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34 想定外その2

 朝起き、戦う準備を済ませトンネル前へ。すでにモリバニさんとクリクさんがそこで待っていた。


「おはようございます。準備はよろしいですか、ではこちらへ」


 クリクさんが巨大ランタンを運び、モリバニさんが案内を。入り口の兵士が見えなくなったくらいのところに隠し通路が。案外近いな。

 少し出っ張っている石をモリバニさんが押すと、壁が動き出し通路が現れた。その通路には巨大ランタンが置かれており、光源を持ち歩かなくとも通行できそうだった。


「我々はここまでです。この通路の先、トンネルを抜けた先に狩場があります。戻るときですが、ここにある赤色の石を押してください。扉が開きます。それではご武運を」


 2人に挨拶をし、俺たちは奥へ向かって歩き出した。トンネルだというのになかなかの距離がある。しばらく歩くと前方に明かりが。トンネルの出口だ。

 トンネルから出ると左右が断崖絶壁の場所に出る。道幅は狭い。大きな魔物はトンネルまで来れないだろう。断崖絶壁を抜けると、手前に草原、その奥に大きな森が見えた。


「今のところ魔物は……!」


 ミアが会話をしようとこちらに顔を向けた時、森から魔物の咆哮が聞こえた。しかも1匹ではない、数匹、同じ魔物だろうか。咆哮が終わると大地を揺らすほどの振動が。魔物が森から出てくる。

「アルティメットキマイラ」、様々な魔物の合成獣、ゲーム物語終盤に出てきた魔物だ。オーガドラゴンの2段階上の相手。現在の2人では範囲攻撃を食らったら致命傷を負いかねない。ソレが3体。これは撤退するしかないな。


 それでも俺だけは残って戦ってみようかな。見たところ、こちらに本気で走ってきているようだがそんなに速くはない。危険を感じたら逃げればいいだろう。


「ミア、イリス。2人は撤退してくれ。俺は少し腕試しする」

「わかったわ。無理はしないでね」


 危険な相手と察したのだろう、2人は戦おうとはせず一目散にトンネルへ。徐々に振動が大きくなる。大きい。小さな観覧車くらいの大きさはあるんじゃないかな。それが3体もこちらに向かって走ってくる。なかなかに壮観、冷や汗、高揚して? 汗が頬をつたう。

 先頭を走る1匹がそろそろ俺のスキルの間合いに入る。


「ポイズンブラッド」


 命中、だが勢いは止まらず、こちらに向かって突っ込んできた。相手の脇へ逃げようとしたところ、そこへドラゴンの頭が炎を吐いた。これを地面をたたき、土の壁を作りつつかわす。


 キマイラの動きが鈍くなる、ようやく毒が効いてきたかな。その場に倒れて動かなくなった。

 次に襲ってきたキマイラにはミストアイをかける。動きを止めその場で首を振ったり、前腕で目の辺りをこすったり。霧を晴らそうとしているのかな? それでは取れないけど。

 3匹目にはアサルトクライを。その後獅子に似た魔物の頭から衝撃波が発せられた。が、ノーダメージ。キマイラの身体を駆け上り、5つある頭を全て破壊するとキマイラは動かなくなった。


 残ったキマイラの背中にアーマーバニッシュを放ち、そこへ向けて杖を振り下ろす。背中から腹部までがえぐれ、前足と後ろ足が2つに別れ地面に倒れ込み絶命した。


 いつもよりは苦戦したな。それからやはりここは狩場としてはきついかな。さっきの衝撃波は全体攻撃、素の衝撃波を2人が耐えられるかどうかは微妙なところ。大樹で狩りをしたほうが良さそうだ。


 おっと、3匹は同士討ちしたことにしておかないとな。見たこともない魔物だった、と他の冒険者と足並みをそろえるとするか。

 今後のことを考えながらミアたちのもとへ。


「アレを倒せたのね。アナタは本当に」


 呆気にとられている2人連れトンネルへ。打ち合わせをした後、外へ出た。


「強そうだったんで引き返しました」

「そうですか。ご無事で何よりです」


 暖かく迎えてくれるモリバニさんたち。会議室で詳しい報告を。最終的に同士討ちを始めたと伝えた。

 今日はゆっくりしていってくれとモリバニさんが俺たちに。大変な依頼だったから落ち着くまではしばらくここにいてもらっても良いとのこと。3人共元気だったけど「きつかった」を演出するため、お言葉に甘え数日お世話になることにした。


 その日の夕刻前、外が少々騒がしくなった。なんだろう、他の冒険者が突入したのかな?


(ア、アルティメットキマイラが全滅です……)

(なんてことだ。手塩にかけた魔物が。同士討ちを始めたと言っていましたね)


 あれから3日。そろそろここから出て大樹で狩りに向かおうと、モリバニさんに声をかけようとしたところ、国の馬車が俺たちの進路に割り込むように走っていった。危ないな。

 馬車はトンネル前にいるモリバニさんのところへ。中に乗っていた人が急ぐように馬車を降り、モリバニさんに駆け寄った。


「隣国スクア、王都フイナルが陥落しました!」

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