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23 修行

 参加者だったのか。ふむ、受けようかな。ふふふ、俺が色々教えてやるぜ!

 受けようと立ち上がろうとした瞬間、体の変調に気がついた。た、立ち上がれない。もしこのまま立ち上がったら、死ぬ。

 社会的に!


「どうしたの、受けてもらえない?」


 目の前で待っている女の子は目線を合わせようとしたのだろう、ちょっと前屈みになった。前方に見事な渓谷が出来上がる。く、ますます立ち上がれない。

 駄目だ、断るしか無い。お断りなしの記録はなくなることになるが社会的に死ぬよりましだ。はー、覇者だの何だのと調子に乗ったから神様が俺に天罰を食らわせたのかな。


「お嬢様ー、まずは50位上からですぞ」

「そうなんだ。ではそこへ」


 断ろうとしていたところ、執事の格好をした歳のいったご老人が彼女に声をかけた。そうか、それなら戦えないな。助かった。

 落ち着いたところでその鎧が本当に効果があるのか気になり、聞いてみた。


「この鎧は戦闘が始まると魔力で体中を覆う透明な膜を張る。なかなかに強力な防御力を得ることが出来るよ。ちょっと私の肌を触ってみて」


 言われた通り腕を触ってみる。かたい。よく見ると透明な何かが彼女を覆っていることに気づく。

 軽いため、機動力重視なら選択肢にいれるのもありとのこと。ちゃんと機能性があるんだな。ただこれを発生させている間はつねにSPを消費するため使い所は限られるようだ。

 そして王都の賭博場にあるとの情報を手に入れる。ラスボス前に大きな賭博場でアイテムを交換したときは確かなかったはず。ということはゲームにはないがこの世界にはあるということか。


 神様ありがとう!


 それにしても危険な相手だった。もしあの老執事があの時来なかったらと思うと。背筋が凍りつく。周りを見渡す、男性陣はほぼ皆その場で座っていた。わかるさ。

 俺たちは皆去っていく彼女の背中を悟りを開いた心で見送った。


 あれから25日、平和に時が過ぎていた。結局あの子以外俺に挑戦してくる人はいなかった。次の審査で合計30日となる。チャンピオンファイトの挑戦権は無事取れそうだ。

 

 食べ物を買って公園で食事を。隣に女の子が2人座る。ミアとイリスだった。周りに他の人の気配はない。ミアは顔をこちらには向けず俺に話しかけてきた。


「そろそろ街を出ようと思うけど、どう?」

「丁度俺も抜ける予定だったんだ」

「了解、ファインの街で落ち合いましょ」


 運営側に次回審査で引退することを告げる。

 それから審査の日。無事に挑戦権を手に入れる。そして引退した。


「お疲れさまでした、また来てくださいね」


 友達は出来なかったけど、拳をかわして仲が良くなった人が何人かできた。こういう風に仲が良くなるのもありかなーと思いながら建物の外へ。

 何人か戦った人たちと目が合う、軽く手を振りながら俺は馬車へ。


 街から出発、途中宿場町を経由、2日後ファインの街に。ファインの街に入って人気のないところで着替え。ミアたちを探す。

 そして街の公園でみつけ、声をかけた。


「久しぶり」

「久しぶりね」

「そうはいっても街でよく見かけたがな」

「違いない」


 彼女たちは最終的にミアが49位、イリスが72位、これ以上、上がりそうにないということでやめて街を出てきたようだ。


「これからどうする?」

「この後は修行ね。魔物たちが多数住む場所、通称モンスターライン、ロマロダ要塞に行こうと思う」


 モンスターライン、魔物が多数生息する地域で魔物がこちらに来ないよう巨大な要塞を建設、そこに冒険者や兵を多数置き、人が住む場所へいかないようにしている場所、とのこと。

 鍛えるなら魔物と戦ったほうがステータスの上がりが早い。実際バトルタウンではほとんどステータスの上昇が見られなかった。命のやり取りをするから上がりがいいのかな、とギマさんが言っていたのを思い出した。


「他どこか行きたいところはある? モンスターラインに入るとしばらく出られなくなると思う、そこそこの距離があるからね」

「それなら王都に行っておきたいかな。観光や賭博を、それからチャンピオンファイトのことも調べておきたい」

「いいわね、王都にいく?」


 全員納得、次の目的地は王都に決定。3人合計するとお金はかなりあるようだった。今回は基本的に馬車旅をすることに。

 それからチャンピオンファイトのことを軽く説明。2人も修行が終わったらまたバトルタウンへ行く! と意気こんでいる。


「とりあえず川の向こう側へ行こうか」


 ここには大きな川が。橋はなく船で渡るようだ。船で対岸へ。こちら側にも街がありここで宿を取る。

 もうじき夕刻、3人で食事を。


「サイ、いやリク。はっは、名前を間違えてしまいそうだ」

「しばらくは気をつけてくれ」

「1位おめでとう」

「おめでとう」


 2人はこちらに体を寄せ小声で祝福してくれた。おぉ、コイツは嬉しいね。へへ、お兄さんを泣かせてどうするのさ!

 その日は遅くまで飲み食い。気がついたら朝日が。


「今日の出発は諦めて、まだまだ飲むぞ!」

「おーう!」


 こうして俺たちは5日間飲み食いを続けるのだった。

しばらく休みます。

次回投稿は7/4。

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