21 魔術士
そのまま審査の日に。ナンバー1の戦闘も見られなかった。
「いいだろう、勝負を受けよう」
ナンバー2と闘技場へ。結局彼の爆砕魔法も見ることができなかったな。正体不明な魔法に一抹の不安をおぼえる。名前からある程度察せられるが。
「はじめ!」
戦闘開始。お互い仕掛けず様子見。時間が少し経過、向こうは全く動く気配を見せない。ならこちらからいくか。真っ直ぐ走って彼に杖を振るう。左肩に杖が当たった瞬間、杖が爆発とともに少し弾かれた。
「マジックバースト!」
リアルは左肩の爆発と同時に右手でスキルを放つ。体勢が崩れていたがそのスキルをなんとかかわした。魔法が同時に。それは不可能なはずだ。となると防御系の魔法をすでに使っていたっってところかな。
俺の攻撃を受け少し吹っ飛んでいるリアル。ダメージが入っているようだった。
(嘘だろ、オートデトネーションでダメージを殺せなかった)
「爆発する防御スキルで攻撃を弾いた?」
「そんなところだ」
ポーションを数個使うリアル。回復し再び戦闘態勢に。同じく攻めてくる気配はない。あの防御スキルはなかなか厄介だった。だがゲームの性質上連続して使えないから同じ手は使えない。いや、そうでもないか。その上級か下級の魔法なら同じ戦法をとることができる。となると叩きにいくのは危険だな。そうだな、スキルを使って勝負を決めてしまおう。
「ポイズンブラッド」
スキルを放つと、リアルは瞬時にアイテムを取り出しそれを飲んだ。あれは毒消し薬。それにしても反応が早い、そうか何試合か使っているからな、情報はすでに流れているわけだ。
「情報ってのは大事だからな」
「そうですね」
近づかずに勝負を決められるスキルはこれだけ。あとは反撃覚悟で攻めるしか無いか。
(そう、情報は大事だ。やつは最初の一手を加減して攻撃、様子見することが多い、それでもダメージを食らったが。あれで加減しているのかよ。オートデトネーションより上位のオートエクスプロージョンを使ってあるが勢いを殺せそうにないな、さっきより強く打ち込んでくるだろうし。まあ意識さえあればポーションで回復できる。はは、40年間魔法の修行を続けてきて、これまで遭遇したことのない窮地に出てきた答えが「根性」とはな。弟子共には気合じゃ何も解決しない、考えろって言ってきたのに。が、嫌いじゃない)
相変わらず攻めてくる気配はない。
杖をぶん投げる? いや、正直どんな攻撃をしてくるか確かめてみたいところもある。甘いかなと思いつつ杖で攻撃を仕掛けることに。誘いに乗ったことになるかな。もちろんスキルは使うけど。
「ショックスタン」
リアルの動きが止まる。近づき杖で同じ箇所を攻撃、今度は強めに。先程より強く弾かれる杖。そして先端が爆発で吹き飛ばされてしまっていた。
リアルの体は先程の攻撃で吹き飛び壁にめり込んでいた。今度は起き上がる様子はない。
「勝負あり!」
「はーっはっは、やはり強いな」
観客席から大きな声が聞こえた。その声の主は、ひとっ飛びで俺の前まで。ナンバー1、シードだ。
「どうだ? そろそろいいだろう」
「そうだな、勝負しようか」
「シードがここで戦う気だ! やべぇ、逃げろ!」
途端に観客席がパニックに。何が起きているのかわからず観客たちを眺めていると、シードが苦笑いをしながら「前に観客席まで破壊した」と話した。なるほど、それは必死になるわけだ。それで特別闘技場を自分で作ったわけだな。
「流石に移動する。その前に疲労があるだろう。回復してやろう」
これは! 敵役になったら1度は言ってみたいセリフナンバー3、「回復してやろう」か!
敵役でもボスクラス、しかも武人肌でなくては決まらないセリフ。一回言ってみてー。「スターヴェイン」とスキルを唱えるシード。地下から巨大なエネルギー体が現れ俺とシードを包む。
「こいつは地脈から力を吸い出すスキルでな。しかも永続で。そうだな、首だけになっても復活できるくらいの回復力を発揮する」
そいつはチート技だな。稀にあるバランスブレイカー系のスキル。ネトゲやソシャゲで味方がそんな技使えても即メンテして修正されるだろう。敵の場合はしばらく放置することも結構あるのに!
「あっと、流石にSPは回復できない。ノリでああ言っちまったが、どうする、後にするか?」
「このまま戦闘で構わない」
「わかった」
SPは大量にある。1戦で足りなくなるのはミアくらいじゃないだろうか。そもそもスキルは連続使用が出来ないからな、そんなに使わないってのもあるしナッツでとんでもない量をげっとしてしまったんだよね。岩山に囲まれた闘技場へ移動。審判員は始めの合図をしこの場から撤収。




