33 想定外
「改めまして、私はモリバニと申します。実は死霧の渓谷の調査をお願いしようと。出会った魔物は倒してしまって構いません。戦わないように行動する必要もありません。そうですね、積極的に狩りをしてもらって問題ありません」
むむむ、これって。一瞬考えてしまった。どうやらいきなりゴールにたどり着いてしまったようだな。ミアと顔を見合わせ、思わず笑ってしまった。
死霧の渓谷の調査。内容は簡単、出会った魔物、見た魔物を記入していくだけ。
このまま話が決まっってしまいそうだったので、一旦話を切り、ミアと相談後、もう1人仲間が揃ってからにしたいとモリバニさんに話を。
「はい、そのつもりです。失礼ですがミアさんのここ最近の行動を調べさせてもらいました。そうですね、モンスターラインでS-1に上がったくらいから。おかしな方には任せられないので、そのあたりはご了承ください」
どうやらイリスのことも知っているようだ。なかなか怖いな。多分俺の正体はバレてはいないようだが今後はもっと慎重に変装するとしよう。
とりあえず話はここまで。3人揃ったら話の続きをすることに。
その後は王都で金策、観光等をして過ごし、頃合いを見計らってアクリミガへ。
100の街に入りイリスを探す。公園で暇そうにしているイリスをみつけた。
「来たか。丁度良かった、最近は誰も相手をしてくれなくなってな、暇してたところだ」
順調に上がって現在1位、すでに2回1位を取っていて、審査は明日。これはほぼ確定かな。翌日、イリスは1位をキープ。
受付に行って引退の手続きをし、後は次回審査の日を待つだけになった。
受付を済ませるとモリバニさんがこちらへ。
「おめでとうございます、イリスさん」
イリスの1位キープを祝ってくれるモリバニさん。
そこから早速お仕事の話を。
「知ってはいると思いますが、魔物の強さはロマロダにいる魔物以上です。隠し通路の先は霧、火山はありません、安全です」
「はい」
今から20日後、侵入期間は30日、延長可、途中辞め可。充分な準備をして死霧の渓谷、兵士詰め所に集合ということで話がついた。それから我々以外にも何人かに声をかけているとのこと。
イリスの件もあり、俺達が一番最後の依頼者になるのではとのこと。
「では失礼します」
モリバニさんと別れ俺たちは、渓谷侵入の計画を立てる。問題は食料かな。一旦切り上げて街へ行って食料の補充は問題無いとモリバニさんが言っていた。とりあえず30日分でいいか。
3人分の食料30日分か。無限アイテム袋に入れて楽をしたいところだけど、行ったときに軽装ではとても怪しいよね。ここは通常通り30日分を運ぶとするか。
あれから20日経過、俺達は今予定通り渓谷前兵士詰め所に。トンネル入口付近が何やら騒がしい。行ってみると血だらけで怪我をしている人を国の馬車に乗せていた。
兵士の話では渓谷に入ったばかりの冒険者が大怪我をし、これから街へ搬送されるところだという。
モリバニさんともう1人、クリクと名乗る人がこちらに声をかけてきた。この人も国からの使者のようだ。軽く挨拶をしてから爪所にある会議室で話をすることに。
「どうやらとんでもない強さの魔物が生息しいるようで」
「彼らもかなりの強さなんですけどね。それでも入ってすぐに撤退してきました」
「我々が声をかけた中で一番強そうなのはあなた方です。ですから参考にはならないかもしれないですが、充分に注意を」
どんな魔物か聞いたところ、色々な魔物が合体している姿で、彼らからして見たことも聞いたこともない魔物だったとか。
俺はなんとなく察した。奴だった場合、即撤退は仕方がないだろうな。
一応渓谷侵入の意思があることを伝える俺たち。今日1泊して、明日の朝に出発することで話がついた。
兵士の人が詰め所の宿泊所まで案内してくれた。
「モリバニさん、どうやら予定通り進んでいるようですね」
「ええ。死霧の渓谷に行こうとする者が後を絶たないから強い魔物を解き放って「危険な場所」という認識を持ってもらう策ですが、今のところうまくいっていますね」
「実際に経験するわけですからね、噂とは違い言葉に重みがある。彼らが話しを広めればここに来る者がいなくなることでしょう」
「この場所は出来るだけ人目から避けねばなりませんからな」




