16 ナンバー10
「グンタリ様、サイゴがスキルを使用しました。使用頻度は1人につき1回ほどです」
「ようやくか、本物の化け物だな。だが流石にここまで来るとスキルを使わざるを得ないか」
俺はこの街のNo.10グンタリ。下から上がってきているサイゴとかいうやつを警戒し、観察してきた。
ある意味予定通り、奴は一気に上位へと駆け上がって来た。
いずれ戦う時が来るだろうと、その時のためにやつを倒すため弱点を探してきた。戦闘だけではなく、交友関係から日頃の生活にいたるまで。しかしなかなかみつからなかった。
こんな場合はどうするか? そう、弱点が無いのなら作ってしまえばいいのだ。
「それからどうだ? 奴の追っかけとかいう女共は」
「ハッ、相変わらずサイゴの試合をできるだけ見ようとしていますね」
ミアにイリス。参加者でありながらサイゴの試合を必死に追いかけている女共。なぜこいつらに目をつけているか。それは奴に弱点を植え付けるため。
配下の者たちを使って、自然に女共が目立つようにしむける。そして最近ではサイゴが2人を認識しだしたようだ。計算通り。
「奴は次回審査日で必ず11位に上がってくるだろう。その日に作戦を発動する。配下全てを奴にぶつけろ、当然買収済みの審判員を使え。朝から晩まで戦い続けろ。そしてサイゴが断るようなら女を使え」
女共の弱点はすでに周知済み。食べ物に目がないのだ、簡単に釣れる。もしサイゴが戦闘を断れば女を預かっていると脅して無理にでも戦闘をさせる。調べたところどうやら奴はお優しい性格のようだ、女を放っておけないだろう。
そして俺の配下15名がずっと戦いを挑み続ける。そうすることで手持ちのアイテムも使い切らせてしまうことが出来る。当然連戦だからスキルポイントも回復できない。こうしてその日の戦闘が終わる寸前まで戦わせ、最後の最後で俺が戦う。途中弱ったら俺の配下が負ける。勝つのは俺でなくてはならない。そうだな、半日とかからず弱るだろう。だが念には念を、時間はいっぱいまでつかう。
「それまで俺は引き続き誰にも絡まれない安全な場所で過ごすとするか。審査員を買収しておくと楽でいいな。街にいなくても不正出来る」
「ですね」
正直俺は強くない、だが頭はキレる。ここに居る奴らが戦闘バカってのも大きかったか。頭でここまでのし上がってきた。ただそろそろ限界を感じ始めていた。上の奴らはどうやっても倒せそうにないと結論が出た。警戒されているしルールも厳しい。すでに俺の正体が知られているっていうのもでかい。
俺はこの戦いが終わったら引退するつもりだ。そして配下を連れ国を作る。大きくしていき、いずれはコイツラも倒す、もしくは仲間に入れることになるだろう。
ふふ、それにしても最後の最後でツキがまわってきた。奴に勝って華々しく引退すれば俺についてくる人間が増えるだろう。なんと言っても特例で上がってきたやつだからな。しかも今まで3人しかいない特例で。しかしやつは恐ろしいまでに警戒心がない、そしてお人好し。あれではどんなに強くてもいつかは負けるさ。そう、それが今回と言うだけの話。
俺に負ける要素は無い、いける!
「最後の戦いだ、心してやれ」
「ハッ、グンタリ様」
「おめでとうございますサイゴ様。あなたは11位になりました。それから10位以上の方と戦うときは安全を考慮してかなり広い場所で戦うことになると思います。観客に被害が及ばないするためにですね。それによりなかなか試合が始まらないこともありますがご了承ください」
そうだよな。強くなると周りにも被害が及ぶ可能性が出てくるよな。納得しながら受付を済ませ外へ。
外へ出ると、多数の参加者たちに囲まれた。
「ナンバー11サイゴ、俺と勝負を!」
「いいとも」
二つ返事で受ける。それからずっと戦闘が終わるとすぐに戦闘、の繰り返し。挑戦者の1人に「ナンバー10が戦いたいとほのめかしていた」という話を聞く。後で折を見て挑戦しようかな。
食事にしようとしたときにもこちらに勝負を仕掛けてくる彼ら。流石に断ろうと思ったが、ふと街に入った時の記憶が俺の頭に流れ込んできた。誰も俺と戦ってくれない。あの時の思いを彼らにさせていいのか。そこまではいかなくても彼らの情熱に応えるべきではないのか。彼らの情熱が俺の心に火をつけた。
「いいぜ! やってやろうじゃないか!」
そろそろ夕刻時になろうというときにナンバー10をみつけた。この街に来て始めて見たな。今まで戦おうと思って探していたんだけどみつからなかったんだよね。
早速挑戦状を叩きつける。ここまで戦ってきて非常に意気が盛んになっていた。これを了承、ナンバー10と戦うことに。
(この策を何度もやってきたが相手が俺と戦うときに見せるは姿は疲れ切った姿か、開き直った姿のどちらかだった。奴はどうやら後者のようだな)
この街にある闘技場に移動、観客席もある場所だ。10位以上は基本ここで戦うのだろう。グンタリと向かい合う。強さはどのくらいかな、当然11位の人より強いと見るべきか。となると前に黒鋼自慢に叩き込んだ力くらいで。審判員が開始の合図を。
(くくく、俺が王として歩みだす一歩。お前はその贄となるのだ、サイゴよ!)
先手必勝とばかりに俺は飛び込み腹部で構えている盾を叩いた。グンタリは吹っ飛び闘技場の壁にめり込む。審判員が試合を止め戦いは終わった。
「こいつはひでえ……」
審判員たちが意識を失い力なく横たわっているグンタリを運び出している。死んではいないようだ、良かった。加減が難しいんです、ごめんなさい。




