18 強者たち
20勝、0敗。あれ? 強すぎるぞ。運に身を任せているんだがな。
そうか。運か、運のステータスか。このステータスもナッツの食べすぎでかなり上がっている。しかし、なんのために存在しているステータスかと思っていたが、このゲームではギャンブルが強くなるステータス、ってことでいいのかな。
他ゲーだと死にステなんて言われることがあるけどこのゲームではそこそこ意味があるな。あ、今までこのゲームでも死にステだと思っていました。
(そんなバカな! 20戦だぞ、俺が全敗なんてありえない! イカサマか? いや見たところサイコロに細工はない。豪快にサイコロを投げ込んでいるから技術的なものでもない。単純に強い、ありえないほど。……勝ちたい。イカサマを)
もう1勝負、サイコロを投げるアマシカ。だがどうにもサイコロの動きに違和感を感じた。先程まではしていない動き、まさかイカサマか。そう、速さを上げすぎたせいでサイコロの動きもスローモーションに見える。そのサイコロ、1つのサイコロの動きがおかしい。俺は誰にも見えないスピードでサイコロに印をつけた。
数字が出たらサイコロを掴みこちらに渡してきた。怪しい動きだ。素早く手を戻そうとするアマシカ。サイコロを確認、印がなくなっている、確定だろう。彼の腕を掴み捻り上げる。手の中にはもう1つサイコロが。
審判がサイコロをチェック、高い数字が出やすいイカサマサイコロだった。そして俺が振ろうとしたサイコロは低い数字が出やすいサイコロ。
そのまま俺の勝利。アマシカは倒れるようにテーブルに突っ伏した。
今日の偵察この辺でやめておくか。一杯引っ掛けて宿泊所に。翌日、食事を終え宿から出る。ここからだとナンバー8がよくいる場所が近いかな。情報屋から聞いた場所へ、そこには枯井戸が1つ。
1人の観光客が喉の乾きを潤そうと枯井戸に近づく。「枯井戸使うべからず」と案内板に書いてあったけど、それが目に入らず井戸まで来てしまったのかな。
「キャー!」
井戸の中を見た観光客の女性が、叫び声を上げながらここから逃げていく。一体何が。
恐る恐る井戸の中を覗く。井戸の中には梯子がかけられており、そこを上がってきている男が1人。しかし、人ではない。人の体の上に魚が乗っている亜人。
ナンバー8、魚頭人族のビレク。見た目が非常に衝撃的な亜人と情報屋から聞いなかったら、俺も悲鳴をあげてその場から逃げ出していたことだろう。
「まったく失礼な奴だ。人の顔見て逃げて行きやがった、慣れてはいるがな。枯井戸だって? そいつはオイラが直しちまったよ。今みたいにお客が来ると面倒だから立て札はそのままだけどな。ん、あんたは参加者か」
戦う気がなかったため素直に偵察中と彼に伝えた。彼もその気がないらしく、それどころか引退を考えている最中だとか。彼の話を聞くことに。
「我々魚頭族は昔らから強い種族と呼ばれていて、その中でも俺はかなり強い方だったのよ。それで力試しがしたくてここへ来たんだが、陸上では力を発揮できなくてよ」
その状態でここまで上がったのならかなりの強さなのだろうなと、うなずく俺。「川や海の中ならつええぜ」と語るビレクだったが、川や海の力を使ってもナンバー1のシードだけには勝てる気がしないという。何度か戦闘を見たが誰に対しても圧倒的すぎて底が全く見えなかったらしい。
どれだけ強いのかとても気になった。1度はナンバー1の戦いを見ておきたいな。
ビレクと別れ、偵察を続けようと街に繰り出すと、ナンバー2とナンバー16がこれから戦うとの報が。彼らの戦いを見るべく闘技場へ。闘技場では2人が向かい合っていた。
「はじめ!」
審判の合図で試合が始まる。ナンバー16、アンデマン、彼とは一度戦っている。大剣を使用する剣士。対するナンバー2のリアル。情報では爆砕魔法を扱うと聞いていたがはてさて。そう魔法、彼は魔術士だ。ローブを着ていてフードを深々と被っていて顔がよく見えない。
「パワースラッシュ」
上段の構えから一気に剣を振り下ろすアンデマン。が、リアルが高速で近づき剣の柄を左手で握り動きを止め、右手で相手の顎を掴む。その腕は筋骨隆々、血管が浮き上がっていた。
「まだ力の差があるようだな。出直してこい」
相手の頭を地面に叩きつけた。アンデマンが気絶し決着。その時にフードが外れて顔が見えた。白髪で老齢の男。試合が終わり闘技場から出ていった。
しかし、肝心の魔法を見れなかった。魔術士なのに力でねじ伏せてしまうとは。それほど強いと言えるけれど。




