35 情報収集
兵士たちがざわめく。こちらとしても強烈な情報を聞いてしまった。モリバニさんたちは急いで建物の中へ。出発しようとしていた俺達だが、話が終わるまでここで待っていることにした。
しばらくして会議室から兵士たちが出てきた。俺たちはモリバニさんに声をかけた。
「そうですね、申し訳ありませんが現在説明できることはありません。我々はこれから王都へ帰ります。それでは」
急ぎ足で外へ出ていった。我々も外へ。モリバニさん、クリクさん、他国の関係者らしき人たちが馬車に乗り込み、ここから出立していった。
「これからどうする?」
「大樹に行こうと思っていたけど、うーん、それどころではなくなるかもしれないよな」
大樹で狩りをしていて気がついたら国がなくなっていた、となったら洒落にならない。流石にないとは思うけど。
今後どうなるか様子を見るべきか。3人と話し合い、一旦王都へ行ってまとまった情報が流れてくるのを待つことにした。
王都に到着。街中が騒がしい。やはり隣国が陥落した影響が出ているのだろう。俺たちはギルドへ。
「これからどうなることやら」
ギルドは隣国陥落の話で持ち切り。ただ、どう考えても尾ひれがついた話があったりで、場は多少混乱気味だった。情報を精査していくと3つほどわかったことがあった。
1つ目は首謀者、名はエツノ。スクアの国の貴族で、軍事力、経済力共に1番の力を持っているいわれている男。2つ目は王の生死。残念ながら王、王妃、1人の王子が殺されてしまったようだ。王子2人、王女はどうやら無事逃げたという。どこへ逃げたかは不明。更に王女セリアはエニス国の王子、アルベルの婚約者だとか。ギルドの掲示板に依頼とともに彼女の似顔絵が貼られていた。
3つ目はスクア国の状況。王都、要塞2つを彼らが占拠。エステンに近い街、一度魔物によって崩壊した街、イナルーツが再度魔物に襲われ、現在魔物に占拠されているのだとか。
それから2日ほど情報収集をしていると、モリバニさんの使いと名乗る人から声をかけられた。ローブを深くかぶり少々怪しい雰囲気。一応話をしてみることに。彼の後をついていくと、とある店に入り、それから個室へ。
「申し訳ありません、モリバニさんは国の者として名が売れているので私が代理で」
「どうしました」
「現在信用できる冒険者を集めております。お国の仕事をお願いしようと。受ける受けないに限らず他言無用で」
「聞かせてもらえますか?」
これから王都奪還作戦を敢行予定だとか。その前哨戦として、イナルーツの街を取り戻すと言う話をしてきた。
現在イナルーツは情報通り魔物に占拠されているとのこと。ここを国の兵士を使って取り戻すとなると後々面倒なことになる。そこで、冒険者や強者、国には関係ない人が魔物退治を名目に街を開放させようという話しだった。
「イナルーツさえ取り返してしまえばこちらのものです。反エツノ派人数は少なくありません。彼は周りを蹴落とし力をつけてきました。当然彼を良く思っていない人は多いのです。街の開放で一気に増えることになるでしょうね」
なんとなく察した。兵士がスクアに入り込み変装してエツノを叩くってことかな。
しかし、街を占拠している魔物が強力なのだとか。オーガドラゴンクラスの強魔物も確認されたそうだ。
「もし力を貸していただけるのならエステンに向かってください。報酬は後ほど、かなりあとになると思いますが」
繋がりを見せたくないわけだからな、仕方がない。
使いの人別れ、一泊。今のうちにサイゴに変装。こちらの姿のほうが先頭でも動きやすいからね。ミア、イリスとは時間をずらしてエステンへ。
途中反対方向へ移動していく人達を見た。エステンから逃げた人たちかな。エステンの街の近くまで来た。辺りには魔物の死骸が大量に転がっている。エステンにも魔物が襲ってきているわけだ。それで住人たちが逃げていたのだな。
街に入りギルドへ。いつもは依頼書がたくさん貼ってある依頼板には1つだけ依頼が。
『魔物討伐!』
こんな状態じゃそれしか無いか。前に行ったエステンの壁へ。冒険者、兵士たちが多数、外へ向かって遠距離攻撃を。壁外側は死屍累々、魔物の死体が山のように積み重なっていた。
ミアがここにはかなりの数の強者が来ていると目を輝かせていた。
そういえば王子と行動していた冒険者はいないようだな。彼らは王子とよくいるから「国からの司令を受けて」と思われる可能性があるから来ていないのかな。それからバトルタウンにいた人が結構居るな。
翌日、翌々日と襲ってくる魔物の数が徐々に減り、5日後にはほぼ魔物がこなくなった。
「よーしここはだいぶ片付いた。皆、ここはこれくらいにして今後の話をしていきたいと思う。兵士の人はここに残ってもらって、他は訓練場の方へ行ってくれ」




