手はきつい。速さに自身がある者が魔物たちを取り囲み、各魔物を時間を合わせて攻撃、走って逃げ分断をはかる。


 指定の場所に移動をしたのを確認後、合図の炎の火柱が上がる。これを見て各自攻撃、逃げ出した。作戦はうまくいった。魔物たちは散り散りに、離れた場所で戦う部隊が待ってましたと咆哮を上げる。


 俺の方にも魔物が。ある程度引き込んでキマイラクラスを相手にする。即撃破し、他の魔物を片付けたりと周りの手伝いを。なんだかんだで余裕がありそうだ。全体的にこちらが優勢。ある部隊は数十人単位で、パーティで、俺のように1人でキマイラクラスと戦っている人も。


 しばらく戦って、魔物の数がかなり減った頃、街道からローブを羽織った団体がこちらに向かって走ってくるのが見えた。途中から深々とかぶっていたフード外しローブを投げ捨て、こちらへ必死に走ってくるように。

 山側から? 気になって近づき確認したところ、王都セブンエデンの依頼板に張ってあった似顔絵にそっくりな女性が居ることがわかった。スクアの王女セリアだ。とするとその隣りにいる子供2人は王子? 

 彼女らから少し遅れて、2人の男女が魔物を倒しながらこちらに来る。


 女性の方は誰かわからなかったが、男性は知り合いだった。バトルタウンで戦った、あのナキだ。ほー、王女の護衛の仕事をしていたのか。王女を守りながらナキと目があった。


「あなたはサイゴさん! ……あなたなら大丈夫だ。後のこと、お願いします、それでは」

「ちょ、ちょっと!?」


 ナキは王都方面へと走っていった。追いかけて話を聞きたかったが、今は王女の安全が優先だ。魔物を退治しながら後方へ下がる。

 戦闘は順調に推移、最後の魔物、キマイラクラスを倒したところで各所から歓声が上がる。


「勝ったぞー!」

「王女も無事だ!」

「うおー!」


 皆勝利の喜びを分かち合っていた。しかし1人、ナキと一緒にいた女性が肩を落とし暗い表情を。彼女は俺に話しかけてきた。


「私は王女近衛騎士隊長のリリ。あなたはサイゴさんですね、彼から思いっきり戦いたかったと聞いています。……もしよろしければ彼を助けてもらえないでしょうか」

「できるだけ詳しく話を」


 ナキは子供の頃、一族の人達とスクアの国で仲良く暮らしていた。しかしある日、魔物が彼の住む村を襲った。たまたま通りかかった剣士に助けられ1人生き残ったナキ。色々あったが、悲しい思い出は忘れようと、明日に向かい生きていく決意をする。

 

 剣の修行をしながら平和に暮らしていた彼であったが、ふとしたきっかけで村を襲ったのは国が、王が操る魔物だということを知る。何かの間違いだろうと調べていくと、それが事実であったことがわかった。こうして彼は復讐の思いに掻き立てられ、行動を開始。


「国が魔物を操っているのは確かなようです。どうやって、どこから魔物をなどはわかりませんが。それからこれは国家機密です、誰にも話さないように」


 反王の勢力にくみし、バトルタウンで力を見せ、スクアの国に雇われる。ここで成り上がり、いざ王を殺す、といった段階で、本当の黒幕がエツノであることを知る。エツノが私利私欲のために彼の一族を壊滅させたのだった。更に王が魔物を操り村を破壊した、という情報はエツノ側からもたらされた情報だった。彼はエツノに騙されていたのだった。

 王にその事を話し、全てを終わらせようとしたところでエツノが反乱、王子、王女を連れて逃げた。


 そして彼女たちを安全に送り届け1人、エツノに復讐するためまた戻っていった。


 話しながら涙を流すリリ。彼とは恋仲とのこと。

 彼女もその都度止めたが、成り上がるときに散々血を流してきて後戻りができない、奴は俺の手で、と彼の意思は固く止めることができなかったという。

 ここまでくると復讐を果たした後、彼は死を選ぶかもしれないな。彼女はそれを恐れているようだ。


「わかった、できるだけのことはしてみよう」

「お願いします……」


 エツノを1人で倒すとしたら暗殺だろう。となると王都に向かったと考えるべきか。

 泣き崩れるリリを背に、俺は王都フイナルへと向かった。

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