20 一撃
ナンバー1、巨人族のシード。巨人族と言っても大きさは俺と同じくらい。巨人族の末裔で力はそのままに大きさは人間くらいにまで小さくなったという話だ。
この街最強の戦士。誰に聞いても強い、最強、情報屋も強い、最強と言っていたな。
「いや、今日は様子見だ」
「そうか。挑戦はいつでも受け付けているからな」
彼の戦いを見ようと、夕刻までここで粘ったが誰も来なかった。その日は街に帰り一泊。
その後も審査日まで戦わず見に徹した。5位まで皆無敗、1位シードに至っては誰も挑戦する者は居なかった。彼らの順位は変わらなかった。
他、負けたり引退したりして順位が入れ替わった。俺は審査で6位に、7位に精霊使いのゴクイ、8,9、10は下から上がってきた者たち。
こうして俺は10位以内に入ることができた。
今回あがるのは想定外だったな。グンタリ、ビレク、アマシカが引退。シルバーは負けが込んで12位に。引退と言ってもまたランキングに参加することは出来る。また戻ってくる人は多いそうだ。ネトゲと一緒だな。
運がいいのかな。残り5人になったわけだから。ただ曲者揃い、簡単にいくとは考えず注視していこう。当然下からも対戦の申し込みがあるかもしれない。こちらにも気を配らねば。
では順番通りに狙っていくか。まずはナンバー5、パラスから。こうして彼を探してたが、先を越されてしまっていたようだった。挑戦を受け闘技場に移動するパラスを見かける。このレベルだと全快状態で戦いたいから1回戦ったら半日休むという流れが基本。もちろん余裕があれば戦うが。もうすでに次を狙っている参加者が多数いるようだ。ここは一旦引くことにした。
ナンバー4、キーシンのところへ。彼もすでに対戦が決まっているようで、対戦者とともに闘技場へ向かっていた。審査明けというのもあるかな、早めに勝負して審査の大勢を決めておきたいってのは皆あるだろうからね。
仕方なくナンバー3、ハーンと戦うために教会へ。教会の中に入るとハーンは祭壇の前で祈りを捧げているところだった。
「サイゴさんですね。申し訳ありませんがお祈りが終わるまでお待ち下さい。そんなにお待たせはしませんので」
空いている椅子に座った。
前回の審査まで誰からも挑戦を受けている様子はなかった。情報屋の話では3以上は別格ですぎてあまり対戦がおこなわれないという話だった。
確かに3以上の戦いは一方的、挑戦者が手も足も出ず負ける姿ばかり見てきた。
「お待たせしました。それで御用は?」
「対戦を」
「よろしいですよ」
挑戦を受けるハーン。その表情はとても穏やかだった。闘技場に到着。俺とハーンは向かい合った。
ハーンは上着、防具を脱ぎ捨ててしまった。どういうことだろう?
「あなたのことはすでに調べてありますよ。ええ、私では逆立ちしても勝てないでしょうね。ですが私にも意地があります。よろしかったら我が最大最強の拳をお収めください」
なるほど、1撃のために防御は捨てたと。ふむ、これは受けて立つしかないな。
静かに構え、開始の合図を待つハーン。俺も杖を眼前で持ち、防御の体勢えを。
「はじめ!」
「ありがとうございます、受けてくださるのですね。では参ります」
ハーンはこちらににじり寄り、間合いに入るとこちらに攻撃を放った。
「ウォールデストラクション!」
強烈な前蹴りが俺を襲う。
杖でハーンの攻撃を受ける俺。この世界に来てから最大の衝撃がこの身に。
攻撃の勢いを殺しきれず、足で地面を削りながら身体が後ろにさがっていく。後ろへ5歩分くらい下がったところでようやく止まる。そして杖は三日月のように折れ曲がっていた。
「やはりまるで話にならないようですね。ダメージ0とは」
一瞬悲しそうな顔を見せたハーンだったが、すぐにいつもの穏やかな表情に戻った。
「私の負けです、ありがとうございました」
「勝負あり!」
「アナタならナンバー1に勝てるかもしれない」と言い残しハーンはこの場を去った。ナンバー1はそこまで強いということだろう。ハーンの言葉を頷きでかえした。
さて俺の勝ち。だが杖が曲がって使い物にならなくなってしまった。前にかなり連戦したからブルー杖を装備できるのでは、と武器屋へ確認に。しかし装備できなかった。
仕方なく賭博場へ。コインが少なくなっていたので賭けをして増やした。勝ちすぎたため、途中イカサマを疑われるも問題ないことがわかり、引き続き稼いだ。そうだ、1本では足りないよな。ちょっと多めに稼いでおこう。泣きそうな店員たちを尻目に俺はコインを増やし続けた。ごめんね、でもこの杖が欲しいのです。
杖を5本手に入れて賭博場から去った。いい時間になっていたためその日の戦闘は切り上げる。
次の日、朝早くから急いでナンバー4、5のところへ。だがまたしても先客が。宿泊場の前にいくつかテントが。どうも出待ちしているようだった。これはしばらく無理かな。今日も4と5は諦めた。
ということでナンバー2を狙うことに。よくいるという図書館へ向かった。が、図書館に半日ほど居たがリアルは来なかった。もう少しまとうかなと考えていると、そこの職員の人が俺に声をかけてきた。
「もしかしてリアルさんを待っているんですか? 残念ですが彼は査定の日までお出かけと言っていましたよ」
ありゃりゃ、そうか。それならば仕方ない、諦めよう。
そうなるとナンバー1か? 出来れば1戦くらいは見ておきたいな。もう少し様子見しよう。




