37 鉄の巨人
キマイラクラスはこいつ1匹かな? それでも十分脅威だ。
偵察はこんなところか。結構暴れたけれども。皆のところへ戻ろうとした時、ジャイアントが背中から剣を取り出し、それを振り上げた。おいおい、冗談だろ? と思わずジャイアントに苦情を突きつけたが、そんなことはお構いなしに無情にも剣がこちらに向かって振り下ろされた。正直俺は問題ない、かわせばいいだけだからな。だが街は豪快に破壊されてしまうだろう。
考え中でも剣がこちらに落ちてくる。仕方ない、不本意だがコイツだけでも片付けてしまおう。
「アサルトクライ」
ジャイアントにスキルをかけ、迫りくる剣は飛んでかわした。
地面に剣が叩きつけられる。何十人の人たちが同時に布団を叩いたような音があたりにこだました。攻撃力が落ちているため、少々亀裂が入った程度。
「アーマーバニッシュ」
続けてスキルを。胴体部に向かって飛び込み杖を振るう。ジャイアントの胴体は爆発するように破裂、手、頭も吹き飛んだ。
ジャイアントを片付け、外の部隊と合流。魔物の状態、中で起きたことの説明を。
「オーガよりも2段階くらい強い魔物がいまして、逃げられそうになかったのでこれを倒しておきました」
皆知らない可能性を考慮してジャイアントの名前は直接出さず話を。
突入、街の中央にはジャイアントの頭と腕が転がっていた。
「アイロンジャイアント! コイツを1人で……」
ほとんどの人が知っているようだった。流石精鋭部隊。
まだまだ魔物が多数いる。話をしている暇はなく、魔物が襲いかかってくる。街の壁の内周を周りながら魔物を退治していく。一気に中央へ行くと四方八方から魔物に襲われ非常に危険だからだ。
侵入口から見てそろそろ反対側というところで、スクア側の有志と合流。向こうの代表者が戦いながらこちらにコンタクトを取ってきた。
「同志諸君、よくここまでこれたね。アイロンジャイアントが1体、街にいると聞いていたが」
「彼が倒しました」
「え」
1度俺を見て魔物を倒しながら考え込み、もう1度俺を見てもう1度考え込む代表者の人。
考えるのは後だと声を漏らしながらスクア側入り口へ戻っていき、外にいる人達に大声で号令を。
「全員突撃だ!」
「俺達も暴れるぞ!」
スクアの有志が街の中になだれ込み、魔物を蹴散らしていく。エニス側の士気も急上昇、魔物を片付ける速度が上がる。
それからしばらく戦い続けて、ほとんどの魔物を撃破。街を魔物から取り戻した。
「俺達の勝利だ!」
「やったぞ!」
勝鬨をあげ勝利を喜び合う仲間たち。
ラファンさんと向こうの代表者がアイロンジャイアントの死骸の前で話をしている。俺が近くにいることを知るとラファンさんたちが俺に声をかけ近づいてきた。
「俺はスクア側有志代表者のユジーだ。戦いが終わったばかりで疲れているところ悪いが、もう少し俺たちに付き合ってもらえないか。キマイラクラスが多数いて苦戦している」
ラファンさんも彼らに協力してやってくれと言うので俺は頷き了承。詳しくは道すがら伝えるとのこと。ユジーさんは他の人にも話しかけ勧誘する。
人を集め終わると、スクア側へ出て馬車へ。そのまま現地へと向かった。
馬車に揺られていると状況を知っている人から話が。
王都フイナルと2つの要塞は周りを山に囲まれており、頑強な防御力を誇る。そしてそこへ行く道を強力な魔物たちが占拠してしまっている、これを俺たちで片付けてもらいたいという話だった。
反エツノ派がそこで戦力を削がれてしまっては王都は落とせないからな。対魔物戦はかなりの戦力で挑むようだな。周りにはかなりの数の馬車が。
魔物を倒すために拠点としている街、アジリが見えてきた。周りにはおびただしいほどの魔物の死体、そして腐臭が漂う。さすが最前線。
街に入り夕食を終えてから街の闘技場へ。かなりの人数だ。
「隣国から有志たちが来てくれた! ただそれでもまだきつい戦いではある。アイロンジャイアント級が10体。現状の人数の割り振りからするとどうしても3匹ほど手に余ってしまう。そこで1パーティくらいでも倒せると力に自身がある人たちは手を上げていただけるか」
先ほど倒したから手を上げるか。俺以外にもかなりの数の人が手を上げている。見たことない人も多数、ここには強者が集っているようだ。
そんな中ここを取り仕切っている人が俺に顔を向け首を傾げていた。
「あなたのパーティは?」
「俺は1人だ」
ユジーさんが軽く説明を。
「そ、そうですか。まあ勝てれば……」
翌日もう1度集まり人の割り振りを発表。そして次の日、いよいよ魔物退治へ。




