32 金策
一旦別行動を取ることにした。俺は王都で情報収集、ミアは死霧の渓谷の件で、ギマさんにお願いしに行ってみるとのこと。最終的には王都で合流することになっている。
到着後、早々に高ランクの狩り場の情報が手に入る。
隣国スクアにある大きな砂漠「ダイランズ砂漠」の中心に狩場があるとの話。ダイランズ砂漠はスクアの隣国ニドウにも広がっている広大な砂漠。
ただこれ以上の情報は手に入らなかった。後は現地へ行ってみてかな。
後は金策をすることに。ギルドでは稼げないので賭博場で稼ぐ。レースも稼げなかったな。ミアが来るまでここで。
悪いとは思いつつ、旅費がばかにならないのを考えると金策がどうしても必要になってくる。特にこのままいくと大樹で狩りをすることになりそう、大樹では報酬なし、となるとある程度稼いでおかないと。
いつもの格好に変装し賭博場へ。
店員たちは顔、行動には出さないが警戒されている感じはする。前回勝ち続けたのと、もしかしたらアクリミガの情報もこちらに流れているかも。そもそもイカサマを疑われたけど。
それから俺は稼ぎ続け、10日ほど過ぎた。今日も賭博場で金策を。
「兄さん、景気が良さそうだな」
賭けをしていると強面の男に声をかけられた。顔に刃物傷、手に刃物。ソッチ系の人だろうな、怖い。
「あれは、怪しい客の排除か?」
「イカサマはしてないけどずっと勝ち続けていて、胡散臭いからな」
「外まで付き合ってもらえるかな」
外へ出て人気の少ない場所へと入っていく。そしてそこには彼の子分と思わしき人たちが。
彼らは俺を囲み、刃物を持った男は俺に話しかけてきた。
「おにーさん、ちょっと勝ちすぎたね。ありえないほど。なにかしててもしてなくても、悪いが今後賭博場へ顔を出すのはやめてもらえるかな?」
露骨な手段を打ってきたな。国営でまさか脅されるとは思わなかった。ただいきなり手を出さないのは国の良心といったところだろうか。
そうだな、今まで負け無しだったのは流石にまずかったか。だけどここで腕力に屈するってのもな。
ハー、普通に店員さんがもう来ないで! って言ってくれてたらやめたかもだけどね。いきなり実力行使とは感心しないな。
「断る」
「そうかい、では痛い目に会ってもらうよ」
刃物を持った男は後ろに下がり、子分たちがこちらに。数が多いな、全員手加減は大変だから地面叩いて脅すとしよう。
持っている杖で地面を叩く。地面は大きく陥没、子分たち、刃物の男は逃げ腰に。
「ヒッ」
「いいかな」
彼らを置いて賭博場へ。店前にいる店員さんが何でここに!? という顔をしている。気にせずカードを見せ賭博場へ。
ふむ、これである意味負い目はなくなったな。それからミアが来るまで、俺は賭博場で目一杯稼ぎ続けた。
数日後、ミアと合流。ギマさんに聞いたが「俺はそこまでの権力を持ってねえ」と一蹴されたらしい。仕方がないか。それにしても。
「ミア、誰かにつけられているようだが気がついているか?」
「ええ、わかっているわ。どうもランクスの街からのようね」
相手に気づかれないよう、小声で会話を交わす。セブンエデンまで来ればついてこないだろうと考えていたが、どうやら甘かったとミア。
俺はもしかしたら賭博場関係の人かと思っていた。今は着替えているしそう簡単にはばれないよう気をつけている。正体を知られると面倒だからソッチ関係者ではなくてよかった。
このままつけられるのも気持ちのいいものではなかったので、捕らえて事情を聞くことにした。本当のことを言うかどうかはわからないけど。
人気のないところへ移動。ミアが急に振り向き、つけている人に向かって猛ダッシュ。しまったという顔をしたが、手を上げすぐに観念した。
「さ、流石ですね、ミアさん」
「私を知っているの?」
「ええ、バトルタウンで1位を取った方、更にチャンピオンファイトの挑戦権まで持っていますね」
そうか、ミアの力目当ての人だったか。それなら納得。
ただ、そういうことならお断りして終わりかな。
「私どもは国に仕える身。実はミアさんにお仕事を思いまして」
「ごめんなさい、そういったことはお断りしいてるわ」
「ちょいと待った」
国の人、ここで俺の脳内に稲妻が走った。ひらめいた!
もしかしたらここから国に取り入ることが出来るかな。簡単な依頼ならこなしていき死霧の渓谷へ行くことを許可してもらえるかも、そう考えミアを説得、とりあえず「お話だけ」聞くことに。




